ひどいときは毎日のようにどこに置いたか忘れてしまう。自分の脳が心配になるが、以前取材した認知症専門の医師は、こんな話をしていた。
「『ど忘れ』を心配している人はまず、健常ですよ。メガネや財布などの置き忘れ、しまい忘れなどは痴呆に直接つながるわけではない、『良性もの忘れ』と言えます。アルツハイマー型認知症の『物忘れ』の場合は、モノの名前を忘れるのではなく、人に会ったこと自体を忘れたり、買ったこと自体を忘れたりする、エピソード・体験そのものを忘れてしまうのが特徴です」
心配ないと言われても、毎日「メガネメガネ……」を繰り返すようでは、やはり不便である。
ついでに、整理収納アドバイザーの方から、メガネの置き忘れに関してアドバイスいただいたのが、こんな内容だ。
「メガネの置き忘れは、やはり不注意で何気なく置いているということがほとんどですので、メガネの定位置、『住所』を作ってあげましょう。たとえば、素敵なメガネのトレーなどを購入し、そこに必ず置く習慣をつければ、置き忘れは減るはずですよ」
なるほど、自分の場合も、確かにメガネの「住所」がないために、何気なく外して置いていることが多く、意外なところで発見されるパターンが多々ある。
調べてみると、『なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか』(日本経済新聞社)においても、「物忘れ=時間がたつと去年の十月のことを忘れる」「不注意=さっき置いた鍵やメガネを忘れる」と説明されていた。