「戦車模型をはじめる最大のチャンス到来! ……だって、いままでこんなにも躍動的な「動く戦車」を見たことなかったでしょう?」
そう、そのとおりなんだよ! バンバン!
ぼくもぬるいミリタリ好きですが、いかんせん戦車模型はハードルが高い。
どれを買えばいいのか、どこが魅力的なのか、知識がないとわからないし、わからないから手が出せなかった。しかも難しいらしいじゃないか。
でも今は違う。
「『ガールズ&パンツァー』でみほや秋山殿が乗っていたIV号D型戦車が作りたい!」でいいんです!
ガンプラと同じ感覚で、戦車模型に触れられる時代がきたよ!
現在放映されているアニメ『ガールズ&パンツァー』は、最初に言っておくと「ぱんつじゃないから恥ずかしくない」的なものはでません。
出てくるのは、ごく普通の女の子達です。
ただ、彼女たちのいるこのアニメの世界は、一点だけ大きな違いがあるのです。
それは、戦車に乗るのは女子のたしなみという「戦車道」があることです。
華道、茶道、書道、戦車道。
第一話で話されていたこのモブキャラの会話が衝撃でした。
「男子戦車道って確かに聞いたこと無いよねー」
「男子と戦車ってなんかミスマッチー!」
「彼が私のミリタリールック、早く見たいって☆」
よしわかった、理解したぞこの世界。そういうことなんだな! 細かいことはいいんだよ!
戦車道の家元である主人公西住みほが機転の効いた戦略で戦車長を努めます。
明るくておしゃべり大好きな沙織はコミュニケーション能力を生かして通信手。
冷静で華道をやっていた華は調整が必要な砲手。
天才肌で不思議ちゃんの麻子は操縦手。
元気いっぱいミリタリーマニアの優花里は装填手。
なるほど、アニメで女の子いっぱい出てくると混乱することありますが、この戦車を動かすためのパートわけがしっかりされているのは非常にわかりやすいし覚えやすい。
5人1チームって、ほんと部活っぽい。
実際作中でやってることは部活なんですよ。息をあわせ、戦術を組んで、練習を重ねる。熱血根性ものです。
でも撃たれたら大怪我しない? 死んじゃうでしょ?
死にません。怪我しません。
軽いけがはしますが、深刻な怪我はしません。もちろん気をつけないと危ないですけど、今のところ戦車撃たれても怪我してません。
理由ですか?
わかりません。
いいんだよそういうのは! 撃たれて、あたったら旗があたってヒット。負け! それで、いいの!
戦車は壊れるけどね。
この、戦車の魅力で何もかもをねじ伏せて安心して見られるテンション、実に素晴らしい。
戦車戦は1両でするものではありません。複数で戦術を立てるものです。
となると、同じ学校でも戦車は何両も出てきます。
みほ達あんこうチームが乗るのはIV号D型戦車。
歴史大好き歴女カバさんチームが乗るのはIII号突撃砲F型。通称III突。
バレー部復活を願うアヒルさんチームは八九式中戦車甲型
元気いっぱいな生徒会長と仲間たちことカメさんチームは38(t)戦車。
まだまだ幼さの残る一年生のウサギさんチームはM3中戦車。
分かる人なら「あーなるほどね」なラインナップ。第二次大戦時の、ドイツや日本の有名戦車なんです。
分からない人なら「アヒルさんチームの戦車かっこいいよね!」と楽しむのが吉です。
戦車知っていたら面白さは倍ですが、知らなくても、動きまわる戦車の様子や、戦術の組み方見ているだけでわくわくします。
死なないスポーツ状態の戦車ってほんと最高ですね。
今放送されている分では、他の学校の戦車も登場し、非常に凝った戦車戦が見られるんですが、最初の頃のカオスっぷりもいいんですよ。
なんせ、みほ以外戦車を知らないから、戦車を派手にカラーリングするという暴挙を行います。
デコっちゃう、みたいなノリです。女の子ですな。
うさぎさんチームはかわいさ重視でどピンクに塗っちゃいますし、カバさんチームにいたっては戦国時代みたいに旗を立てちゃいます。
目立たないための戦車なのに目立ったら意味無いじゃん!!!
……でも確かに面白い。なら模型で作ろうという気を起こさせてくれるのですよ。
『ガールズ&パンツァー』は女の子がいっぱい出てきても、ほとんどお色気シーンはありません。熱く楽しい学園ドラマと言っていいです。
舞台である茨城県大洗町で戦うこともあり、それに伴い大洗で行われた「あんこう祭り」withガルパンには、数多くのファンが集まり、想像以上の大盛り上がり。町も一丸となってガルパンを盛り上げています。
DVD/BDの予約売上も上々。ものすごい人気なんです。
女の子がかわいいのはもちろんですが、それだけ戦車が動くことに魅力があるというのをこの作品が実証しているのがすごいんです。
今までのセルアニメだと、戦車を動かす=線が多くてメンドクサイ描写の極み。
まして地面に起伏があったら、それにあわせて揺れ、動き、キャタピラが回らないといけない。
だから今まではほとんど不可能だったのです。でも今は3DCGを使って動かしまくれるようになりました。
これでやっと、リアルな戦車の動きが再現できる。
今だからこそ、できたアニメなんです。
『月刊モデルグラフィックス』のインタビューではこう語られています。
「たとえば怪獣が登場するような特撮映画では、戦車は「怪獣の強さ」を演出するための道具でありパターンがほとんどですよね。ロボットアニメでも、あくまで戦車は支援メカという描かれかたです」
確かにその通り。怪獣に踏み潰されたり、使徒に焼かれたり、援護射撃を行ったり。主役になったことがほとんどない。
けど、この作品の主役は、少女たちであり、戦車だ!
なるほど、「戦車」が動くのを潜在的に見たかった人は、やはり多かった、ということなのでしょう。
主人公たちの学校以外の戦車や、ちょいちょい挟まれる小ネタでも実在の軍用機が登場。たとえば戦車喫茶でケーキを運んでくるドラゴンワゴンを見てニヤリとした人もいるのでは。本当に細部までこだわっています。
あとはヒロインたちの魅力。
キャラクターは本当にいい、すごくいい。個人的にオススメなのは、髪の毛がくせっ毛でぼさぼさ、普段からめちゃくちゃコアなミリタリーマニアの少女秋山優花里殿ですね!
野営用リュック背負った女の子とか最高じゃない?!
って思うんだけど。どうかな。
戦車模型ですが、作り慣れている人は1/35 WW.II ドイツ軍 III号突撃砲F/8型 w/ヴィンターケッテなど元々ある戦車模型をカスタムするのが一番楽しいでしょう。
そうではなく、この作品で戦車に興味を持った人は、アヒルさんチームの八九式はすでに発売中ですし、12月以降カバさんチーム( III突)、カメさんチーム(38(t))、あんこうチーム(IV号戦車D型)と発売予定ですので、こちらを買うのがオススメ。
というのも、カラーリングや文字だけではなく、パーツの作りがとにかく普通の戦車プラモは難しい。それをできるだけ、できるだーけ簡単にしたのがこれらのガルパンモデルだからです。
それでも、あんこうチームのIV号は難しいらしい。
これは……いっちょ挑戦したら、ぼくも秋山殿と同じ気分になれるでありますか!?
モデルグラフィックス 2013年1月号 日本戦車道連盟認定オフィシャルガイドブック
ガールズ&パンツァー 1(BD)
(たまごまご)