東日本大震災から3週間が経とうとしている。
まだまだ余震が続いているせいもあってか、「ずっと揺れてる感覚が抜けない」「いつでも揺れてる気がする」などという人は多いのではないだろうか。


これってなぜ? また、この「揺れてる」不快感を軽くする方法はないの? 『ここ10年で、これだけ変わった! 最新医学常識99』(祥伝社黄金文庫)著者で、医療法人社団池谷医院院長の池谷敏郎先生に聞いた。

「三半規管が刺激を受けることで起こる『めまい』は、しばしば残ることがあります。たとえば、バットを頭にあててクルクルまわると、まっすぐ歩けなくなりますよね」
内耳の一部「耳石器」と「三半規管」は、体の空間的位置を把握し、バランスを保つ平衡器として機能している。また、三半規管の中にはリンパ液が入っていて、リンパ液の流れから体の回転・揺れを感じとり、その複雑な情報がいっぺんに集められることで、脳が混乱し、「酔い」の不快症状が起こるのだそうだ。

「また、地震のときには、怖い体験・不安などが不快な思い出として、意識に残りやすいこともあると思います」

「ずっと揺れてる感覚」を生じやすい人は、「ブランコが苦手な人」「乗り物酔いしやすい人」「三半規管が敏感な人」などと考えられるようだが、他にも以下のような理由が考えられるとか。
「そもそも人間の体は絶えず揺れながらバランスをとっているもの。
試しに、目を閉じて立ってみると、かかとに力を入れたり、親指に力を入れたり、右に左に……といった具合になるはずです。でも、本来揺れているはずのものが、揺れに対して神経をとがらせていることによって、特に意識されてしまうこともあるのでは?」

この不快な「ずっと揺れてる感覚」をなんとかしたい! どうすれば良い?
「揺れに対しての感覚は、訓練で変わるところもありますが……。じっとしていると揺れを感じやすいので、自分で動くこと、何かに集中して気をそらすことも良いかと思います」
とはいえ、揺れてる感覚で不快なときや不安なときは、動けない、気をそらせないことも多いけれど……。
「『揺れ』は、視覚から入る感覚もあると思います。たとえば、『揺れてる?』と思ったとき、人は電気のコードを見たり、モノの揺れを見て確認しますよね? すると、余計に酔った感覚が残りやすいので、『ずっと揺れてる』ように感じる場合には、乗り物酔いのときのように、遠くを見るなども良いと思います」

ちなみに、乗り物酔いも、体調やストレスなどの影響を受けやすいことは、よく知られている。何か別のことを考えたり、ゆっくりリラックスできることをやってみるのも、一つの解消法かも。

(田幸和歌子)