カプコンの公式サイトで、ストリートファイターの人気キャラ投票がはじまりました。
で、見ていただければわかりますが、カプコン公式オフィシャルキャラだけでもすごいキャラ数です。
これ全部空で言える人がいたらすごいですよ。
さて、「ストリートファイター」シリーズ、初代が登場したのが1987年。
実に26年の歳月が経っております。生まれていない人も多いかもしれませんね。
ここで、「ストリートファイター」にまつわる格闘ゲームの歴史をさらってみたいと思います。
公式記事ではないので、いろいろあった現象なども併記してみます。
さて、あなたはどこから始めた?
・ストリートファイター(1987年)
登場キャラ:隆、拳、サガット、アドン、イーグル、バーディ、元、李、マイク、ジョー、烈、激
体力ゲージを奪っていく、2ラウンド先取、乱入有り、レバー後ろガードという今の格闘ゲームスタイルのベースになっている作品……なんですが、おそらくストリートファイターシリーズとしては最もとんがった作品。
あるのはレバーのほかはパンチとキックのみ。このボタンが非常にでかく、ボタンを殴った強さで技の弱中強が変わるという、圧力センサー使用の、リアル体力を使うものすごいゲームでした。
波動拳、昇竜拳、竜巻旋風脚はこの時から存在。死ぬほど出すのが難しく、まさに必殺技で、当たるとめちゃくちゃ減りました。
当時見たことがなくて、押切蓮介のマンガ『ハイスコアガール』で初めて見た人もいるのではないでしょうか。
今はWiiのバーチャルコンソールで遊べます。
・ストリートファイターII(1991年)
登場キャラ:リュウ、ケン、春麗、エドモンド本田、ザンギエフ、ガイル、ブランカ、ダルシム、M・バイソン、バルログ、サガット、ベガ
このゲームが出た時、ゲーセンはまさに「革命」でした。
対戦をするゲーム、という形態を確実にゲームセンターに持ち込んだ作品です。
スト2はスーパー、駄菓子屋、ゲームショップなどにも置かれました。実はこれがものすごく大きい。というのも当時ゲームセンターは小中学生禁止な事が多かったからです。
ボタンは、今後ベースになっていくパンチとキック弱中強の6ボタン。必殺技のコマンド入力も現在の格ゲーほとんどがスト2に習っています。
加えて、当初バグだった「通常技の最中に必殺技を出すと、戻りモーションにキャンセルがかかる」のが面白い、というところから、キャンセル連続技が研究されます。
当時はバランスも悪く(小足連打で気絶したり)バグも多かったのも事実ですが、当時はそんなのはどうでもいいくらいの熱気でした。
・ストリートファイターII’(1992年)
対戦ゲーム人気にあわせて、対戦バランスを大幅に調整。同キャラ対戦も可能になりました。
対戦が研究されると、バランスがシビアになっていくもの。当時は「ダブルニーハメ」と呼ばれるようなハメ技、永久コンボもあり、そのままゲーセンでケンカになることも。リアルファイト。
なのでゲーセンごとのルールで「ベガ禁止」「待ちガイル禁止」など、ゲーセンごとの文化ができた作品でもあります。
ちなみに海外で四天王の名前は「M・バイソン→バルログ」「バルログ→ベガ」「ベガ→M・バイソン」に変更。理由は「ベガ」が女性的な名前だったため。
・ストリートファイターIIレインボー(1992年)
ずばり海賊版です。海外版だと降龍なんてのもあります。レインボーというのも正式名ではなく、ロゴが虹色だから。
スト2人気がもう爆発的だったため、改造した海賊版が出回りまくり、日本でも一部のゲーセンに流出。
ゲームにならない状態になっているのが、3回転くらいして面白くなっちゃってます。
特にひどいのがガイル。
また、ワープする竜巻旋風脚、スタートボタンで試合中キャラチェンジできる、など、試合にならない。
この乱雑さが一部のスト2ファンに大ウケ。もちろんすぐ撤去されましたが、今なお根強いファンが多いです。
当時の人気が、黒い部分から浮き彫りになった作品としてある意味重要。
・ストリートファイターII’TURBO(1992年)
本当は「スーパーストリートファイターII」の方が先に開発されていたのですが、国外で先に発売されたバージョン。海賊版増えすぎちゃったか……?
