北欧デンマークの住宅街を歩いていると、夏でも冬でも庭に大きなベビーカーがぽつんと置いてあるのをよく見かける。見張りは誰もいないのだが、中を覗くと、赤ちゃんがすやすや寝ている……。
「大丈夫なのか!?」デンマークに来て最初の頃は、色んな意味で危なくないのだろうかと心配になったが、しばらく住んでいるとそれも日常的な風景となった。

そう。デンマークでは「赤ちゃんは外で寝かせるのがよい」と信じられており、赤ちゃんを外でお昼寝させるのが習慣となっているのだ。もちろん、治安が悪くなく、夏でも比較的涼しい気候があってこそできるのだが、冬でもマイナス10度までは外で寝かせて大丈夫というのだからすごい。

では、なぜ外で寝かせるのが良いのか? 身近なデンマーク人に聞くと「新鮮な空気を吸うと赤ちゃんはよく眠れるんだ」という回答。そうなのだろうかと思って、実際に筆者も試してみると、まさにその言葉どおり、赤ちゃんはベビーカーで外に出るとすぐに眠りについたのである。
なるほど……!

また、これはただの迷信ではなく、医学的にも裏付けられているらしい。看護師によれば、新鮮な外気は赤ちゃんの良質な睡眠を促すだけでなく、ウイルスやバクテリアによる感染症を予防する効果もあるのだとか。そんな諸々の理由があり、デンマークでは、保育園でも赤ちゃんを外でお昼寝させるのが基本となっている。

ちなみに、睡眠に最適な温度は18~19度とのこと。注意事項としては、気温がマイナス10度を下回る場合は禁止。寒い日には赤ちゃんに温かい服を着せる。
風の強い日は避ける。霧や雨の日にはレインカバーをする。暖かい日は薄着で寝かせ、虫よけネットでカバーする。直射日光を避け、ベビーカーは日陰に置くなど。

もちろん、日本の夏場は全くもってお勧めできない。だが、爽やかな気候の初春や秋半ばには、こっそり裏庭やベランダなどで試してみるのもよいかもしれない。
ついでに、大人にも同じような効果があるのだろうか? というのは、気になるところである。
(針貝有佳)