昨年の年末に「オレたちの戦いはこれからだ!」と惜しまれつつもあっさりと終わったTVアニメ「うーさーのその日暮らし」。3月22日にBlu-rayDVDが販売されました。
完全新作の第13話ほか映像特典も盛りだくさんの上、全話入って1枚組という大変お得感!

パッケージ発売を記念して、3月16日に新宿ロフトプラスワンでイベントが開かれました。というわけで今回はそちらのレポートも合わせてお届けいたします。

まず、うーさーとは何か。「かわいい」「癒やされる?」「クズ」と各界で絶賛されている荒ぶりそうで荒ぶらない毎日を送る、インターネットに生息する黄獣なのです。詳しいことは以前に書いたこちらの記事を参照してください。

イベントは二部構成。
第一部ではまず山田豊徳監督、松浦裕暁(サンジゲン代表取締役)、宇佐義大(原作)、井上陽子(サンジゲン/3DCGアニメーター)、石塚恵子(サンジゲン/撮影)、 千葉高雪(ラークスエンタテインメント/演出)MC:小林治が登壇。なんと原作者はまさかの「マイ曇りガラス」持参で登場です。

「イベントとかは出たくなかったけど、曇りガラスがあれば出ると言ったら本当に用意してくれたので出ざるを得なくなった」
「引きこもりでもマイ磨りガラスがあると安心」
「とても居心地がいい」

と、早くもうーさー節が炸裂し、盛り上がる会場。さすが「この作品は元々は僕の日記なんです」というだけあって、リアルうーさーが確かにそこにいました。

アニメのメイキングにまつわる話からイベントはスタート。まずそもそも何故アニメになったかというと、番組を製作するにあたって「ネット発の面白いコンテンツを探している」と言われたから。
さらにサンジゲン側の「そろそろ女の子人気が欲しかった」というニーズにもマッチし、あれよあれよとアニメ化が決まったそうです。

しかも監督は最初に今のような5分にいくつも短い話を入れるというよりは全体を通しての大きなストーリーでやろうとしたとか、リスペクトやタイアップは成り行きで決まったとか、裏話がばんばん出てきます。最初の企画書にいたってはスクリーンに表示されたりもしてきました。

ここで一番面白かったのは、第8話「暇とマシンとうーさーと」に出てくるロボット。「エンドカードを描いてくれた今石洋之さんのロボットがかっこよかったので動かしたかったんです」という理由で登場したとか。「大変だったんじゃないですか?」というツッコミにも「サンジゲンは10分時間をくれれば動かしてみせます」と松浦社長。
かっこいい!

またサンジゲンのアニメの作り方についての解説も非常に興味深いものでした。撮影前(あがってきた素材をしっかりとアニメの形にする作業)の、3Dモデルの状態でのうーさーやりんを見ることができたり、細かく仕込まれたタイアップや目立たない部分(例えばオープニングのりんとれんが途中から露出度がアップしていたりとか)を解説してもらったりと、想像していた以上に細部までこだわって作られているアニメでした。

そしてサンジゲンのスタッフと入れ替わるようにりん役の小澤みのり、坂部大介(音楽)が登壇し、音楽や声の説明パートへ。

物議を醸した(?)うーさー=宮野真守というキャスティングは原作者から「昔から宮野さんしかいないと思っていたんです。最初は誰も共感してくれなかったけど」という強い要望から実現したもの。「自分でいうのもなんですが、ただダメなだけじゃないうーさーっぽさを表現して欲しかった」という理由が主でしたが、さらにはうーさーの見た目はかわいいけれども中身はクールというのを体現できるのは宮野真守以外いない! ということもあったそうです。
なるほど。そんな理由が。もう今ではすっかりあの声以外想像できなくなってしまいました。

女性陣のセレクトは、実際の年齢に近い若い女の子達が普通に話している感を出したかったから。普通の女の子がしゃべっている形を重視したので、あのほわほわした感じが出ているのですね。ちなみに友人から「りんってまんま小澤じゃん!」と言われたという小澤みのりがりん役をやるにあたって一番苦労したのは「声を大きく出すのが苦手で、大きくすると自分の声の特徴であるふわふわ感が失われるのではないか」ということでした。


ここでうれしいサプライズとして、坂部大介生演奏コーナーが。多くの人は「あの笛」を期待していたかもしれませんが、あれは実はコンピューターで小学生が吹いているっぽく加工したものだそうです。というわけで、ギターでの演奏をたっぷりと聞かせてもらいました。

休憩を挟んだ第二部では主に原作の話を。元々は本当に日記だったので、うーさーがお金が好き、ギャルが好き、肉が好きというか肉と炭水化物しか食べないというのはまんま原作者と同じとか、昔は暇だったのでたくさん更新をしていてさらには絵日記をちょっとだけ書いていたらそれを編集が覚えていてあれを連載にしましょうと言われたりとかという裏話が満載でした。

ちなみに、イベント会場ではアニメにちなんだオリジナルメニューも用意されていました。
こんな感じです。

白と黒のハーモニーカレー feat. 大田原牛牛超・復刻版
もっと肉が好きになるハンバーグ
生まれていたらカワイイひよこだったであろうフワフワオムレツ
制服ふりかけ論おにぎり
お値段以上のバナナ
名酒あじぽんビール
皇帝陛下がくゆらせるアレ
名前を呼んではいけないあの飲物
ダースエナジー復刻版

うーさーのその日暮らしを見ていればにやりとするラインナップですね。お値段以上のバナナは女性が頼むと無料で提供されるというサービスもありました。

さて、気になる第二期があるかどうかですが、「もういいじゃん」という原作者の声は置いておいて、BD/DVDが売れるとあるかも? たくさん売れると劇場版もあるかも?! とのこと。「劇場版をやるならうーさーで『映画泥棒』をやりたい」という山田監督からの奇抜(?)なアイディアも飛び出しました。是非見てみたいものです。

実際、このアニメは何度も細かく見ると様々な仕掛けがあるのでBlu-rayやDVD向けと言えます。例えば次回予告の時のみこっそり進行しているドラマとか、画面のあちこちにちりばめられているキャラクターとか。さらにはオーディオコメンタリーだけではなく、ニコニコ動画のコメントを再生する機能があります。ニコニコ動画で見ていた人はあの時を思い出すことが、ニコニコ動画で見ていなかった人は放映時の臨場感を味わうことができるでしょう。

時には何も考えずにだらーっと見て、時には細かいところをチェックして見るためにも、一家に一枚いきたいところですね。
「先立つものは金だ!」
(杉村 啓)

TVアニメ 「うーさーのその日暮らし」 公式サイト
http://wooser.tv/
うーさーのその日暮らし [Blu-ray]通常版
うーさーのその日暮らしDVD&ぬいぐるみセット