何年も前に言われたこのひと言がきっかけでした。高知県に行った際には『簡易土佐弁辞典』を購入(事情により、後に処分)。
『胸キュン★方言男子コレクション』は、47都道府県を県民性を参考に擬人化したもので、各県(の男子)が見開きで紹介されています。左ページにはキャラクターと県民性、特産物などがあり、右側には、「愛の胸キュン方言・会話例」や解説などが書かれています。ちなみに、
〈県民性に関しては、一般的によく言われている、伝えられている情報を編集部が独自にまとめたもので、あくまでもイメージ〉とのこと。
ふむふむ。なら、こっちも勝手に妄想させていただきましょう!
まずは、P102を。
長くうねった髪を半分うしろにキュッと束ねた髪型に、自信ありげな表情。おそらく坂本龍馬を意識したのでしょう。襟ぐりが大きく開いたカットソーはいただけませんが、「おまん、つきおうとる相手はおるがか?(共通語訳:お前、付き合ってる相手はいるのか?)」なんて言われたら、そんなもんは帳消しです。「おる」と「か」の間に入る「が」がいいんですよねー。ウエストからたらしたチェーンにぶら下がるカツオのキーホルダーからは郷土愛も感じられ、更にポイントアップ。お察しの通り、高知県です。
切れ長の目にサラサラヘアーと涼しげな印象の石川県は、「うらだけで十分がいや。ちんとしとりしまっしま……(共通語訳:俺1人で十分です。大人しくしてなさい……)」と、言うこともクール。素敵だわ、と思いつつもなぜか妙な違和感が。その正体は、首からぶら下がったループタイ! おじいちゃんと『鈴木先生』がしている、紐にブローチがぶら下がったようなあれですよ。ぜひお近づきになって、ループタイへの想いを聞いてみたいものです。
埼玉県は、メガネにジーパン、白いコンバース(らしきスニーカー)と、素朴な服装。手に花を持っているところから察するに、心優しい青年なのでしょう。個人的にはありな見た目ですが、会話例で、女の子に「どこか行こうよ」と言われて困るという、優柔不断なところを発見。「いい人なんだけどね」で終わってしまうタイプなのかもしれません。あどけない表情をした幼い印象の三重県は、シルクハットに燕尾服、下は短パン姿と服装もかわいさを狙っています。「牛さんは、わしのお友達だに(共通語訳:うしさんは、ボクのお友達だよ)」なんて無邪気なことを言われても、なんと返事をしたらよいのやら。
他にも、黒づくめでただ者じゃない雰囲気を漂わせながらも、かわいい柴犬を連れている鹿児島県や、「おいは、ひとりばい……」となぜかネガティブな佐賀県、上下ジャージにサンダル、手には竹刀と体育教師のような長野県など、突っ込みポイントもいっぱいで楽しめます。
前書きに〈「それっぽく話す、理解する」ことを目的に作成されたのが本書である〉とあるので、「俺、こんなこと言わねえよ!」なんて怒らずに、笑い飛ばしましょう!(畑菜穂子)