2007年公開の「映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!」から導入され、「劇場版プリキュア」には欠かせないアイテムとなっている。
「プリキュアのために、ミラクルライトを振ってほしいココ~」
劇中でプリキュアたちがピンチになったときにと妖精たちが呼びかける。ピンク色のライト本体に付いているボタンを押すと、先端のジュエルが光り、プリキュアたちはパワーアップ! 普通、劇場では中学生以下の子どもたちにしか配られない。そうなると、コレクター欲も出てくるし、どうしても欲しいんだよねえ……。
今回の、「映画プリキュアオールスターズDX3」大ヒット記念 プリキュアと夜更かししちゃお!プリキュアナイトカーニバル!」ではみんなにライトが配られるんだよ。
5月6日、新宿バルト9にて開催された「ナイトカーニバル」。歴代「劇場版プリキュア」、「映画 ふたりはプリキュアMax Heart」から「DX3」まで、8年分のプリキュアを一気に観ちゃおうというイベントだ。
「DX3」は「劇場版プリキュア」10作目記念作品。歴代劇場版から舞台や敵キャラクターが登場しているので、「最近、ファンになった」という人は、この機会に一気におさらいができる。
上映するのは、「映画 ふたりはプリキュア Max Heart」、「映画 ふたりはプリキュア Splash☆Starチクタク危機一髪!」、「映画Yes!プリキュア5GoGo! お菓子の国のハッピーバースディ♪」「ちょ~短編 プリキュアオールスターズ GoGoドリームライブ!」、「映画 フレッシュプリキュア! おもちゃの国は秘密がいっぱい!?」、「映画 ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか!?」、「映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!」、「映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!」、「映画 プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花」の9作品。
「ナイトカーニバル」は6日夜19時から7日朝6時にかけて行われた。開催時間が夜中なので、18歳未満は入場不可。
「一晩中プリキュア映画イベント」は今回がはじめてではない。昨年の4月3日にも「DX2」公開に合わせて、「朝までプリキュア!オールナイト」が開かれていたんだよ。
子どもたちがいない、大人専用の「プリキュア」イベントは、このときがはじめて。「オールナイト」も「ナイトカーニバル」も、チケットは1~2分で完売。もう一度過去作が劇場で観られるなんて! とチケットを買いに走る!
「ふたりはプリキュア」の企画コンセプトは「女の子だって暴れたい」だけど、同じように「大人だってプリキュアを応援したい」だし、ごめん、コレクター欲とか言い訳してたけど、やっぱりライトは振りたい。
観客席にプリキュアのぬいぐるみを置いて飾り付けていたり、入場者プレゼントに含まれていなかった、過去作のミラクルライトを持参している人が多い。劇場版のDVDを通販で買うと特典になっているところもあるんだっけ。みんな、準備万端だな!
スクリーンに、「スイートプリキュア♪」のキュアメロディ役、小清水亜美さんとキュアリズム役、折笠富美子さんのVTRコメントが流れイベントスタート。
「みなさん、こんばんはー!」
スクリーンからの挨拶に、「「「こーんばーんはー!」」」と、野太い返事が返ってくる。挨拶の声の大きいこと大きいこと。
子ども向けイベントだと、司会のお姉さんが挨拶をするんだけど、大人のファンは黙って観ている。
上映中も、普段では絶対に飛んでこないだろう声援が多かった。
大人たちに人気のある「プリキュア5」の敵キャラクター、ブンビーが登場したときは「ブンビーさーん!」の声とともに、拍手が! 観客が子どもたちだけだったら絶対にないよ、この拍手。だって、敵キャラだもん。
「プリキュアに力をー!」
最前列から振り返り、劇場を見渡す。みんながここでミラクルライトを取り出すのだ。
観客全員が振っていた。両手にライトを持って振っている人もいたよ。400近いピンク色の光。
プリキュアはピンチが去ると「みんな、ありがとう!」と、カメラ目線で言う。それが自分たち大人に対して向けられているんだよねえ。そりゃ気合い入れて振っちゃうよね。
上映の合間に、プリキュア声優たちのトークイベントが2回にわけて開かれていた。
1回目はキュアブラック役、本名陽子さん。キュアブルーム役、樹元オリエさん。キュアドリーム役、三瓶由布子さん。キュアピーチ役、沖佳苗さん。キュアマリン役、水沢史絵さんの5人。マリンの水沢さん以外は、リーダーなんだけど、おっちょこちょいでボケキャラを演じている、通称ブラック家族。
キュアブラック役の本名さんは「話を振られるときに、ついにブラック先輩と言われるようになった」「今回のように、大人のみなさんが楽しめるイベントを開催できたのも、いままでみなさんが劇場に足を運んでくださった勇気のおかげです(笑)」と、初代「ふたりはプリキュア」から、シリーズ8年目の今にいたるまでの想いを語ってくれた。大人のファンだけでもイベントに来て盛り上がっていいんだ、って言ってもらえているよう。今まで劇場で観るときは端っこの席でちんまりしていたからね(笑)。
声優トークイベント2回目の出演者は、キュアホワイト役、ゆかなさん。キュアイーグレット役、榎本温子さん。
自己紹介として、全員がそれぞれ演じるキャラの変身セリフを言うのだが、小松さんは「スイッチオーバー! 我が名はイース!」と、パッションがプリキュアになる前、敵キャラのイースだったときの名乗りをー! しかもイースのフィギュア持ちながら(笑)。
そういえば、「オールナイト」のときもイースの変身セリフで登場していたっけ。普段のイベントだと、敵キャラクターのセリフは言えないから、楽しいそう。大人のファンに向けてのメッセージ。「あなたたちになら言ってもいいよ」と、信頼されているのかなー!
