チョコレートと並んですっかりバレンタインの定番になりつつある「チョコビール」。今年も1月10日(金)から発売される。


神奈川の地ビールメーカー、サンクトガーレンが2006年から毎年バレンタインシーズンに限定販売しているチョコレート風味のビール、通称「チョコビール」。これまでの累計販売本数は、なんと20万本超え! 地ビールとしては異例の人気商品だ。

ちなみにチョコビールといっても、材料にチョコレートを使っているわけではない。高温で焙煎したビターチョコのような風味のする麦芽、いわゆるチョコレート麦芽を使っているのが呼び名の由来。甘い物が苦手な男性の中にも好評で、今や「バレンタインはチョコレートよりチョコビールがほしい」というファンも少なくないかも!?

そんなチョコビールの今年の新作は、なんとチョコミント味! チョコレート麦芽を使用した黒ビールにペパーミントで風味付けをした「ミントチョコレートスタウト」だ。1タンク(2300リットル)につき、20kgものペパーミントを使っている。

しかし、ビールとミントの組み合わせって、そもそもアリなのか!? 素朴な疑問をサンクトガーレン広報の中川さんにそのままぶつけてみると、
「もともとアイスクリームとかのチョコミント味が嫌いな方だと厳しいと思いますが(笑)。チョコミントが好きで、お酒大丈夫な方なら気に入っていただけると思います。ビールにミントというと、“えー”と拒絶反応示す方も多いと思いますが、ビールの主原料であるホップはハーブの一種で、ミントもハーブ。親せきみたいなものです」

なるほど。たしかに世界的に見るとハーブを使ったビールは珍しくない。たとえば、ヒューガルデンで有名なホワイトビールにはクローブが使われていたり、クリスマスビールにはアニスを使ったものも多い。
身近なところでは同社の秋冬限定商品である「アップルシナモンエール」にもシナモンが使われている。
「“スパイスビール”という分野があるくらいですからね。世界的に見るとミントを使ったくらいでは珍ビールにはなりません(笑)」
香りも、飲んだ後口にもスースーとした爽快感があるのが特徴とのこと。ミント味だけに、ミントチョコレートとの相性抜群で、もちろん普通のチョコレートともよく合うそうだ。

作るにあたって苦労したところは?
「ミントの使用量ですね。どの程度の割合が1番美味しくなるかという……。でもそれよりも最も時間がかかっているのは、新作は何にしようかというアイデア出しの部分です」
実は同社のチョコビールは毎年、お酒売り場だけでなく、百貨店のバレンタイン売り場でも販売されている。バレンタインのチョコレート売り場といえば、毎年各社の新作が話題。ビールといえども、どうしても新作を期待されてしまうようだ。
「2013年のバレンタインの時にはすでに2014年のバレンタインのアイデアを考えていました。バレンタイン売場を見ながら、ごっそり買って試食して、ビールにできそうか検討しています」

ちなみに今年のチョコビールは、新作の「ミントチョコレートスタウト」を含め、全4種。一番人気の定番「インペリアルチョコレートスタウト」は、アルコール度数が9%もあり、ワインのように熟成可能な個性派。
もともと「インペリアルスタウト」というロシア皇帝のためにつくられたスタイルを踏襲したものだが、ロシアといえば最近までビールが清涼水扱いされていたお国柄。そんなお国発祥とあって、飲みごたえは相当なもの。ドロッとしていて爽快感のカケラもないが、それがたまらない魅力になっている。

そのほか、お正月飾りに欠かせない“橙(だいだい)”というオレンジを使った「オレンジチョコレートスタウト」、パティシエも使用するA級バニラを使った「スイートバニラスタウト」がある。

商品はいずれも1月10日から同社のネットショップやデパートなどで販売。また、1月10日から東京ドームで開催される「ふるさと祭り」のサンクトガーレンブースでも、4種のチョコビール全てを樽生で用意しているほか、お土産用ボトルも購入可能。4杯(210ml×)1000円の「飲み比べセット」もある。

大手ビール各社のビール類の出荷が苦戦するなか、9年連続で出荷量を伸ばし続けている同社。2006年1月に発売した初代チョコビール「インペリアルチョコレートスタウト」は、その大きなきっかけにもなったそう。

今年も人気間違いなしのチョコビール。あなたならどの味を飲んでみたいですか?
(古屋江美子)
編集部おすすめ