フランスの有名ワイン生産地、ボルドーとブルゴーニュ。以前のコネタでボルドーワインに関しては少しふれたが、今回はブルゴーニュで取材を敢行。
現地にてワインの仲買およびワイナリーツアーを主催する、「ブルゴーニュ・ダイレクト・ワイン・アンド・ツアー」で話をうかがった。それぞれの違いとは何ですか?

「まずワインの元になるブドウの使い方が違います。ボルドーワインは数種類のブドウを混ぜてワインを造ることが多いですが、ブルゴーニュは単一品種のブドウから生産されます。単一品種から造られるがゆえに、土地の味が直接ワインの味に反映されます。例えば赤ワインで比べた場合、ボルドーは色も濃くブドウの個性が強いワインになります。一方でブルゴーニュは色が薄くブドウの個性が弱い反面、土地の味がしっかり出ています」

目で見て明らかな差異にボトルの形があるが、これも違いの一つですよね? 

「ボルドー型のボトルは、側面が直線で瓶口に向けてのくびれが大きいです。一方でブルゴーニュ型は、瓶口に向けてなで肩に作られています。ゆえに注ぐ際、くびれ部分にワインの澱(おり)が止まりにくいので、ボルドー型のボトルよりは、瓶からの注ぎ方が難しくなります」

ちなみにワイナリーのことをボルドーでは「シャトー」と呼び、ブルゴーニュでは「ドメーヌ」と呼ぶ。ワインの格付けのされ方にも違いはあるのだろうか? 

「ボルドーはシャトーに対して格付けされるので、畑を拡張しようと思い隣の畑を買えば、同じ銘柄のワインとして生産できます。しかし、ブルゴーニュはそれぞれの土地に名前がついているので、隣の畑を買っても同じ銘柄になりません。ブルゴーニュでロマネコンティというワインを増産するために、作付面積を増やそうと思っても、決められた面積の土地からしか生産できないのです」

ということは、生産者の規模にも差が出るのだろうか? ボルドーではルイ・ヴィトンなどのブランドを持つモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン社など大企業が経営するパターンが多かったが、ブルゴーニュではどうなっているのだろう。

「大規模経営が多いボルドーに対して、ブルゴーニュは小規模家族経営が多いです。
フランスの法律で財産分与は子供に均等になされるので、さらに細分化は進んでいます。兄弟間で土地を買ったり借りたりする場合も多いです。例えばロマネコンティの場合、経営しているのは二家族ですが、実際は何十人もの地権者がいるんですよ」

ボルドーとブルゴーニュ、比べてみると違いがたくさん。同じフランスのワインでも、地域によってこんなに変わるのですね。
(加藤亨延)
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