経験的に、今のメールアドレスはほぼ全てが小文字だし、仮に大文字が混じっていても、小文字で問題なく届くことがほとんどである。「小文字ですか」の確認は、今でも本当に必要なのだろうか?
先日の電話取材で、また「小文字ですか?」の確認を受けたので、さりげなく相手にインタビューしてみたところ、「実は自分も、確認は必要ないかもしれないとは思っているんですが……」との回答があり、その微妙な心境が垣間見える。担当者氏のモヤモヤを解消すべく、調べてみた。
メールアドレスの取り扱いに関しては、インターネット技術タスクフォース(IETF)が発行するRFC2821などに標準的なルールが掲載されている。これによると、メールアドレスのアットマークより前の部分(ローカルパートという)に関しては、大文字と小文字が区別されることがある、と書かれている。
これはあくまでも標準的なルールであり、実際にはメールドメインを管理するメールサーバによって取り扱いが変わる。Gメール、ヤフーメールなどのフリーメールでは現在、大文字入りのメールアドレスを登録することができない(大文字を入力しても自動的に小文字になる)。これは大文字小文字を区別していないということだ。
また、レンタルサーバを提供する「さくらインターネット」に問い合わせてみたところ、「弊社が提供するメールサービスでは、アドレスに大文字小文字の区別はございません」とのこと。企業向けメールサーバの構築を行うシステム会社にも何件か聞いてみたのだが、「大文字小文字の区別はない」とのことであった。
結局、メールの大文字小文字を区別して管理している人には出会えなかった。筆者としては、「小文字ですか」の確認をしなくても、ほぼ実害はないと結論したい。
この結論を、担当者氏に伝えたところ、「なるほど、やはりそうですか」と答えつつも、何となく煮え切らない様子。その理由を聞いてみると、以下のような回答が。
「でも、万が一届かなかったら、と思うと不安なので、やっぱり今後も確認せずにはいられないと思います」。
確かに、会社の存続に関わるような超重要なメールが、メールアドレスの大文字小文字の確認を怠ったために届かなかったら、悔やんでも悔やみきれない。実際、独自にメールサーバを持っている企業では、アドレスの大文字小文字を区別している可能性がゼロではない。「白いカラスは存在しない」ということを証明することが難しいように、「アドレスの大文字小文字を区別しているメールサーバは無い」と確信することは、難しいのだ。
ということで、筆者としては今後も、「メールアドレスは全て小文字ですか?」という確認に対して、「はい、小文字です」と、粛々と回答していく所存である。
(珍満軒/studio woofoo)