正月も終わって、あっと言う間に2月も間近。
この1ヶ月は、雑煮だのぜんざいだのと、お餅ばかりを食べてきた。

お餅もそろそろ飽きた今、目線を変えて白玉団子なんていかがだろうか。

白玉の原材料は、もち米の粉。つまり元は餅と同じなのだが、異なる点は、その手間のかけ方だ。

もち米を水に浸して粉にして、さらに何度も水にさらして余分な物を取り除く。そして最後に固めて乾燥させた粉が白玉粉。寒い冬に何度も繰り返し沈殿させる“寒ざらし”という手法により、腐敗しにくい完璧な保存食になった。

そんな白玉粉を販売されている、白玉粉新三郎さんに、白玉粉の歴史について伺ってみた。

白玉粉新三郎さんは、江戸時代から370年以上続く白玉の専門店。
白玉粉の生まれは、はるか昔。戦国時代といわれている。敵に米を奪われないように、川に米俵を投げ込み隠した。これにより、水にさらして乾燥させる方法が生み出された……と、一説ではいわれているそう。


手間をかけているからこそ、粉の段階で冷暗所に保管すれば何年でも食べられる。さらにあの独特の結晶型は、虫が付きにくく吸水率がよいなど機能性に満ちた理想の形。
白玉粉は、もち米を無駄なくおいしく味わえるように生み出された人々の知恵なのである。

そんな白玉のオーソドックスな食べ方は、やっぱり白玉団子。つるんとした感触を味わうには、冷たくしてあんみつなどが一番。
しかし普通の食べ方に飽きた人には、ちょっと変わった食べ方もおすすめ。
と白玉粉新三郎さんはいう。
それは白玉粥だ。

ご飯一膳に浸るくらいの水を加えて、その中に白玉粉を小さじ一杯。軽くかき混ぜ、レンジで温めるだけ。白玉粉が入ることで、いつものお粥がちょっとだけ贅沢なとろとろの舌触りに変わるそう。
さらに団子を麻婆豆腐や酢豚の具として使う食べ方も、白玉粉新三郎さんは提唱中。

白玉といえば和菓子、それも冷たくして食べる夏向けデザートのイメージが強いが、それ自体が甘いわけではないので、お菓子から料理にまでいろいろ使えるのだという。

なお、白玉の仲間に、上新粉があるが、これはうるち米が原料。うるち米の粉なので伸びがすくなく弾力のある噛み心地が持ち味。
団子作りに欠かせない団子粉は上記の上新粉ともち米のブレンド。餅らしい食感、そして乾いても団子らしさを保てるという特徴が。

一時期は米粉がブームになった。
上新粉も団子粉も、白玉粉だって、いってみれば米粉の一種。
白玉粉はこの仲間の中では一番高価で、手間暇かかった伝統の保存食。
先人の知恵に感謝しつつ、いろいろな食べ方で楽しんでみては。
(のなかなおみ)