おせちといえば、もともとは主婦が三が日休むための保存食だから仕方がないとはいえ、冷めていてあまりおいしくないものというのが定説。しかし、ないとやっぱり気分が盛り上がらないし今年はどうしよう……と思っていたところ、日本初の“ホットおせち”なるものを見つけた。

大阪にある『徳(のり)』という懐石料亭が、フードコーディネーターの山本弘美さんと開発したもので限定500食!
カレーやピラフなどを売る自動販売機や、非常食などでひもを引っ張るとアツアツになるタイプのものをたまに見かけるけれど、あんな感じのものだろうか? 『徳』の担当者さんにお話を伺ってみたところ、

「駅弁などで紐をひっぱると温かくなるお弁当がありますが、あれと同じ原理になります。重箱の底に特殊な発熱体を内蔵しておりまして、側面についているひもを引くことで、内蔵されている水の袋が破けて発熱剤(石灰)と混ざって熱くなります。水が蒸発して湯気となり、その湯気で料理があたためられるというわけです。98度の湯気が約10分出てきて、お重が持てないくらい熱くなります。ただ、保温機能はないので時間が経つにつれ冷めていきます」

なるほど重箱にそんな仕掛けがあるんですね~。しかし、「かずのこ」とか「なます」といった温めないほうがいいメニューもおせちには多いですが……。
「コンビニ弁当の漬け物やポテトサラダが温まってしまう問題」と同じことが起きてしまうのでは?

「一の重が洋風おせち、二の重に和風おせちという感じでお料理を分けておりまして、あたためられるのは一の重だけになります。一の重にはビーフシチューやハンバーグなどあたためたほうがおいしいものを、二の重には昔ながらのかずのこやかまぼこといった温めないほうがいいものを入れています。ひとつでお子さんから年輩の方まで満足できて、お屠蘇にもワインにも合うお料理を盛り込んでいます」

とのことで、実によく考えられているんだなぁ~と感心! もちろん、お料理はすべて食材からこだわった料亭の手作り。ふだん、懐石料亭になんてめったに行けないけれど、年に一度のおせちでこんなプチ贅沢をしてみるのもイイかも??

このホットおせちは現在、そごう、西武といった百貨店で予約受付中で、11月16日~よりネット販売もスタート。お値段は税込みで12,600円だが、ネットで買うと若干おトクな特典がつくそう。

祖父母と暮らす大家族が減り、元日から開いているスーパーも珍しくない今、おせちをすべて手作りする家庭は減ってきているという。
一方、百貨店などで買うおせちはどんどん高級化、お料理のバラエティ化もすすみ、もはやおせちは“つくるもの”ではなく、“買うもの”にはなってしまったのかも……。その中でも“超進化系”といえるホットおせち、家族や来客があっと驚くことだけは間違いなさそうです。
(まめこ)