師走となればみなさん、仕事の追い込みがかかる時期ではないだろうか。
無論ライター業の末席にちんまりと座っている私とて例外ではなく、原稿の執筆にいそしむうちに夜更けを迎えてしまうこともしばしばだ。

そんな時、自分に気合を入れる意味でも「眠気覚ましのコーヒー」は欠かせない。
眠気覚ましの方法は人それぞれだろうが、コーヒーを飲むというのは割と一般的な方法だろう。

ご存知の通り、コーヒーが眠気覚ましになる由縁はコーヒーに含まれるカフェインである。カフェインが中枢神経に働きかけ、興奮作用をもたらすことで眠気が覚めるのだ。もちろんネーミングは、コーヒー類に含まれるところから由来している。
ちなみにコーヒーの苦味の主成分はカフェインではないので、この辺はお間違えのないよう。
過去のコネタで「カフェインでコーヒーが苦い」という思い込みという素敵なコラムがあるので、こちらも合わせてご参照願いたい。

さて、カフェインの名前の由来がコーヒーだからって、コーヒーが一番カフェインを含有しているとも限らない。眠気と戦わなければいけない場面でセコンドに立って、あなたを、そして私を懸命に応援してくれる「キング・オブ・カフェイン飲料」は何なのか。
ぜひとも知っておきたいところだ。

“飲料といえばサントリー”という思い込みのもと、さっそくサントリー広報部に取扱商品のカフェイン含有量について聞いてみた。
「弊社のコーヒー・紅茶などの飲料は、それぞれの商品によって配合が異なるので、一概には言えませんが……」という前置きがあった上で、商品ごとのおおよそのカフェイン含有量を教えてくれた。


それによるとやはりコーヒー類はカフェインの含有量が多く、100gあたり50mg~80mg程度。次いでウーロン茶類が100gあたり20mg程度、緑茶・焙じ茶・玄米茶などがいずれも100gあたり10mg程度だという。また、コーラや一部の炭酸飲料にも100gあたり10mg程度のカフェインが含まれていることがわかった。念のために他社サイトも見てみると、おおむね同様の数値が得られたので、まあそんなもんなのだろう。

ちなみにドライでキレのある味わいが特徴の、サントリーの炭酸飲料「セブンアップクリアドライ」はあえてカフェインを加えることで、仕事のイライラ・モヤモヤのリフレッシュを狙ったユニークなアイテムで、こちらは490mlペットボトルに85mgのカフェインが含まれているそうだ。

う~ん、しかしやっぱりカフェイン含有量についてはコーヒーがその座を譲らなかったなあ。
下克上を期待していただけに、フツーな結果が出てしまい、ちょっぴり残念である。
……と思っていたら、奥さん!
文部科学省の五訂増補日本食品標準成分表を見てみたら、なんとコーヒーを超えるカフェイン含有量を誇る飲料があるじゃないですか!

それは玉露である。なんと五訂増補日本食品標準成分表のコーヒー抽出液のカフェイン含有量が60mgであるのに対し、玉露は160mgものカフェインを含んでいるのだ。
すごいぞ、玉露!
でもまあ玉露は結構お高いので、結局インスタントコーヒーでカフェインを摂取する日々は続くんですけどね。
もちろんこの原稿書きながらも、インスタントコーヒー飲んでますよ。

最後はちょっと真面目に。
カフェインの摂りすぎには注意が必要という話である。
実はこのカフェイン、覚醒作用や利尿作用が期待できる一方で、妊婦においては自然流産の可能性があり、感受性の高い者においては不眠、頭痛、神経過敏などの影響があるといわれているのだ。政府の食品安全委員会の見解によれば、妊娠中の女性や子どもはとくに注意すべきだという。

ほかにもカナダ保健省が2006年に高評したカフェインの1日最大摂取量に関するファクトシートには「カフェインの一日最高推奨摂取量は12歳以下の子供に対して2.5mg/kg (体重1kgあたり/1日)、妊娠適齢女性に対して300mg(1日)、健康な成人においては400~450mg(1日)」と明記されている。また、世界保健機構(WHO)は「紅茶、ココア、コーラ飲料は、ほとんど同程度のカフェインを含むが、コーヒーにはこれらの約2倍のカフェインが含まれている。胎児へのカフェインの影響についてまだ確定していないので、妊婦はコーヒーの摂取を1日3~4杯までとすべき」としている。

丈夫なお子さんを生むためにも、とくに妊婦の方は1日300mg以下を意識してほしいところだ。

というわけで、これらを守っておいしく、楽しく、上手にカフェインを摂取しながら、これから始まる年末を乗り切ろうではないか。
は~い、おしまい! よっしゃ、おつかれコーヒーでも飲~もうっと。
(新井イアラ)