●圭一「一度ぐらい謝ったらどうなんですか。りかにも美津子さんにも!」
若くして亡くなった実兄の死は荘太の裏切りが原因だという心情の吐露から始まった、圭一のターン。
「あんたが兄を殺したんだ。殺したも同然だ」「柏木さん、兄に謝ってください」と詰め寄る。荘太に「お前、それほど俺を恨んでいるのか。なら、なんで俺の家にいりびたっていたんだ。美津子が目的だったんじゃないのか」と反撃されると、「僕と美津子さんは最後の一線を越えたことはありません!!」と憤慨する圭一。「美津子さんにそんなことをさせるぐらい追い込んだのはあなたでしょう!」「寝取ってません!」「一度ぐらい謝ったらどうなんですか。りかにも美津子さんにも」と学級会よろしく責めたてた。
●荘太「俺だって、俺なりに家族を守って頑張ってきた」
原作には登場しない、荘太による会社乗っ取りにまつわるエピソード。ドラマでは、最後の最後で荘太が本音をぶちまける。
●りか「本物の夫婦なら全部自分をさらけ出せばいいじゃないですか」
「私、あなたに勝っているって思ってました」と、愛人時代を振り返るりか。大きな家に住み、毎日高いワインを飲んでいるはずの荘太が、自分の部屋では焼酎を飲み、満足して帰って行く。「これは愛だ。
「笑わせないで、何開き直ってるの! 愛人と妻は全然違うわ」と激昂すると、じつは荘太に利用されていただけだったと明かす。のろけ話も美津子の本音を引き出すための手段だったらしい。「本物の夫婦なら全部自分をさらけ出せばいいじゃないですか。思っていることぜんぶぶちまけたらいいじゃないですか」と煽る。
●美津子「嘘でもいいから、愛してるから結婚したって言ってよ! 言ってよ!!」
りかに煽られ、美津子が本音を語り出す。心のどこかで夫である荘太を見下しているところがあったかもしれないという。しかし、家を建てるとき、当然のように実家から援助をうけるつもりだった美津子に対し、荘太は「誰からも助けを借りずに自分の力だけで建ててみせる」と言い、その通りに実行した。
そのときから、この家が美津子の“城”になったというのだ。娘が生まれ、家族という形になり、荘太が浮気を繰り返しても、自分は幸せだと言い聞かせてきたと、淡々と語る美津子。ここでキレ芸モードがスイッチオン。
どこかかみ合わない話し合いは、柏木夫妻の娘・美羽(吉田里琴)の帰宅で幕引きとなる。そして半年後、相変わらず美津子はエステでせっせとアンチエイジング。ファミリーパーティに向けたメンテナンスに余念がない。りかは圭一と別れ、実家に戻り、出産準備中。そこへ圭一が現れ、通りすがりに婚姻届けを渡す。第一話で、荘太がりかにメモを渡したように、パシッと。
ちなみに、今回のドラマの原作である小説『残花繚乱』(岡部えつ/双葉社)の結末はまるで違う。ドラマの登場人物たちがやたらと本音をさらけ出そうとしたのに対し、原作での彼らはむしろ、秘密を尊ぶ。それは単なる保身ではなく、覚悟を持った上での沈黙だ。原作のラストに登場する、思いがけないカップリングも必見です。
(島影真奈美)