もういつが結婚適齢期なのか分からなくなってきたが、いつの間にか周囲には新婚さんが増えてきた。それどころか、子宝に恵まれる夫婦も続々と。
おめでとう! こうなったら、身重の体を最大限労わりたい。何せ、体内にはもう一つの命が宿っているのだ。
そこで今、こういうアイテムが話題になっているという。なるほど、言われてみれば気を付けるべき問題かも。株式会社エムエルジェイが発売している『タミーシールド』は、いわば“妊婦用シートベルト装着補助具”。2008年に、オーストラリアで開発された商品である。

そういえば、大きくなったお腹の上からシートベルトを着用するのはなかなかに大変。道路交通法においても、妊婦のシートベルト着用は免除されているそうだ。
しかし「妊婦であってもシートベルトの着用が必要」との指摘は、かなり以前からされていた。事実、アメリカでは「シートベルト非着用の妊婦が交通事故に遭った場合の胎児の死亡率は着用者の4倍」という報告が挙げられている。結果、08年に警視庁は「交通の方法に関する教則」の内容を改正。現在においては妊娠中のシートベルト着用は推奨されているという。

だけど、妊婦にとってシートベルト着用は至難の業。大きくなった腹部をベルトが横切らないように締めるのが望ましいのだが、体を動かすとベルトの位置は変わってしまうかもしれない。胎児への影響が心配だ。

事実、お腹への圧迫に関する重大なエピソードがある。それは、この『タミ―シールド』誕生のきっかけにも大きく関わっている実話だった。
この商品を発明した発明家の奥さんが妊娠7カ月の時。彼女は運転中、不運にも軽微な衝突事故に遭遇してしまう。その際は誰も怪我がなかったのだが、急停車時にシートベルトで奥さんのお腹は強く締めつけられた模様。その後、奥さんは妊娠10週目に可愛い女の子を出産するも、女の子は脳に障害を負って産まれ、それは妊娠中の交通事故が原因であると診断されたという。
その後に授かった2人目の妊娠時、奥さんは後悔の念からシートベルトをしなかった。でも習慣づいたシートベルトをしないことは、逆に不安で恐ろしいことでもあった。その不安から夫婦はシートベルトの圧迫を緩和するアクセサリーを探したのだが、見つかるのはシートベルトを下腹部にずらすだけの頼りない商品ばかり。

最終的に「自分たちと同じ思いを誰にもさせないためには、自ら開発を進めるしかない」と決心するに彼らは至る。研究に研究を重ね、更にはオーストラリアの公的機関での厳しいテストも受け、この“妊婦用シートベルト装着補助具”は開発されたのだ。

以上のような道程を経て誕生した『タミーシールド』の締め方について、ご説明させていただきたい。まず本体を座席に置き、付属するベルトで座席に固定。次に座席に座り、通常通りにシートベルトを締め、肩ベルトを緩めながら腰ベルトを本体の金属フックにかけて装着する。すると、画像のような形になる。腰ベルトは見事に腹部を回避しており、両太腿部で締める仕組みだ。要するに、大きなお腹を圧迫しない。また乗車中に体を動かしても、ベルトがずれてお腹に戻るようなことだってない。

ただ、不安な要素がない訳じゃない。このような締め方だと、シートベルトの効果が薄れてしまわないだろうか? 腹部への影響を気にするばかりで、結果的に母体もお腹の子も重大な事故に遭ってしまったら元の木阿弥。
しかし、それも大丈夫。
前述の通り、オーストラリアで実施された様々な強度試験(高速衝突試験など)をこの商品はクリアしているのだから。安全性は実証されている。
そして『タミーシールド』は、販売実績も凄い。実にワールドワイド。なんと、オーストラリア、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スイス、スペイン、フィンランド、韓国、日本といった世界11カ国で、今までに計数十万個を売り上げてきているらしいのだ。世界中からの信頼も、既に得ていた。

そして、日本国内での今までの反響について。「布製の妊婦用シートベルトは頼りが無かったが、これはピッタリと動きません!」、「とても楽です」といった声の中、「3ヶ月だったのでお腹は出てませんでしたが、圧迫しないという事だけでも安心できます」といった反響も寄せられている模様。
「まだお腹が大きくなっていなくても、胎児がいるとわかった時点で『タミーシールド』を使っていただきたいんですね。締め付けるのは絶対に良くないですから!」(同社・担当者)
事故で受ける衝撃は太腿部などに分散されるので、下腹部を締め付けることはないようだ。

そんな『タミーシールド』は、同社が運営する楽天市場店などで販売されている。価格は15,750円(税込み)。


自分の安全、そして輝ける未来のために開発された“シートベルト装着補助具”。有意義な発明だと、私は思う。
(寺西ジャジューカ)
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