映画製作発表先行プレミア上映会主演野沢雅子インタビュー映画レビューなど、たびたびエキレビ!で紹介してきた「アシュラ」
9月29日に公開初日を迎え、新宿バルト9で、初日舞台挨拶が行われた。


登壇したのは、アシュラ役の野沢雅子、七郎役の平田広明、主題歌を担当した小南泰葉、さとうけいいち監督。


本編上映後に行われた舞台挨拶。満員になった客席を見渡して、野沢雅子がまっさきに話し始める。
「他の劇場版作品では、当然お客が入るものと考えていましたけど、今回はそうではなかった」
インタビューで、「アシュラ役はいままでの他の作品に比べ色濃く残る」。先行プレミア上映会では「声優をやっていて、よかった」と言うほど、「アシュラ」に思い入れがある野沢雅子。初日の客入り状況を気にしたのは今回がはじめてだそうだ。

野沢は、「アシュラ」のオファーが来た当時、原作の連載当時、神奈川県で有害図書指定され、未成年への販売を禁止するという事態にまでなったことは知らなかったという。
「なぜ発禁になったかわからない!『アシュラ』は人を殺して肉を食う。人間の底辺を描いています。平和な世界に生まれて、失われてしまった大事なところを見つめなすことができる作品です」
平田も続ける。
「洪水のシーンは、東日本大震災で津波を経験された方は直視できないくらいリアルな映像になっています。このシーンを描くのは相当力がいること。
でも、自然の災害とはこういうもの、なにもかも奪い去られた人間たちはこうなっていくんだということをきちんと見せている。『アシュラ』のキャッチコピーに『眼を、背けるな。』とありますが、こういったことからも眼を背けてはいけないと思います。大人たちが本気でつくった映画です」

監督のさとうけいいちは、黙って平田を見つめている。
(どうした?)という表情の平田に「いや、感無量なんです」とさとう。「今日も泣きます?」と返す。今日もふたりは仲良くじゃれあっている。

ここで、さとうけいいち監督から、野沢雅子、小南泰葉の女性陣ふたりにサプライズプレゼント。

思わず突っ込む平田。
「まこ(野沢雅子)さん、男の子役じゃないですか!」
「でも、今日は女になる!」

ふたりは渡された袋を開けていき、驚きがだんだんと笑顔になる。中身はマサカリを持った、アシュラ人形だ。しかも、それぞれの名前の刺繍が入っている。

「わー、嬉しい! 私、好きなものはベッドに置いて一緒に寝るんですよ。アシュラくんの夢が見られるかも!」とはしゃぐ野沢。
羨ましそうに見ている平田に気付き、「ごめんね」とボディタッチをしながら謝るさとうが、今日一番の笑顔に見えたおれは、たぶんどうかしてる。
「次の作品では女優やります!」と平田は悔しそう。
先行プレミア上映会で見せていたふたりの仲の良さは、今回も健在だ。


9月21日、スペインで行われた「第60回サン・セバスチャン国際映画祭」で特別上映された「アシュラ」。
1953年に設立され、1957年にFIAPF公認の国際映画祭と「サン・セバスチャン国際映画祭」でアニメーション作品が条例されるのは異例のこと。3回分のチケットはすべて完売し、現地のファンは大絶賛。さとうも観客たちと写真を撮るなど、かなりうれしかったようだ。


と、ここでステージにボックスが運ばれてきた。こんどはなんだ!?
箱を開けてくださいと指名される野沢と平田。こわごわ箱に手をかけようとする野沢に「両手がふさがっていたら箱を開けにくいでしょう」と平田がマイクを受け取る(結局さとうに、自分のマイクもまとめてあずけていた)。

マイクは渡したけど、「これはダメ!」とばかりに、首を振ってアシュラ人形を両手で抱きかかえていた野沢。よっぽど気に入っているようだ。

箱の中から出てきたのは、生ハム(骨付き肉、まるごと!)とワイン。スペインと言えば! という理由で用意されたらしいが、なぜ生ハムなんだ!?
事前に受け取っていた取材陣に配られるプレスシートに、「29日 (肉の日) にアシュラが獣に!? 本物の塊に食らいつく?!!!!!!」「スギちゃんよりワイルドだぜぇーー!」と書いてあったのはこれのことか!

「ワンピース」でサンジ役を演じている平田は思わず、「(肉好きの)ルフィがこの場にいなくてよかったですね」とコメント。

「アシュラくんも大喜びでしょうね! こういうお肉をたべさせてあげたかったです!」と
、アシュラ人形を抱きしめながら野沢。


スペインで吹いたという「アシュラ」に対する熱い風が日本にも吹き荒れるように、とワイングラスで乾杯。
「道を歩いていて、すれ違う方にも、『アシュラ』をおすすめしてください!」と野沢のことばで締めくくられた。


舞台挨拶会場には、原作者ジョージ秋山が映画のために描き下ろしたアシュラが展示されていた。ジョージ秋山の映画「アシュラ」に対してのアクションをおれは初めて見た。
そして、映画の公開を記念して、9月25日から秋葉原UDX内にある、東京アニメセンターにて、「ジョージ秋山展」が開催中。先行プレミア上映会でも展示してあった、「週刊少年ジャンプ」に掲載された読み切りの原画も観ることができるよ。
(加藤レイズナ)
編集部おすすめ