「カンコク岳についてちょっとお聞きしたいんですけど」と質問すると「カラクニ岳ですね」というお答え。おお、いきなり取材終了。鹿児島県に韓国はない。
しかし、その名前の由来を聞くと、「昔は、韓国が見えるくらい高い山ということで、この名前がついたようです」とのこと。ちなみに現在、頂上から韓国を見ることは難しいということだ。
韓国岳は、カルデラ湖と硫黄温泉と山岳信仰で知られる日本百名山のひとつ・霧島山の最高峰で、標高は1700メートル。霧島山は鹿児島県と宮崎県の県境にまたがるが、頂上を示す三角点は鹿児島県霧島市にある。
ここにはトレッキングコースが設けられており、登山客を集めている。案内所の方によると「桜や紅葉の季節のトレッキングがお勧めです」とのこと。
話を聞いていて驚いたのだが、この韓国岳を訪れる韓国人が少なくないのだという。彼らは鹿児島市から団体バス来て、韓国岳のトレッキングを楽しんでいくのだとか。確かに、もし韓国に「日本山」とかあったら、私も登ってみたいと思うだろう。
あとで韓国岳を韓国語で検索してみると、韓国人による数えられないほどの登頂記ブログを見ることができた。
韓国ではトレッキングがレジャーとして広く定着しており、ピンクや緑の登山用ウェアを普段着のように着用する中高年の姿をよく見かける。若いカップルがデートで山に登ることも多い。日本でトレッキングを楽しもうという人が少なくないのも当然だ。
また韓国岳は、九州運輸局と九州観光推進機構が運営するウォーキングコース「九州オルレ」の「霧島・妙見コース」からアクセスが良い。
九州オルレは、韓国済州島で始まった人気のウォーキングコース「済州オルレ」をベースにしており、そんなことから韓国のトレッキングファンに知名度が高い。彼らは九州オルレと韓国岳をセットに楽しむそうだ。
取材当日は時間も遅く、筆者は車で近くまで近づいたものの、韓国岳登頂を断念。ただし、韓国岳に近づいた記念に、韓国岳の様子がよく分かる3Dポストカード(500円)を購入した。観光案内所の方の話によると、韓国人にも人気のアイテムなのだとか。
韓国岳は、鹿児島空港から車で1時間30分の位置にある、えびの高原側登山口から、徒歩1時間30分で登頂できる。「韓国に行く」と言いつつ鹿児島に飛び、韓国岳を訪問してみるのはいかがだろう。
(清水2000)