著者は現在、内閣府参事官補佐を務める35歳の久保田崇氏(@takashi_kubota)。国家公務員採用I種試験(法律職)に合格し、2001年より内閣府に務めるいわゆる“キャリア官僚”だ。
本書は久保田氏の処女作。官僚の業務の中で学んだ効率的に仕事をこなすための方法論が書かれているのみならず、 効率的に仕事を進めるために必要と思われる人脈術、交渉術、読書術を紹介。
また、経営学修士号(MBA)取得のため、英国ケンブリッジ大学で45の国々から集まったクラスメイトたちの「講義」と「遊び」のメリハリの付け方に「人生を楽しむ姿勢」を学んだという久保田氏。そこで培った英語術やコミュニケーションのとりかた、スピーチ術までを網羅。
久保田氏は、プライベートでも、異業種交流会の運営や、NPO法人新しい霞ヶ関を創る若手の会(プロジェクトK)理事を務めたり、年間200冊以上を読むフォトリーダーでもあり、何より本書を執筆したりと、実際に有効に時間を使っていることが伺える。
第1章では、「霞が関」の仕事内容について書かれている。官僚の人々の仕事については、特に悪い方のイメージばかりが先行してしまっていたけれど(すみません)、新人時代の資料のコピー配布から、国会答弁・法案作成や、各省庁との折衝、根回しまで、「実際にこういうことをやっているのか」と官僚の仕事をかいま見ることができて興味深かった。また、月の残業時間の平均は80~90時間、時には150時間の残業をこなしていたという久保田氏。自分も勝手に「忙しい」「時間がない」と嘆いてしまっていたけれど、中央官僚の膨大な仕事量に驚くばかりだった。
過酷な労働環境の中で倒れ込んでしまった経験もある久保田氏が、効率的な業務を追求し、自分なりのワーク・ライフ・バランスを確立していった軌跡が描かれている。
本書のタイトルは「仕事術」となってはいるけれど、「仕事術を実践することで最良のアウトプットができる、それが豊かな人生につながる」 ことが究極のゴールとなっている。
仕事術といったテクニック的な紹介のほか、本書で特に実践していきたいと思ったのが「自分のコントロールできることに集中する」ということ。久保田氏の仕事でいえば国会対応、一般的にいえば、会社、上司、環境といった自分の「外」にあるものではなく、思考、感情、考え方、モノの見方といった自分の「中」にあるものをコントロールすることで物事が改善していく、といった本書の根底を流れるテーマに感銘を受けた。
また、仕事術とは関係ないかもしれない!? けれど、英語を楽しく学ぶためにドラクエの英語版をプレイしていた話や、全英将棋大会に参加した話など趣味の話も出てくるのが、逆に親しみを感じられるところ。ちなみにホイミはHeal、ベホイミはHealMore、ベホマ、ベホマラー、ベホマズンはHealAll、HealUs、HealUsAllだそうで、本書でも書かれている通り、英語の方がわかりやすい!?
「現職公務員、公務員予備軍はもちろん、仕事に追われて余裕のないことを悩んでいる20代30代ビジネスマン。特に、ビジネス書やハウツー本に答えを求めながらも忙しさが解消されない方にぜひ読んでほしい」と久保田氏。
まさに自分もそんな一人だった。ちょっとでも気になった人は是非、手に取って読んでほしい一冊だ。
(dskiwt)