9月に入り、ようやく暑さも落ち着いてきたが、8月の猛暑ですっかり夏バテという人も多いだろう。なかには食欲が落ちたついでにダイエット……なんて思っている人もいるかもしれない。


ところで、ダイエットに最適な季節はいつなのだろうか。

先ごろ、リーボックジャパンが20~50 代の女性を対象に「女性のダイエットとストレス」に関するアンケートを実施。そのなかで「一番やせやすいと思う季節は?」という問いには、「夏」と答えた人が50.6%で最多。次いで「季節によって変わりはないと思う」が21.1%、「分からない」が8.5%、「春」7.4%、「冬」6.8%、「秋」5.6%という結果だった。たしかに秋は「食欲の秋」なんて言葉もあり、ダイエット向きというイメージは薄い。

だが、実はこれは大きな誤解。
順天堂大学医学部の小林弘幸教授によれば、なんと秋こそ、一年のうちで一番ダイエットに向いている季節なのだという。

小林教授いわく、ダイエット成功のカギは「副交感神経」。自律神経には、ストレスや緊張によって高まる「交感神経」と、体をリラックスし休ませる「副交感神経」の2つがあり、両者がバランスよく交互に優位になることが望ましい。そうすれば、血流がよくなり、代謝活動がスムーズになって効率的な脂肪燃焼を促してくれるからだ。

ところが今の時期、暑さや室内外の温度差によるストレスなど夏の疲れがたまり、副交感神経が低下している人が多い。
「自律神経のバランスが乱れると、代謝活動が落ちてしまいます。
つまり、夏は四季のなかで一番ダイエットに向かない季節。一方秋は、穏やかな気候や美しい自然に触れたりすることでストレスが少なく副交感神経があがりやすい環境です」
自律神経のバランスが整いやすいから、ダイエット効果も高めやすいというわけだ。

ところで前述のアンケートでは、ダイエットをしたいのにしない理由として、「続かない、続けられる自信がない」という声が半数以上を占め、はじめる前から心理的障壁を抱えている人が多いことも判明。
「精神的なストレスを抱えながらのダイエットは継続が難しいうえ、副交感神経を低下させるなど、良い結果につながりません」

ダイエット方法として食事制限もポピュラーだが、過度な食事制限もご法度。腸内環境が悪くなり、自律神経が乱れ、内臓脂肪や皮下脂肪を蓄えようとする悪循環も起きてしまう。いわゆる「ストレス太り」というのは、食べ過ぎよりも、ストレスによる腸と自律神経の乱れが原因というケースも多いのだとか。


「ダイエットはストレスをあまり感じないよう、普段の生活をなるべく変えずに取り組めることがポイントです」
という小林教授。同氏が提案する、副交感神経を高めて代謝アップさせるための「副交感神経安定トレーニング」、略して「副トレ」を以下に紹介しよう。

(1)朝コップ1杯の水を飲む(水を飲むと大腸を刺激し、“副交感神経”が活性化)
(2)ぬるめのお湯で半身浴してリラックス
(3)“着心地”・“履き心地”が良いものを身に付ける
(4)(痛みやストレスをともなう運動より、)背筋を伸ばしてリラックスし、ゆっくり歩くことを心掛ける
(5)「イヤイヤする」は何事も逆効果、「気持ち良さ」「リラックス」を重視して快適に生活する

着心地の良い服や靴を履くだけでダイエット効果がアップするというのは意外な気もするが、ダイエットの大敵であるストレスをなくすことが結果的にダイエットを成功に導く近道になってくれるよう。ダイエットのベストシーズンである秋、とりあえず副トレからはじめてみますか。
(古屋江美子)