硬貨を入れて、ハンドルを回すと、おもちゃの入ったカプセル(カプセルトイ)がでてくる、通称ガチャガチャ。筆者が少年だった頃、「ガシャポン戦士」という、株式会社バンダイのガチャガチャ(バンダイ製はガシャポンと呼ぶ、ガシャポンはバンダイの登録商標)で、塩ビ樹脂でできたガンダムシリーズの人形が流行っており、デパートに行くたびに母親にねだって100円をもらい、全力疾走で販売機に向かったものである。
このガチャガチャ、当時は100円だったのだが、最近の販売機を見ると、値段が200円、300円なのが普通であり、100円のものはほとんど見かけない。「ワンコインで買える」という手軽さが失われて、筆者としては微妙に残念だったりするのだが、ガチャガチャの価格が上がった理由は、何なのだろうか?
一般的に、商品価格が上がる理由の1つに、「原材料費の高騰」が関係することが多いと思われる。カプセルトイには塩化ビニル樹脂などのプラスチックが多く使われるが、プラスチックの価格は原油価格に大きく影響を受ける。原油価格の指標として最も有名なWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)の原油価格(各年の最終価格)を見ると、1980年には1バレルあたり36.99ドルだったのが、2011年には98.61ドルまで上昇している。ガチャガチャの場合にも、これが関係している可能性はないだろうか。
これに関して、 バンダイの社長室広報チームに改めて問い合わせてみたところ、「原材料の上昇のみが理由というわけではなく、より楽しさをお客様に提供したいと考え、商品ラインナップを広げてきたことによるものです」とのこと。
バンダイが200円専用のガシャポン販売機を導入したのは1991年頃とのことなのだが、この時期の原油価格は1980年代からほぼ横ばいであり、必ずしも製造コストだけの問題ではなさそうである。
例えば「ガシャポン戦士」の場合、筆者が購入していたころは1つのカプセルの中にモビルスーツが2つ入っていたが、全身が1つの型から出来ており、単色で、「気をつけ」の姿勢のままで手足は動かず、かろうじて一部の武器が取り外し可能なものであった。
そのため、ガシャポン戦士同士でバトルを繰り広げる際、動作のバリエーションが少なく、「体当たり」「キック」が主な攻撃手段となっていた。
これに対し、最近販売されている「ガシャポン戦士NEXT」の場合、フルカラーで、パーツごとに部品が分かれており、手足が動くためにある程度のポージングも可能であるため、より多様かつ複雑なバトルを再現することが可能になっている。価格は200円で1個入りであることから、1個当たりの値段は4倍になっているわけだが、製品の質のみならず遊びの幅が広がるという点で、お得感がある。
また、「バンダイの商品はお客様に安全に遊んでいただくために、様々な検査をして商品を提供しており、その点からも品質の向上に努めています」とのことで、より安全性の高い製品となっているようだ。
このように、カプセルトイで「質」が追求されるのは、購買層の変化もあると思われる。例えばザリガニワークスが販売するカプセルトイ「シリーズ・生きる『土下座』」は、サラリーマンの土下座姿を忠実に再現してストラップにしたものであり、「哀愁漂う背中の丸み、役職にあわせた表情にもこだわった、渾身の一作となっております(ザリガニワークスウェブサイトより)」とのことで、これは明らかにサラリーマン層をターゲットにした商品となっている。全体的に購買年齢が上がった結果、より質の高い製品が求められるようになったものと思われる。
ちなみに、100円のガチャガチャは完全になくなった訳ではなく、例えばバンダイの場合、磁石付きのマスコット「それいけ!アンパンマン くっつくんです」や、体に貼れるシール「ワンピース ボディシール」など、対象年齢が低いものは100円で販売されている。
値段はあがっても、何が出てくるかな、と想像しながらハンドルを回すあのワクワク感は、変わらず昔のままなのである。
(エクソシスト太郎)
このガチャガチャ、当時は100円だったのだが、最近の販売機を見ると、値段が200円、300円なのが普通であり、100円のものはほとんど見かけない。「ワンコインで買える」という手軽さが失われて、筆者としては微妙に残念だったりするのだが、ガチャガチャの価格が上がった理由は、何なのだろうか?
一般的に、商品価格が上がる理由の1つに、「原材料費の高騰」が関係することが多いと思われる。カプセルトイには塩化ビニル樹脂などのプラスチックが多く使われるが、プラスチックの価格は原油価格に大きく影響を受ける。原油価格の指標として最も有名なWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)の原油価格(各年の最終価格)を見ると、1980年には1バレルあたり36.99ドルだったのが、2011年には98.61ドルまで上昇している。ガチャガチャの場合にも、これが関係している可能性はないだろうか。
これに関して、 バンダイの社長室広報チームに改めて問い合わせてみたところ、「原材料の上昇のみが理由というわけではなく、より楽しさをお客様に提供したいと考え、商品ラインナップを広げてきたことによるものです」とのこと。
バンダイが200円専用のガシャポン販売機を導入したのは1991年頃とのことなのだが、この時期の原油価格は1980年代からほぼ横ばいであり、必ずしも製造コストだけの問題ではなさそうである。
例えば「ガシャポン戦士」の場合、筆者が購入していたころは1つのカプセルの中にモビルスーツが2つ入っていたが、全身が1つの型から出来ており、単色で、「気をつけ」の姿勢のままで手足は動かず、かろうじて一部の武器が取り外し可能なものであった。
そのため、ガシャポン戦士同士でバトルを繰り広げる際、動作のバリエーションが少なく、「体当たり」「キック」が主な攻撃手段となっていた。
これに対し、最近販売されている「ガシャポン戦士NEXT」の場合、フルカラーで、パーツごとに部品が分かれており、手足が動くためにある程度のポージングも可能であるため、より多様かつ複雑なバトルを再現することが可能になっている。価格は200円で1個入りであることから、1個当たりの値段は4倍になっているわけだが、製品の質のみならず遊びの幅が広がるという点で、お得感がある。
また、「バンダイの商品はお客様に安全に遊んでいただくために、様々な検査をして商品を提供しており、その点からも品質の向上に努めています」とのことで、より安全性の高い製品となっているようだ。
このように、カプセルトイで「質」が追求されるのは、購買層の変化もあると思われる。例えばザリガニワークスが販売するカプセルトイ「シリーズ・生きる『土下座』」は、サラリーマンの土下座姿を忠実に再現してストラップにしたものであり、「哀愁漂う背中の丸み、役職にあわせた表情にもこだわった、渾身の一作となっております(ザリガニワークスウェブサイトより)」とのことで、これは明らかにサラリーマン層をターゲットにした商品となっている。全体的に購買年齢が上がった結果、より質の高い製品が求められるようになったものと思われる。
ちなみに、100円のガチャガチャは完全になくなった訳ではなく、例えばバンダイの場合、磁石付きのマスコット「それいけ!アンパンマン くっつくんです」や、体に貼れるシール「ワンピース ボディシール」など、対象年齢が低いものは100円で販売されている。
値段はあがっても、何が出てくるかな、と想像しながらハンドルを回すあのワクワク感は、変わらず昔のままなのである。
(エクソシスト太郎)
編集部おすすめ