タイトルの通りスピードアップし、戦い方が大きく変わったためファンが喜んで研究開始。バランスもかなり調整されています。ダメージ自体が小さくなっていて、すぐ死ぬようなことはなくなりました。
このあたりから「バージョンアップで変わる調整内容を、ユーザー間で共有して、連続技開発」という、今の格闘ゲームの文化が生まれます。ネットがなかったので、雑誌『ゲーメスト』での交流や、ゲーセンノートでのやりとりが盛んでした。
また「隠し必殺技」があるというので話題になり、みんな必死にコマンドを入れて探したものです。
・スーパーストリートファイターII(1993年)
追加キャラ:T・ホーク、フェイロン、キャミィ、ディージェイ
新キャラ4人追加、というのに心躍らせたファンも多いのですが、なんといってもドットグラフィック・音楽・音声が大幅にパワーアップ。キャラカラーも8色に。
大型ディスプレイに二人掛けで座ってプレイする筐体もあり、当時の人気っぷりが伺えます。
また、待望の女性キャラ、キャミィに心奪われた人も多数。ぼくとか。
大変盛り上がったのですが、次のタイトルが半年で出たためこの作品自体は記憶に薄い人も多いかもしれません。
8人トーナメントシステムの走りでもあったのですが、こちらもほとんど普及せず。
・スーパーストリートファイターII X(1994年)
追加キャラ:豪鬼
スパ2からすぐ入れ替えになった、「スト2」シリーズの決定版。2004年に『ハイパーストリートファイターII』というリニューアル版が出るまで、現役稼働だったロングヒット作品。3DOのキラーコンテンツでもありました。
通常技も必殺技も追加・変更されているため、ほぼ完全新作。
投げ受け身など細かいシステムも多く追加されています。今の格ゲーでは当たり前のことも、当時は大発明だったのです。
・ストリートファイター ザ・ムービー(1995年)
登場キャラ:ガイル大佐、キャミィ、キャプテン・サワダ、リュウ、ケン、春麗、E本田、バルログ(バイソン)、ブレード、ベガ(バルログ)、サガット、ザンギエフ、バイソン将軍(ベガ)、アクマ(豪鬼)、他
映画版『ストリートファイター』の実写映像を切り取って動かしている格闘ゲーム。実写取り込みの格闘ゲーム結構あったんです当時は。
ガイルが主人公です。大佐! 『スト2』とは別物どころじゃないイロモノ作品。システム自体が全く別物なので理不尽な死に方をすること多い怪ゲーム。
そこが味があって面白いんですが、あまり出まわらなかった作品です。
・ストリートファイター リアルバトルオンフィルム(1995年)
登場キャラ:ザ・ムービーからブレード等削除
『ザ・ムービー』と同じように、実写取り込みの格闘ゲーム。ただそちらにに比べてゲームは『スパ2X』寄りで、必殺技を強化できるEX必殺技の元になるシステムもある、よくできているゲーム。
なんといってもインパクト絶大なのは「キャプテン・サワダ」。
・ストリートファイターZERO(1995年)
登場キャラ:リュウ、ケン、春麗、ナッシュ、ソドム、ガイ、バーディー、アドン、ローズ、サガット、ベガ、豪鬼、ダン
今までのドット絵からアニメ絵に! 3のつなぎとして開発されたシリーズだったのが人気を博しました。
システムが大幅に変わっており、空中ガード、ダウン回避などが追加。
一番大きいのはアニメ絵になったことでサガットなどのキャラが大幅にでかくなり、デフォルメが効いていること。世界観も1と2の間でのようで、そうでもない。『ファイナルファイト』キャラも出てくる、ファン向け仕様です。
隠しキャラは強い、という常識を覆した、最弱キャラ・ダンには話題騒然。SNK的なネタも盛り込まれた遊びの多い作品です。
・ストリートファイターZERO2(1996年)
追加キャラ:春日野さくら、ザンギエフ、ダルシム、ロレント、元、真・豪鬼、殺意の波動に目覚めたリュウ、キャミィ
あの弱キャラ代表のザンギエフが強くなった! 当時は衝撃でした。空中ガードバンザイ。
戦う女学生春日野さくらが、今までのシリーズの世界観を覆した作品。一躍カプコンの顔の一人になります。
