2月の記念日といえば、何がある? 言うまでもなく、思い浮かぶのはあの日。2月14日は「バレンタインデー」であります。

しかし、その2日前も忘れちゃいけない。皆さん、「ブラの日」ってご存知ですか? アメリカ人女性であるメアリー・フェルブス・ジェイコブさんが、ブラジャーの原型となるものを考案し、特許を申請した日が2月12日だったそうなんです。

そして来年は、ブラジャー生誕100周年にあたるという。めでたい! そんな栄えある記念イヤーを間近に控え、ワコールが「日本のブラジャーの歴史」をまとめてくれております。
こちらを参考に、ちょっと皆さんと振り返っていきましょうか。

■ ブラジャーが誕生するまで
バストを覆う衣類の起源は紀元前3000年中期に遡るといわれ、当時はバストを覆うのではなく、乳房が垂れ下がらないようにアンダーバストを下から支えるベルト状のものであったと伝えられています。

その後、バストを押さえつけ小さく見せ、身体の女性的特徴を隠すという禁欲的意味合いを持つ時代などを経て、1914年2月12日、アメリカのメアリー・フェルブス・ジェイコブ氏が「BRASSIERE(ブラジャー)」で特許を申請。それまで肩ひもがないためズレ落ちたり、着け心地が不安定だった「バスト・ガードル」と呼ばれていたものに肩ひもをつけ、定位置にぴったり安定するようになった現代のブラジャーの原型的なものと言われています。

■ 日本のブラジャーブームの火付け役『ブラパット』
日本では、昭和初期の1929年代に「乳房バンド」が誕生。当時は着物文化でバストを目立たせるという発想自体がなく、なかなか普及しませんでした。しかし終戦後、急速にファッションが欧米化した背景もあり、1949年にワコールの前身「和江(わこう)商事」から発売された、バストを形良く見せる『ブラパット』が大人気に。この『ブラパット』は、日本人が憧れたバストの理想形に近づけるためのものという発想で、誰もが同じ形のバストになることを目指しており、個々人の体型に合わせるという考え方ではありませんでした。


■ 日本人の体型に合わせたサイズ規格に
1950年には、当時アメリカ人用のS・M・Lサイズ展開のブラジャーを日本人女性向けのサイズに変えた、和江商事第一号のブラジャー生産がスタート。ここから、日本人女性を快適で美しく見せるブラジャーの歴史が始まったと言えます。さらに1956年には新しいサイズ規格が採用され、より日本人女性に合う形へと発展を遂げました。当時はトップバストの周径値とカップサイズを組み合わせ、例えば「32 B」(数値はインチ)などと表記されていました。

■ 日本人女性の体型研究をスタート
東京オリンピック開催の1964年頃から、“素材”が下着に革新をもたらします。伸びる繊維の使用で心地良い装着感を実現したワコールの『ストレッチブラ』など、フィット性の高いブラジャーが女性をより活動的に変化させました。


■ 現在のブラジャーサイズ基準に
1980年、ブラジャーの規格やサイズ表記の基準となる新JIS基準改定が行われました。それまで品目やメーカーによってバラつきがあった規格やサイズを、日本人の体型に対応するものへと変化させました。「A70」のような、カップサイズとアンダーバストの周径値での表記となってから、実はまだ約30年しかたっていないのです。
また1990年代に入ると、からだをより魅力的に見せたいという女性の願望が強くなります。バストを“寄せて上げる”というコンセプトの造形機能が装備されたブラジャー等が、時流をとらえて大ヒットとなりました。

どうですか、皆さん! 駆け足で振り返ってきましたが、意外な事実が我々を驚かせます。
特に、私が驚きだったのは「表記」について。そうか、現在の表記となってまだ30年ほどしか経っていないのか……。

そしてここで、約30年に渡り国内外の下着の動向を見つめ続けるジャーナリスト・武田尚子氏によるコメントをご紹介いたします。
「戦後日本に伝わったブラジャーは、その後世界とは一線を画した独自の路線を歩むこととなります。近年、生産の効率化を背景に、世界のブラジャーは成型カップ構造のモールドタイプが多数を占めるようになりました。その中で日本のブラジャーは造型性に対するニーズの高さや肌ざわりへのこだわり、また“かわいい”ものを好む国民性もあって、1枚の中に機能性と装飾性をバランスよく兼ね備えています」
海外における、日本の製品に対する品質と性能への信頼は絶大だという。
欧米では男性を魅了するアイテムとしての認識が強かったブラジャーだが、近年は「体型補整」という機能面が見直されている。これも、日本産ブラジャーの活躍によるところが大きいそうだ。

そしてワコールでは、「こんなの便利」「こんなに面白い」など実現して欲しいブラジャーのアイデアを募集しているとのこと。
例えば、着けてても重さを全く感じないブラジャーを『空飛ブラ(そらとぶら)』という商品名で開発、「軽くても空を飛べる!?」というキャッチコピーで売りだしてもらいたい! といった提案を同社は待望しているよう。期間は、「ブラの日」である2月12日~4月30日まで。

今後もブラジャーの美しさと機能性は、ますます向上していきそうな気がします。

(寺西ジャジューカ)