「DX3」は震災の影響から一部のシーンをカットして、上映している。100%の完成状態ではないんだ。そのニュースを知ったときは、ショックだった。なんでカットしなきゃないけないんだ! という想いで記事も書いた。いままで公式から「カットシーンがある」以上のことは発表されていなかったと思う。
ファンは、「DX3」は制作スタッフ、役者のみなさんが魂を込めて制作している映画だということは知っている。でも、あの場では俺はどういうリアクションを取っていいのか、正直とまどった、固まってしまった。緊張を解いてくれたのは榎本さん「大丈夫だよ、みんなDVDを買ってくれるよ!」。そうしたら、会場は大きな拍手につつまれた。
トークイベントが終わったあと、榎本さんや樹元さんが俺の横の席に! 反対側には久川さんが。プリキュアといっしょに「プリキュア」を観ているぞ……!
榎本さんたちミラクルライトをブンブン振っている! 本人たちが振っているんだから、俺も振らなきゃダメだよなあ、とうずうず。
トーク中に「プリキュアぴあ」の話が出ていたから、休憩時に「俺も参加しています、ありがとうございます!」と、言おうと思ったけど、いま伝えることでもないだろうし、なんか恥ずかしいし、やめた(笑)。
3回目のトークイベントは、大塚隆史監督と、鷲尾天プロデューサーの対談だ。
俺は前に大塚さんにインタビューしたことがあるんだけど、気さくに接してくれて、歳の近い(でも、ちょっとやんちゃな)お兄ちゃんってイメージがある。そういえば鷲尾さんと話しているところを観るのはこれがはじめてかも。
大塚さんは、「お菓子の国」や「おもちゃの国」、「DX1」の回を観客席で観ていたそうだ。
「まだまだ声が小さい! もっと大きく応援しないと、プリキュアは負けますよ。もしかしたら負けたバージョンも収録しているかもしれないじゃないですか」
さすがだ、お客さんたちを煽っているよ!
「大人じゃなく、小さい子どもたちに向けて『プリキュア』を作っている」
おお、大人しかいない場所で言うのかー(笑)。鷲尾さんも「そういうこと言わないの!」と突っ込んでいる。
観客たちはどう思っているんだろう、と少しドキドキ。
「ひとつだけお願いがあります、ライトを振っているところが観たいです」
その瞬間、大塚さんめがけて大量の光が降り注いだ。
榎本さんたちも「監督に力をー!」だって。
せっかくの機会なんだから、もっと、俺が勘弁してくれ! と言うくらいまで声を張り上げて応援したほうがいいよ、という合図でもあったんだろうなあ。
イベント終了後、大塚さんと鷲尾さんのコメントをもらった。おふたりとも、疲れてヘトヘトのはずなのに、快くコメントに応じてくれた。
「終わったあと、三本締めをしてくれるファンの人もいて、みんなに愛されているのを直に感じることができて嬉しかったです。いやー、眠たいです。てか、加藤さん寝てたでしょ!(笑)」と大塚さん。ごめんなさい、最後の「DX3」のとき、眠気のピークが来てしまい……!
大塚さんは今まで、こんなにたくさんの大人のファンと映画を観ることはなかったと思う。本来のメインターゲットの子どもだけじゃなく、大人もこんなに全力で応援してくれている姿を観ることができて、監督をやっていてよかったって思ったんじゃないかなあ。
鷲尾さんは「最後まで礼儀正しく観てくれて嬉しいです。みなさん、本当に作品やキャラクターを愛してくれていますね。「オールナイト」「ナイトカーニバル」に続くイベントが来年あるかどうかは、うーん……それは、お楽しみです!」
休憩時間のたびに、忙しそうにあちらこちらを動きまわっていた鷲尾さん。本当におつかれさまです。コメントをいただけますかと呼び止めると、きちんと椅子に座りなおし、お話をしてくれた。
プリキュアを応援したいという気持ちは子どもも大人も変わらない。「劇場版プリキュア」が上映されるたびに、1年に1度の大きなお祭りとして恒例イベントとなってくれないかな。そのたびに、またこうやって盛り上がりたい。同じエキレビ!ライターの渡りに船や、プリキュアブルーレイ上映会でおなじみ、たすくさんたちはじゃれ合いながら映画を観ていたようで。俺も「ドリーム! ドリーム!」って、叫びながらミラクルライトを振りたかった。もし来年があるのなら、思い切って振りまくろうかな。(加藤レイズナ)