「Hondaのアプリがすごい! 」。そう言って、知人の映像デザイナーやクリエーターらがスマートフォンを片手に動画を見せ合っていた。気になって見せてもらうと、ショートムービーのようでもあり、コマーシャルのように編集されたオシャレな映像。そんな映像が誰でも簡単に作れてしまう。

自動車メーカーのHondaが提供する無料アプリ「RoadMovies」だ。2012年11月の公開以来、累計で64万ダウンロード(2013年6月22日時点)。ネット等で評判を呼び1日平均で約17,000ダウンロードと、勢いは止まらない。

基本コンセプトは、「ドライブをより楽しくするアプリとして企画・開発したものですが、ドライブに限らず外出時や日常生活のさまざまなシーンを切りとって、想い出を残せるアプリとして多くの方に使っていただきたい」という同社インターナビ事業室事業推進ブロック三河さん。

「幅広い年齢層の人が手軽に楽しめるように」と取り扱いが非常に簡単なのが特徴。それなのにプロの映像編集者が「映像に関して素人が撮っても、なんとなく映像として形になっているのがすごい」と舌を巻く。

ビデオ撮影はトータルで24秒。まずは、撮影ショット数を1秒×24ショット、2秒×12ショット、3秒×8ショットから選択。そして、好きなタイミング、好きなときにビデオ撮影するだけ。全ての撮影が終了したら、1962年代風や、映画風(Movie)、モノクロ(Noir)など9種類あるフィルターの中から好きな画質を選択し、14曲の中からBGMを選ぶ。どんな映像にのせても、様々なシーンにフィットする楽曲は「コーネリアス」らが提供。

できあがった映像はFACEBOOK等に簡単にアップロードでき、メールでも送付できる容量だ。機械音痴の私が説明を読まず、何となく操作したらできてしまうほど簡単だった。同じ映像でも選曲やフィルターを変えるだけで、ガラッと雰囲気が変わるので、自分好みのテイストに仕上げることができる。運転中に撮影したい人(*1)は、設定距離や時間ごとにインターバル録画で撮影することもでき、最後に総移動距離が記載される。
 
クリエーターの男性は、「頻繁に会えるわけではないのでデートの際は記念に撮って、披露宴で流そう」と、彼女とアプリを利用しているという。見せてもらった映像は、結婚式まで100日を切った日のデートの記録。ただ歩いている二人やドライブの様子、海岸などが映し出されているのだが、甘く切ない恋物語のように二人の愛情が映像からから放たれていて、勝手に胸がきゅんとした。

ドライブする人はもちろん、旅の記録や子供の成長、遠距離恋愛、単身赴任で近況を報告しあうツール、メッセージのプレゼントなど利用方法はさまざま。自分と関わる人や、場所、何気ない日常が、24秒間のドラマを生み出す。メールで送信すれば、感謝の気持ちや思いを伝えることもできる素敵なアプリだ。三河さんに撮影のコツを聞いてみた。「同じ素材を撮影する場合、途中でズームインもしくはズームアウトすると、見ている人に違う世界に移ったことをより強く印象づけることができます。また、近くの画を撮った後に遠くの画を撮るという手法も。

そのほか、撮影対象の素材を工夫できるのであれば、様々な色のものを、次々に切り替えて撮っていくと映像が華やいで見えます。スムーズに繋ぎたい場合は光量(明るさ)はあまり変えず、明るくなっていく、暗くなっていく、という一方の変化にとどめる方法もあります。ご自身の好みに合わせてオリジナルのロードムービーを楽しんでください」

私も食べ物ばかりのお腹がいっぱいになりそうな映像は卒業して、胸がきゅんとする映像が撮りたい! そんなことはさておき、皆さんも「RoadMovies」であなただけのドラマを作ってみてください。
(山下敦子)


(*1)本アプリを自動車内で使う場合、運転者による走行中の操作は大変危険ですのでおやめください。
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