この間行ったカンボジアでも、携帯ショップが道端に軒を連ねていた。
携帯電話はデジタル技術を使っている。こっちで「あのう」としゃべった言葉が相手の耳に「あのう」と届くまでに、ちょっと時間がかかるのだ。
音声の遅れは、同じくデジタル技術を使っている「地デジ」でも起こっている。が、映像も一緒に遅れているから気がつかない。地デジが普及してから、「10、9、8、7……」の新年カウントダウン中継がなくなったのは、この遅れのせいだろう。正確な時刻を秒単位で伝えることが出来ないのだ。
さて、携帯電話では音声がどのくらい遅れるのか。測ってみることにした。
まず、カセットテープ(古い!)にNTTの時報を録音する。再生すると1秒ごとに、ぴっ、ぴっ、という音がするので、これを携帯電話の通話口に近づける。その携帯電話に別の携帯電話からダイヤルして、音を聞いてみよう。ラジカセから直接聞こえてくる時報と、別の携帯電話から聞こえてくる時報を同時に聞くと、たしかに、ちょっとだけずれている。
ここで、ラジカセの音だけを聞いてストップウォッチをスタート。次に、ラジカセの音が聞こえないように別の部屋に移動して、今度は携帯電話の音だけを聞いてストップウォッチを止める。整数部分を切り捨てれば、遅れが何秒か、分かる。
結果発表。何度かやってみたが、遅れはおよそ0.3秒。固定電話と携帯電話の間でもだいたい同じだった。さて、0.3秒という時間は長いのか、短いのか。
特に問題なのは、相づちを打つ時。
「たしかにズレるね。だから親密な話はなかなか出来ないかも」
「相手と(しゃべりが)かぶってしまうなぁと思うことしばしば。タイミングがずれると2、3回続けて、かぶりながらしゃべってしまって、『あ、ごめん』というのまでかぶってしまう感じ」
どうやら違和感を感じているのは、筆者だけではないらしい。
「電話じゃ何だから、直接会って話をしよう」込み入った話の時、こう言うことがあるけれど。携帯電話が普及して、そう言う機会がいっそう増えているかもしれません。
(R&S)