主人公は死者と話せる少年ノーマン。かつて魔女狩りが行われた町、ブライス・ホローに住んでいて、家では病死した祖母と一緒にテレビを観て、通学路では海に沈められた兵隊、戦で矢を射られた騎士、事故で枝につきささったおばさんと朗らかに挨拶を交わす。それだけ毎日死者が見えるならもういいのにと思うけど、さらにホラー映画好き。ゾンビ映画を観て、ゾンビの人形を持ち歩いて、虚空に話しかけているから(他の人は死者は見えない)、学校の同級生はもちろん家族からも気味悪がられて、ロッカーに一日二回も「FREAK(変人)」と書かれるくらいにつまはじきにあっている。たった一人の友達と一緒にとぼとぼ帰っていると、親戚のあいだでも敬遠されている変人叔父さんが登場。「魔女の魂を鎮めて、町を救うことができるのはおまえだけだ!」とノーマンに告げる。
これで「あー主人公が死者と話す力で町を救うんでしょ」と察しがつく人もいると思う。結末を知ってもこの映画の魅力は失われないからバラしてしまうと、それは正しい。仲間と分かり合ったり、けんかしたり、また助け合ったり。ただ、それだけではなくて、理解できないから怖くて仲間外れにしたり、他人に流されて集団暴動に走ったり、我に返って反省したり、しなかったり。きれいなだけでも汚いだけでもない、複雑な心の動きを描いてはいるけど、ストーリーはシンプルだ。