すぐ後に『ストリートファイターZERO2ALPHA』が発売。「II'」バージョンの隠しキャラとして数人と、色違いさくらを追加してマイナーチェンジしたバージョン。「ドラマチックバトル」など、アニメ的演出もいれた、調整と遊びのバランスがよいバージョンです。
・ストリートファイターZERO3(1998年)
追加キャラ:神月かりん、コーディー、レインボー・ミカ、バルログ、ブランカ、エドモンド本田、M・バイソン、ユーリ、ユーニ、ファイナルベガ
ZEROシリーズシステム(空中ガードあり、マンガ絵)の最高傑作として今も稼働中の作品。「ISM」システムをこの作品から搭載し、ゲージを「通常」「攻撃特化」「オリジナルコンボ」と使い分けることで、一つのキャラでも長く遊べるように。
かりんはマンガ『さくらがんばる!』からの逆輸入キャラ。また『ファイナルファイト』のコーディーが、まさかの囚人に。出た当時はゲーマーに衝撃を与えました。
バランスも非常に細かく調整され、遊びモードも多彩。とにかくファン向け要素の多い作品になっています。ユーリとユーニなど、他の作品に出ないキャラもいて、今も愛されている作品。2001年には「アッパー」というマイナーチェンジ版として、T・ホーク、ディージェイ、フェイロン、ガイルが追加されました。
・ストリートファイターIII(1997年)
登場キャラ:アレックス、リュウ、ケン、ユン、ヤン、ダッドリー、いぶき、エレナ、ショーン、オロ、ネクロ、ギル」
見ての通り、リュウ・ケン以外すべて新キャラ。主人公を変えた完全な新作として登場した作品。
何と言ってもグラフィックの変化が凄まじく、気持ち悪いほどぬるぬる動いてファンを驚かせました。
システムも2やZEROと全くの別物。特にレバーを前(下段は下)にいれて相手の攻撃を弾くブロッキングは、今までにない攻防を産みました。
ところがこの時期、「ZERO」や「ヴァンパイア」シリーズ、3D格闘ゲームやSNK系列のゲームが爆発的に人気になっており、その中ではちょっと地味な存在。極めて玄人好みですし、今までのスト2キャラほぼいないですし。
・ストリートファイターIII 2nd(1997年)
追加キャラ:ユリアン・ヒューゴー・豪鬼
とんがっていた一作目から、バランスを整えながらEX必殺技などの新システムを追加。実は2ndが出た時にすでに3rdの発表もされており、これは過渡期であることを明確化しました。
・ストリートファイターIII 3rd(1999年)
追加キャラ:春麗、レミー、まこと、トゥエルヴ、Q
IIIシリーズのシステムを煮詰めに煮詰めた結果完成した、決定版中の決定版。現在も絶賛稼働中の化け物格闘ゲーム。ほとんど完全新作という修正と絶妙なバランスで、カプコン2D格闘ゲーム最高峰という人も多い作品。
ブロッキング前提としたシステムはお世辞にも「簡単」とはいえず、練習必須。
しかし「やればやるほどうまくなれる」テクニカルさや、SGGKやしゃがグラのような自力で探せる操作感、キャラの強弱はあれど気を抜けば大逆転がありうる緊張感と、格闘ゲームのいいところが全部詰まったかのような作品になりました。
なんとも格闘ゲーマーの突き詰めるテク心をくすぐります。ウメハラの全段ブロッキング対戦動画はあまりにも有名。
・ストリートファイターEXシリーズ(1996年〜2000年)
登場キャラ:リュウ、ケン、春麗、ガイル、ザンギエフ、スカロマニア、ドクトリンダーク、クラッカージャック、ほくと、プルム・プルナ、カイリ、アレンスナイダー、ダラン・マイスター、ブレイア・デイム、豪鬼、ベガ、ガルダ
EX plus追加:殺意の波動に目覚めたリュウ、血の封印を解かれたほくと、サイクロイドβ、サイクロイドγ、ダルシム、さくら
EX2追加:七瀬、ブランカ、バルログ、シャロン、ハヤテ、シャドウガイスト
EX2PLUS追加:サガット、エリア、ヴルカーノ・ロッソ、ベガII、ARK-99
EX3追加:エース、トゥルーベガ
カプコン発売ですが、作っているのはアリカ。3Dポリゴンです。
『鉄拳』などと異なり、3Dだけど2D格闘ゲームと同じ操作性、というのが斬新。スト4と同じ感覚です。
キャラクターデザインはZEROに近く、スト2とはキャラが必ずしもかぶっていないパラレルな作品。
