母親が細かく刻んで好物のハンバーグに混ぜるなど、何としても克服させようとするエピソードなんかもあったような。私自身は全く好き嫌いのない子供だったのでピーマンは食べられたが、 確かにあの独特の苦みや青臭さって子供にはつらいかも。
そんなピーマンだが、最近は昔ほど苦くなくなったという話をよく聞く。品種改良が進み、苦みが抑えられ食べやすくなったピーマンが普及しているようだ。それならば子供たちは昔ほどピーマンを嫌っていないのではないか?
野菜分野の生産・消費に詳しい独立行政法人農畜産業振興機構に話を伺ってみたところ、
「子どもにとってピーマンは、現在でも嫌いな野菜の上位(調査によっては第1位のものもあります)にくるほどあいかわらず子どもは苦手のようです」
がくっ。今も相変わらず嫌われるではないか。
「品種改良につきましては、元々海外で品種改良が行われることが多かった経緯があるようです。日本で一般的にピーマンが出回るようになったのは、一説によると1950年代からとも言われ、それ以降、 海外産と国産とで交配が行われるなどして徐々に改良されてきたのではないかとのことです」
品種改良しても苦み、青臭さ完全になくなるわけじゃないし、それがピーマンのアイデンティティではないか。ところでこの苦みと青臭さは何なんですか?
「ピーマンの苦味の成分につきましては、現在、誰も把握していないようです。 一説には、アルカノイド(植物毒の成分)の一種ではないかとの話もあるようですが、その根拠はなく、解明はされていないようです。 しかし、青臭さに関係する成分の一種のピラジンは含まれているとのことです」
ええっ、ピーマンってそんなミステリアスな野菜だったのか。そういえば、ピーマンはヘタと種の部分が一番苦いと言う人もいるが。
「それについても全く根拠はないそうです」
今まで種は料理する時ちゃんと取り除いてたけど、食べちゃってもいいのか。栄養豊富なピーマン、種も栄養があるのだろうか?
「種の栄養価につきましては、ピーマンの種だからということではなく、一般的に植物の種には、発芽して成長するための栄養やカロリーが含まれていると考えられることから、そういった意味では、栄養価は高いと言えるかもしれません」
いっそ切らずに丸ごと煮物にして食べるとよさそう。
戦後、一般家庭の食卓に広く普及し、今なお子供たちに嫌われ続けるピーマン。しかし、そんな子供たちも大人になれば自然とピーマンを食べられるようになる。だからめげるな、ピーマン! と勝手に励ましてみた。
(いなっち)