真相を確かめるべく、日本一の柿の産地・和歌山県の伊都振興局農業振興課、西野嘉晃さんに伺うと、「たしかに、甘柿の品種を植えても甘い実にならない場合があります」とのお答え。甘柿の品種なのに渋い実がなってしまうのには、気温が大きく関係しているという。
西野さんによると、甘柿の品種も実が若いときは渋みがあり、熟していく過程で渋が抜けて甘くなるという。渋みは、6月下旬から7月下旬の間に著しく減少し、その後はゆるやかに減少していくのだが、その間の気温が高いほど速くぬけていく。具体的には、7、8月の平均気温が25度以上あることが必要と言われているそうだ。
東北地方や標高の高いところでは、7、8月の平均気温は25度以下のところが多い。そのため、柿の渋みが完全に抜けきらず、甘柿の品種なのに渋い実がなるという現象が起こるという。また、地域によっては、暖かい年は渋みがぬけ、寒い年は渋みがぬけないという場合もあるそうだ。
甘柿の木がちゃんと甘い実をつけるには、夏の高温が必要。また、以前のコネタ「渋ガキが甘ガキにかわることはあるの?」でも紹介されているとおり、甘柿の栽培に適しているのは年平均気温が14.6~15.7度と言われている。この両方の条件を満たすのは、西日本の暖かい地域のみ。甘柿の主産地がこの辺りに分布しているのは、このためだったのだ。
ちなみに、渋柿の品種を暖かい地方で育てたとしても、残念ながら甘い実がなることはないとのことなので、あしからず。
寒い地域で甘柿の品種を植えてしまった方へ。いつか甘い実がなるだろうという甘い期待はせず、渋ぬきのひと手間(私は、ヘタに焼酎をつけて、ポリ袋に入れて2、3日密封してます)をかけて、おいしくいただくのが良さそうです。
(ミドリ)