びっくりするほど操作感覚が2D格闘的で、システムも基本似ています。レベル3専用の「メテオコンボ」は、超超必殺技とでもいうど派手さ。
格闘ゲームにおいて、3Dと2Dの乖離と融合をどうするかの時期に産まれた、かなり良く出来たゲームです。
・ストリートファイターIV(2008年)
登場キャラ:スト2キャラすべて+クリムゾン・ヴァイパー、アベル、エル・フォルテ、ルーファス、セス、豪鬼、剛拳
家庭用追加:さくら、フェイロン、キャミィ、ローズ、ダン、元
2D開発をやめたカプコンから満を持して登場した完全3Dのストリートファイター。
3Dなのに完全に2D的に動く完成度、筆風のエフェクト、3Dならではの演出などが大きく目を引く作品でした。
何と言っても、複雑化しまくってしまったシステムから一旦原点回帰するような、シンプルな操作が最大の魅力。『III』のような先鋭化された難しさがなく、コマンド入力も簡単。対戦台でも最初は練習ができるなど、細かい配慮がされた作品です。
しかし、セービングシステムの追加で、単純に見えて実は非常に深いゲーム性を持っているのが特徴。間合いと読み合いの重要な完成度を誇る作品になりました。
格闘ゲームが、ゲーセンに人を呼び戻した、という意味で非常に大きな意味を持った作品。特にスト2世代の血をたぎらせました。
時代はかわり、家庭用オンライン対戦が、ひたすらに熱い。
・スーパーストリートファイターIV(2010年)
追加キャラ:T・ホーク、ディージェイ、コーディ、ガイ、アドン、ダッドリー、いぶき、まこと、ハカン、ハン・ジュリ
AE追加:ユン、ヤン、殺意の波動に目覚めたリュウ、狂オシキ鬼
大幅にキャラを追加、そしてバランスを調整した作品で、現在絶賛稼働中。通称「スパ4」。
世界中のキャラが出るのが魅力とはいえ、ハカンのトルコ相撲には驚かされました。カプコン尖ってる。ジュリはドSキャラが人気で、新しいカプコンの顔になりつつあります。
「アーケードエディション」はさらに調整したバランスのもの。ユンとヤンがびっくりするほど強くて猛威を振るっていました。4では最弱レベルだったガイルが、ちょっと溜め時間と判定を変えただけで一気に強キャラに。格ゲーのバランスって難しい。
・その他、ストリートファイターが絡むゲーム
X-MEN VS. STREET FIGHTER(1996年)
MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER(1997年)
ポケットファイター(1997年)
SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ(1999年)
頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM(1999年)
MARVEL VS. CAPCOM(1999年)
MARVEL VS. CAPCOM 2(2000年)
CAPCOM VS. SNK(2000年)
CAPCOM VS. SNK 2(2001年)
SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS(2003年)
CAPCOM FIGHTING Jam(2004年)
NAMCO x CAPCOM(2005年)
タツノコ VS. CAPCOM(2008年)
MARVEL VS. CAPCOM 3(2011年)
ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3(2011年)
ストリートファイター X 鉄拳(2012年)
プロジェクト クロスゾーン(2012年)
山のようにありますが、2でゲーセンを活性化させ、3で頂点に一度到達し、4で再びゲーセンに人を引き込んだストリートファイターシリーズ。話題もゲーマーの間では常にあり続けました。
イングリッドの存在とかね。
そろそろ『ヴァンパイア』の新作がほしいなーとか思ったりもしますが、やっぱりそれでも『ストリートファイター』が好き。
バランス調整大変だとは思いますが、引き続き新しいものに挑んで欲しいです。
個人的にはかりんを、ZERO3のかりんを復活させてくださいお願いします。
(たまごまご)