筆者も、そんな“かもめ食堂ファン”のひとりだ。映画を見る度に、なんともいえない心地よい気分に浸れる。ちょっとした食事をしたりコーヒーを飲むのが、この上なく楽しみになる。そして、「かもめ食堂」へ行ってみたいなと思う。
この「かもめ食堂」、実はヘルシンキに実在するのだという。日本食レストランではなく、「カフェ・スオミ」という名のカフェとして経営されているらしいが、作品のファンとしては一度ぜひ足を運んでみたい。
じゃあせめて、作中の主人公よろしく、おにぎりでも握って食べてガマンするかなあ……。と思っていた矢先に、知人から「鎌倉に“かもめ食堂”みたいな店がある」と聞いた。場所を尋ねると、JR大船駅から徒歩10分程度、イトーヨーカドー大船店や大船中央病院の近くにあるという。その名も、「シルバーナ食堂」。
「大船のヨーカドーなんて、週に一度は行くじゃないか……。
「シルバーナ食堂」の店内へ入ると、筆者は一瞬にしてテンションが上がった。白と水色を基調としたその雰囲気は、まさに「かもめ食堂」そのものなのである。ああ、夢にまで見た「かもめ食堂」に、ついにやってきたんだ……。
そう、店の雰囲気こそ「かもめ食堂」に似てはいるが、ここはあくまでも「シルバーナ食堂」。メニューは、アジア料理・エスニック料理が中心だった。どうせなら、メニューも「かもめ食堂」みたいに和食なら良かったのに……。と思ったのも束の間の話。
どの料理も、非常にレベルが高いのだ。
取材に訪れた日は女性客が主だったものの、ランチバイキングなら食べ放題なので、男性も満腹になれる。しかも、美味しく。それでいて、850円とリーズナブルなのだから言うことなし。ランチバイキング以外にも、「蒸し鶏とカリカリジャコのヘルシー丼」や週替わりのオリジナル丼などもある。また、テイクアウトメニューもあり、「バイキング弁当」を注文すれば、空の容器を渡され、それにランチバイキングのメニューを好きなだけ詰め込める。
メニューのジャンルこそ違えど、お客を料理でもてなし、気持ちよくさせてくれるところは、まさに「かもめ食堂」と同様。ヘルシンキは遠いので、“鎌倉のかもめ食堂”こと「シルバーナ食堂」がおすすめだ。「シルバーナ食堂」は、神奈川県鎌倉市大船2-24-22。月曜~土曜の11時30分~15時まで営業。
(木村吉貴/studio woofoo)