それが山梨県甲府市の老舗ケーキ屋、早川ベーカリーの「ぶどうの葉かすてら」。
チョコレート味や抹茶味のかすてらは珍しくないが、さすがにぶどうの葉テイストは新鮮。そもそも、ぶどうの葉が食べられることもあまり知られていないだろう。同店のオーナーシェフである小川さんに話を聞くと、
「ぶどうの葉には、鎮静効果や殺菌効果、睡眠誘発効果などがあるといわれ、ヨーロッパでは薬品としても利用されています」
また、肉をぶどうの葉に包んで漬け込むと柔らかく美味しくなるため、料理に使われることもあるという。
ぶどうの葉を使っているため、かすてらの色は鮮やかな緑色。気になる味だが、
「ぶどうの葉はお茶のように香りが強いわけではないですが、わずかに渋みがあります」
とのこと。実際に食べてみると、ふわっと口の中に甘さが広がりつつも、爽やかな味わい。聞けば、ポリフェノールもたっぷり含んでいるのだとか。
1996年より発売をスタートした同商品。もともとは小川さんが県内のとあるワイナリーでぶどうの葉を使った料理を食べたことが開発のきっかけ。毎年5月に間引きの目的で収穫される新芽と若葉を使っており、ぶどうは葉を落としてから消毒をするため新芽や若葉は無農薬だ。
山梨は日本一のぶどうの産地だが、それでも商品化までの道のりはスムーズではなかったという。
「いろいろ試した方法が2011年に特許として認められ、現在に至ります」
過去には長崎のカステラサミットに山梨代表として参加し、ご当地カステラとしての支持も集めた。
販売は早川ベーカリーと甲州市勝沼ぶどうの丘の2カ所のみ。
「通販やネット販売のお話もいただくのですが、ぶどうの葉を集めていただく農家の方たちの苦労を考えると乱売はしたくありません」
山梨の食材を使った本当の意味での山梨らしいお土産として人気を集めている。
山梨を訪れた際には、ぜひチェックしてみては。
(古屋江美子)