そして、今回のこれ。なるほどです。「中野製作所」(神奈川県神奈川区)が開発した『流体モーター(仮)』を利用すると、家庭の水道を使い電気を生み出すことができるというのです!
使い方は、簡単。水道の蛇口に取り付け、水を放射。その水の流れを用い、発電するという塩梅です。「現在は、お風呂一杯(約200リットル)の量でLEDライトを10分程度点灯することができます。今後、さらに発電効率を上げる予定です」(同社・中野さん)
では、この装置を開発したきっかけについて。「当社社員の弟さんに、駅やオフィスビル内大規模トイレの設備改善や点検保守を仕事にしている方がいます。そちらから『駅やビル内で発電し、芳香剤・滅菌剤の自動散布や汚物入れの扉を自動開閉にしたい』と相談がありました」(中野さん)。
では、もっと専門的な話をしていきましょうか? 中野さん曰く、こういう事らしいです。「水道水はポンプで加圧されますが、その圧力は蛇口から出た瞬間に捨てられています。この圧力を電力として再生することを考えました」(中野さん)。トイレでは、手洗いや排泄物を流すためにたくさんの水を使用する。しかしその分だけ、圧力を無駄に捨てていることになるわけだ。この圧力を有効利用するために開発されたのが、今回の『流体モーター(仮)』。この仕組み、図を見るとわかりやすいので参照してみてください。
ただ、ここでぶっちゃけたい。
「現在市販されている流体圧力モーターは、水道の圧力程度の低い圧力では回転しません。そこで当社では独自の方式で、低い圧力でも安定した回転を発生できるモーターを開発しました。これに発電機と蓄電池をつなぐことで、発電と蓄電が可能になります」(中野さん)
そして特筆すべきは、そのサイズ。「“羽根のない扇風機”が、近年話題となりました。当社のモーターも、原理は異なりますが水車やタービンのような羽根のついた部品が無く、内部構造が非常にシンプルなため、安価で分解・洗浄が容易です」(中野さん)
だからこそ、ここまでの小ささを成し遂げている。このモーターの原理そのものを、同社は特許出願しているらしい。
そんな『流体モーター(仮)』は、今年の秋以降の発売が想定されているとのこと。価格は、3,000~4,000円程度の予定。ちなみにこの装置で生み出された電気、蓄えておくこともできるらしい。身の周りの生活で少しづつ蓄電し、いざという時に使用する。
(寺西ジャジューカ)