新・世界7不思議(自然版)とは、スイスの新・世界7不思議財団(New7Wonders)が世界中からのインターネットや電話投票をもとに決めたリスト。ハロン湾のほかには、南米のアマゾン、アルゼンチン・ブラジルのイグアスの滝、韓国の済州島、インドネシアのコモド国立公園、フィリピンのプエルト・プリンセサ地底河川国立公園、そして南アフリカのテーブルマウンテンが名を連ねている。
すでに1994年にユネスコ世界遺産にも登録されているハロン湾だが、新・世界7不思議(自然版)への思い入れも熱かったようで、今年正式に認定が決まると記念式典や花火のセレモニーで盛大にお祝い。すでにハロン湾には登録を伝える看板も立っているほど。
さて、そんなハロン湾。いったいどんな不思議スポットなのか。先日、2008年から運航しているハロンエモーションクルーズに乗船。1泊2日のクルーズで、その不思議をたっぷり体験してきた。
海の桂林ともいわれるハロン湾は、奇岩・奇峰が織りなす景観が有名。ハロンとは「龍が降り立った地」という意味なのだが、まさにそんなシーンに出くわしそうな神秘的な風景が続く。これだけでも見にくる価値は充分にあるが、ハロン湾のお楽しみはそれだけじゃない。
奇岩に次ぐハロン湾の見どころといえば、鍾乳洞。
洞窟探検に疲れたあとは船に戻ってのんびり、ではなく、ビーチでくつろぐのがハロン湾スタイル。なんと近くのティトップ島には人工ビーチがあり、遊泳OK。まさか世界遺産のハロン湾で泳げるとは思いもよらなかったが、欧米人やベトナム人はそのあたりの用意周到。さっそく水着になって泳いでいた。ちなみにレンタル水着もアリ。
さらに翌日はハロン湾に浮かぶ水上生活村を訪問。ハロン湾では約4,000人が水上で暮らしているそうで、村には役場や学校、カフェなどもある。それぞれの家には住所があり、郵便物もちゃんと届くそうだ。
こうしたスポットめぐりに加えて、船上ではタイチー(太極拳)レッスンやベトナム料理教室なども開催されており、これがまた結構楽しい。
ところで今年のはじめ、ハロン湾管理局によってハロン湾のすべての観光船が船体の色を白くするよう命じられ、実際どの船も白くなっていた。なかには慌てて塗りました感のある船もいたりして、日本人のあいだでは従来の茶色い船の風情を惜しむ声も少なくないが、現地のガイドさんいわく、
「白の方が明るいし、活気があっていい。ベトナム人の評判はいいですよ」
とのこと。そう聞けば、たしかにそうかもという気になってくる。まあ、いずれは見慣れるだろう。
ハロン湾の不思議というと、一般的には奇岩や鍾乳洞など自然の織りなす景観ということになるだろうが、個人的には多彩すぎるクルーズのアクティビティやそこかしこに垣間見えるベトナム人ならではのセンスに驚かされることも多かった。
ハロン湾クルーズはアクティビティも多く、若者やファミリーにも人気。ちょうど11月からはベストシーズンを迎える。アクセスはハノイから陸路で3時間前後なので、先日紹介したサパと組み合わせて海と山のベトナムを満喫するのもいい。
日本ではクルーズはシニアの楽しみというイメージも強いが、ハロン湾なら気軽にクルーズデビューできそうだ。
(古屋江美子)
取材協力:ベトナム航空