『ジョジョの奇妙な冒険』の面白いところはどこでしょう。
はい? 全部?
正解!
 
入り組んだ物語、波紋やスタンドのギミックの面白さ、能力バトルを頭脳戦に仕上げる緻密なストーリー展開、ダイナミックな擬音、マンガコマの大胆な使い方、キャラクターの特異なポーズ、ケレン味、緊迫感。

この作品独自の部分をあげだしたらきりがありません。全部! 全部だッ!
そんな1987年から今もなお続いているジョジョシリーズが、アニメ化されました。
25周年です。すごいですね。
正確には以前もアニメ化はされています。1993年から、カプコンの格闘ゲームと同じ第三部「スターダストクルセイダース」がOVAとして、2007年には劇場版で第一部「ファントムブラッド」が公開されています。
ちなみにOVAは表現の問題で回収騒ぎに、劇場版は未だソフト化されていません。
今回はスタッフも一新して、第一部「ファントムブラッド」最初からのスタートです。TVアニメとしては初めて。
 
で、ですよ。
ジョジョって面白いところが多すぎるくらい多いわけです。
映像化する際、じゃあどこを軸にするべきか。

物語は当然しっかり追わなければいけない。キャラは魅力的に描かないといけない。
それは最低限として、「これぞ!」というジョジョの魅力はどこか。
セリフなんですよ。

「俺は人間をやめるぞ、ジョジョー!」
「君がッ!泣くまで!殴るのをやめないッ!」
「酒!飲まずにはいられないッ!」
「そこにシビれる、あこがれるゥ!」
「ゲロ以下の匂いがプンプンするぜーッ!!」
「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!!」

一度は見た・聞いたことがあるはずのセリフの数々。
さすがに25年も前の作品です、マンガのページすべてを覚えている人ばかりでは無いと思いますが、セリフとカットは覚えてるんですよ、ジョジョは。
くわえて、これらのセリフは大げさすぎるポーズで彩られます。
握りこぶし、指差し、そしてジョジョ立ち。
この決めは、一番とは言いませんが、ジョジョを見る上ではかなり重要。
極端な話、ジョジョを読んだことなくてもこれらのセリフを知っている人、多いわけです。

テレビアニメ版のジョジョは、大げさとも思えるほどにこれらのセリフ、有名なシーンを表現することに力を注ぎまくっています。
むしろそれらの名台詞や名シーンを再現するために、演出の全てが注ぎ込まれているくらいです。

まず、欠かせないのはゴゴゴゴバーンなどのような手書き擬態語。
有名なのは、ディオがジョジョを苦しめるために、彼が恋をしたエリナの唇を奪うシーン。
キスをした時の擬音がズキュウウゥンです。こんなキスの音、空前絶後でしょう。
これが、そのまま手書き文字としてアニメの画面上に入ります。
もちろんコマと画面比率が違いますので、完全再現とはいきませんが、限りなく近い形でカットイン。
これだけでテンションあがるってなもんです。

セリフを言う時の独自なポーズ、通称「ジョジョ立ち」もそのまま再現。
声優さんの熱演ぷりは特に必聴。
ジョジョは「○○ッ!」というカタカナ表記の発言が多いです。
それは当然音声としては表現できるわけがないんですが、すごいよ。
聞いていたら間違いなく発音がカタカナなの。

ジョジョ(ジョナサン・ジョースター)役の興津和幸、ディオ・ブランドー役の子安武人のしゃべりの力みようは、通常の演技としては「大げさ」の部類に入るでしょう。
けれど大げさじゃないとジョジョじゃないんですよ
メインの二人のみならず、スピードワゴンなどの名脇役や、雑魚役のキャラクターまでセリフに関しては徹底しまくっています。
これは相当収録大変だったはず。凄みがありますよ。

その声を引き立たせるのは、動きだけではなく、色使い。
ジョジョシリーズの表紙は色使いがちょっと特殊なのは御存知の通り。
紫やオレンジ、緑などを基調としている事が多いため、ぱっと見普通なのに違和感があるんです。
マンガ自体はモノクロなので色はありませんが、その色の「らしさ」を追求しています。
それで演技と相まってジョジョワールドを、独自の解釈で再現しています。

あくまでも独自の解釈なんです。
ジョジョは本当にいろんな見方ができるので、アニメ化する際どこを強調するか迷うくらい切り口の多い作品です。

今回のTV版は、娯楽作としての爽快感と、みんなが共有しているセリフやシーンのピックアップに重点を置いています。
特に第一部『ファントムブラッド』は今更ネタバレとかもないくらい昔の作品ですから、大胆に「ここが面白いよね!」とスタッフが視聴者に語りかけてくるような作りになっています。
もう、見たらしゃべりたくなって仕方ないです。
「あのセリフ、あのセリフすごかったよ!」って。
ストーリーを知っている人も、知らないけどなんか聞いたことある程度の人も楽しめます。
歌舞伎のように、大見得を切っている作品なんです。

個人的に一番感動したのは、EDがYESの「Roundabout」だったこと! それ使うんだ!?
1972年のアルバム『こわれもの(FRAGILE)』に収録されているプログレッシブロックの傑作です。
ジョジョシリーズは、出てくるキャラクターやスタンド、技の名前が古今東西のミュージシャンや楽曲から取られていることでも有名。
ちょっとー、こんなすんごいのEDに持ってこられたら、期待しちゃいますよ?
キング・クリムゾンとか、ピンクフロイドとか、きちゃうの? きちゃうの?!

もう今から「お前は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」のセリフや、座ったまま跳躍するツェペリさん、石の上のカエルを殴るメメタァなど、楽しみでなりません。
問題は、何部までやってくれるか、ですね。現在はまだ公表されていませんが是非『ジョジョリオン』まで全部やってほしいところです。

To Be Continued

(たまごまご)
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