さて、そんなビッグヒット猫本の仲間入りを狙えるのではないかと思える本を見つけた。「かわいい」。その言葉しか言えなくなるコミックだ。実際、筆者が友人に貸したところ「かわいー」「かわいいいいい!」と連呼していた。ある本屋さんには「読んで床でのたうちまわりました!」と書かれたPOPが置かれているらしい。
その本は『まめねこ あずきとだいず』(さくら舎刊、以下『まめねこ』)というコミック。著者のねこまきさんは、健康な体をつくるレシピが満載の『クスリごはん』、美人になるコツを学べる『美女ヂカラ』がそれぞれ10万部を突破した売れっ子イラストレーター。ちなみにねこまきさんは大の猫好きで、猫の気持ちを解説したコミック『猫ゴコロ』(以上、全てリベラル社刊)も出版している。猫好きで、しかも分かりやすく面白いコミックを描く方が猫本を発表したと聞けば、これはもう手に取るしかない。
『まめねこ』では、主人公のOLにもらわれたきょうだい猫「あずき」と「だいず」が、飼い主一家の言動を観察してツッコんだりぼやいたりしている。
また、ちょっと変わったポイントが、この二匹は関西弁を話しているということだ(飼い主一家には聞こえないけど)。さあ、想像していただきたい。かわいい女の子が方言を話しているのを見ると、かわいさが倍増する感覚を覚えたことはないだろうか。それと同じく、『まめねこ』はただでさえかわいい猫と関西弁の組み合わせ。かわいいの二乗である。
さらに猫の声について言及すると、バラエティ番組などを見ていて、猫が出ているVTRを見ると、大抵「はぁ~眠いニャ~」などという、脱力系のかわいらしい声があてられている。しかしあずきとだいずの話し方は、「ご飯食べたからって気ぃ許したわけやないで」「(じいちゃんが出した豆腐を目にして)これ何なん? よく考えや うちら猫やで」と、方言のせいもあるが脱力系とは程遠いセリフ。この、かわいい猫なのにちょっときつめの関西弁というギャップも魅力的だ。
というわけで『まめねこ』は猫萌え、方言萌え、ギャップ萌えのニーズを満たす、死角なきコミックなのだ。あなたもぜひ、読んで萌え尽きていただきたい。
(坂本茉里恵)