突然だが、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の女性キャラの惣流・アスカ・ラングレーはドイツ人と日本人の混血という設定になっており、電話で母親とドイツ語で会話しているシーンがある。あと、ギャグアニメ「バカとテストと召喚獣」の女性キャラの島田美波はドイツ育ちの帰国子女。二人ともなぜか頭が良くて気丈な女性キャラ(偶然だろうか、それともドイツ人はそういうイメージ?)。
リアルの世界でいえば、女流作家のクライン孝子、川口マーン惠美といったドイツ人男性と結婚した日本人もいる。それと、ドイツと作家で思い出すのはやっぱり森鴎外の作品。ドイツに留学した青年が、純真可憐なドイツ女性と恋に落ちる悲劇の物語「舞姫」はあまりに有名。ちょっと思い出しただけでもこれくらいドイツにゆかりあるキャラ、人物がいるわけだ。
言葉ではどうだろう。一番有名だと思われるのはArbeit(仕事)。これ、日本では「アルバイト」として定着している。
前置きが長くなったが、これだけ馴染みがあるドイツ語について、今回聞いてみた6名の女子のうち、まともに回答を得たのは僅か2名だった。残り4名は、
「ぜんぜん知らない」
「ドイツ語なんて見たことない」
「友達にドイツ語勉強している人いないし」
「バカだから分かんなーい」
といった結果。これが英語教育ばかりに偏った日本におけるドイツ語の厳しい現実であろうか。
回答らしい回答をくれた一人目の女子は、大学で経営を学んでいる。で、
「ドイツ語を勉強すると、将来ビジネスに役に立ちそう」
というイメージを持っている。理由としては経済大国、好景気、自動車産業が盛んなどやはりドイツには一流先進国としてのイメージが強い。
もう一人の女子はちょっと視点がおもしろい。彼女は漫画家志望で、ドイツ語にはまっている友達がいるという。会うたびにドイツ語の挨拶「グーテンターク(こんにちは)」と声をかけられるそうだ。そのせいで
「ドイツ語って滑らかな発音のイメージがある」というのだ。筆者もドイツ語は英語よりもひとつひとつの単語の発音がはっきりとしているという印象はある。試しにオンライン辞書などで、少女という意味の英語のgirlとドイツ語のMadchen(aはaウムラウト)を聞き比べてみてもらいたい。
で、そもそもその友達がなぜドイツ語が好きかというと「ドイツ語の悪魔的なところ」だそうだ。また、彼女も愛好している「ライチ☆光クラブ」という漫画でよくドイツ語の単語が使われることが影響しているとか。なお、この漫画、ちょっとグロだったりするので観賞するときは注意してください。ドイツってそんな悪魔的なのだろうか。
「ドイツの国旗って黒と赤でしょ。それが悪魔的!」
なるほど、ドイツ国旗は黒、赤、黄の三色旗。イギリス、フランスの国旗に比べて色の組み合わせが暗くて悪魔っぽいというわけか。
ほかに悪魔イメージがどこでドイツ語に定着したのか。ドイツの文豪ゲーテの名作「ファウスト」に出てくる悪魔メフィストフェレスの影響も大きいかも。
「あと、メルヘンな感じもする」
これはグリム童話、ドイツロマン派の諸作品が背景にあるだろう。
ドイツ語に結びつくイメージという難しい質問を若い女子たちに聞くというのはちょっと無謀な気はしていたが瓢箪から駒、結果的にはおもしろいイメージを聞くことができた。予想していたのは「難しそう」「英語と似ているイメージ」「ベンツ、BMW」とかいう回答だったのだが、それらよりはるかに奥が深い!
あなたの周りの女子はドイツ語にどういうイメージを持っていますか?
(羽石竜示)