ハリウッドが「巨大ロボットvs怪獣」に挑む
『パシフィック・リム』は、突如海底から現れた巨大生物「KAIJU」を倒すため、各国が作りあげた巨大なロボット「イェーガー」で戦うという、壮大なストーリーの映画だ。日本人にとってはアニメ・特撮などで慣れ親しんだ題材ではあるが、それをハリウッドが製作するというのは前代未聞である。
日本の文化を取り入れたハリウッド映画は今までもたくさんあった。しかし、なぜか外国人が侍になったり、カタコトの日本語で必殺技を叫んだり、ヤクザが日本刀を使いこなして凶暴な宇宙人と互角に渡り合ったり、日本人が見ると笑ってしまうようなシーンが多かった。そんなハリウッドが、巨大ロボットと怪獣という日本が誇る文化に挑んだのだ。一見不安だらけのように思えるが、ハリウッドにはうってつけの人物がいた。それが、本作の監督であるギレルモ・デル・トロだ。
自称“オタク・ガイジン”監督の日本愛
ギレルモ・デル・トロとはどのような人物なのか。 まずはこの写真をご覧いただきたい。
もしや!? このお方は、ぼくのお兄さんリム!?!? お父さんのギレルモ・デル・トロ監督と・・・ #パシフィックリム #地球侵略 pic.twitter.com/RYD8JXD9RC
— ないふへっど君 (@knifeheadkun) July 29, 2013
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写真が全てを物語っているのでこれ以上の説明は必要ないかもしれないが、自らを“オタク・ガイジン”と称するほど、日本のアニメ・特撮に精通しているのだ。
デル・トロ監督は、1964年生まれのメキシコ人で、『鉄人28号』や『鉄腕アトム』、『ウルトラマン』などを見て育ってきたという。
会見では、「この映画は日本へのラブレターです」と挨拶。また、『ゴジラ』の監督・本多猪四郎が、撮影前にスタッフを集めて「この怪獣を信じられない者は今すぐ出て行ってほしい」と言ったエピソードを例にあげ、「私も同じ気持ちで映画を撮った」と本作にかけた意気込みを語った。さらに「日本で行きたい所は?」という質問には「中野ブロードウェイとジブリ美術館」と答え、会場を沸かせた。これほど日本愛に溢れた監督が「巨大ロボットvs怪獣」の映画を撮ったら、中途半端なクオリティであるはずがない。実際、ロボットと怪獣のデザインを決定するのに約1年の歳月を費やしている。
日本が誇る2人の女優が出演
本作は、日本が誇る文化が題材になっているだけでなく、日本が誇る女優も出演している。菊地凛子と芦田愛菜だ。
『バベル』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた菊地を監督は高く評価しており、脚本作りの段階から彼女の起用を想定していたという。演技をしている映像からは想像できない、とても可愛らしい笑顔が印象的だった。
菊地凛子演じるヒロインの幼少期を演じた芦田愛菜は、日本アカデミー賞新人俳優賞受賞、大河ドラマ出演、NHK「紅白歌合戦」史上最年少出場といった輝かしい経歴の持ち主だ。それでもハリウッドではまだ無名の彼女は、なんと英語でオーディションに参加してこの役を勝ち取った。彼女に対して監督は「今まで仕事をしてきたあらゆる年代の俳優とくらべても偉大な女優。 本当は50歳くらいなのだと思います」と冗談混じりの賛辞を贈った。もはや“天才子役”というよりは、“天才女優”と呼ぶのがふさわしいのかもしれない。
以前、友人とハリウッド映画に出てくる日本について話した時の「あれは日本じゃない 、JAPANという別の国だ」という言葉が忘れられない。今まで幾度となく“JAPAN”にがっかりさせられてきた彼が本作を観たら、どんな反応をするのだろうか。早速一緒に映画を観に行く約束を取り付けようと思う。
(エキサイトニュース編集部 佐藤)
『パシフィック・リム』予告編
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