ピッカピカに磨き上げたガラス窓に、可憐なレースの白カーテン。窓辺には、カーテンの白とのコントラストも鮮やかな、赤やピンクの季節の花。
窓掃除と窓辺の装飾には、とことんこだわるドイツ人。その家に住む人が、自分のセンスを外界に向けてアピールする手段、それが「窓」なのだとつくづく感じます。それほどまでに窓には愛情を注ぐのに、窓のほんの数センチ外側にある「雨戸」には、不思議なくらい無頓着。
ドイツの一般住居の雨戸を観察してみると、おおざっぱに分けて二通りの形状が見られます。ひとつ目は、左右2枚の雨戸が観音開きになるタイプ。木製が多いようで、色のバリエーションも豊か。赤あり黒あり黄色あり。窓辺の花やカーテン、家の外壁との色遊びを楽しむかのようにカラフルです。日中はこの雨戸を左右に開け放して外壁に固定し、夜間は左右の雨戸をパタリと閉める仕組みです。
そして、雨戸のもうひとつのタイプが、18世紀フランス生まれという、シャッター式の雨戸。日本の個人商店で見かける灰色の外シャッターのような外観で、閉める際には上から下へとジャラジャラ降りてきて、開けるとシャッターが上部に巻き上がる仕組みです。 住宅地をぐるり歩いてチェックしてみると、このシャッター式雨戸の方が主流。
このシャッター式雨戸の素材は多岐にわたり、合成樹脂(お手入れ簡単だが、防犯上は効果薄)、アルミニウム(防音、防犯効果大。高価で高重量なのが欠点)、木製(防犯効果大だが、雨風に弱く、手入れが煩雑)、スチール(防犯効果大きく丈夫だが、高価)など、それぞれ一長一短があります。
我が家のご近所に、かわいい一軒家があります。外壁はピンク色で、屋根は濃い紫色。芝の一本一本まで磨き上げたかのような箱庭に面する窓辺には、いつ見ても枯れていることがない花の鉢植え。まるでグリム童話から飛び出してきたかのようです。
それなのに、雨戸はと言えば、やっぱり灰色のガラガラ巻き上げシャッター式。昼間、雨戸が巻き上がっている際には見えませんが、雨戸が閉まった光景といったら、ピンクも紫も、芝の緑も鉢植えの赤色も、他てを台無しにしてしまうほどのマイナス効果。
ドイツの雨戸がファッショナブルになる日が、いつか訪れるのでしょうか。
(柴山香)
窓掃除と窓辺の装飾には、とことんこだわるドイツ人。その家に住む人が、自分のセンスを外界に向けてアピールする手段、それが「窓」なのだとつくづく感じます。それほどまでに窓には愛情を注ぐのに、窓のほんの数センチ外側にある「雨戸」には、不思議なくらい無頓着。
ドイツの一般住居の雨戸を観察してみると、おおざっぱに分けて二通りの形状が見られます。ひとつ目は、左右2枚の雨戸が観音開きになるタイプ。木製が多いようで、色のバリエーションも豊か。赤あり黒あり黄色あり。窓辺の花やカーテン、家の外壁との色遊びを楽しむかのようにカラフルです。日中はこの雨戸を左右に開け放して外壁に固定し、夜間は左右の雨戸をパタリと閉める仕組みです。
そして、雨戸のもうひとつのタイプが、18世紀フランス生まれという、シャッター式の雨戸。日本の個人商店で見かける灰色の外シャッターのような外観で、閉める際には上から下へとジャラジャラ降りてきて、開けるとシャッターが上部に巻き上がる仕組みです。 住宅地をぐるり歩いてチェックしてみると、このシャッター式雨戸の方が主流。
雨戸の色も、窓辺の花やカーテンの色とは無関係なグレー系が大半で、観音開き式雨戸のカラフルさと比べても、何とも味気なく見えます。
このシャッター式雨戸の素材は多岐にわたり、合成樹脂(お手入れ簡単だが、防犯上は効果薄)、アルミニウム(防音、防犯効果大。高価で高重量なのが欠点)、木製(防犯効果大だが、雨風に弱く、手入れが煩雑)、スチール(防犯効果大きく丈夫だが、高価)など、それぞれ一長一短があります。
我が家のご近所に、かわいい一軒家があります。外壁はピンク色で、屋根は濃い紫色。芝の一本一本まで磨き上げたかのような箱庭に面する窓辺には、いつ見ても枯れていることがない花の鉢植え。まるでグリム童話から飛び出してきたかのようです。
それなのに、雨戸はと言えば、やっぱり灰色のガラガラ巻き上げシャッター式。昼間、雨戸が巻き上がっている際には見えませんが、雨戸が閉まった光景といったら、ピンクも紫も、芝の緑も鉢植えの赤色も、他てを台無しにしてしまうほどのマイナス効果。
ドイツの雨戸がファッショナブルになる日が、いつか訪れるのでしょうか。
(柴山香)
編集部おすすめ