以前、友人と一緒に食事をしていたときのことである。仕事について悩みを感じていた私が、いろいろなビジネス書を探しては読んでいるという話しをしていたら、「本は読むだけじゃダメじゃない? 行動をしないと」と言われた。
ビジネス書に書いてあることは、読んでいるときには「なるほど」と納得することが多いが、実際に自分の仕事にどう活かせるのかという部分が、あまり見出せていなかったように思う。毎回、この本を書いている著者と自分は違うのだ……と、自分を正当化するように納得するだけで終わってしまっていたように思う。
そして、また次から次へと新しいビジネス書に手を伸ばしてしまうのだ。
数ある多くの本から、その1冊を選んだ理由は明確なはずである。しかし、今や本棚に並んでいるだけの本たちは、このまま読み返されることもなく、また次の新しいビジネス書を隣に並べられていくのだろうか……。
そんなとき、『読書は「アウトプット」が99%』という本に出会った。表紙にある「その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方」という言葉に魅かれ、私はこの本を手に取った。
「読み方ひとつで仕事にも人生にも“決定的な差”がつく!」
本書の「はじめに」の冒頭に書かれている言葉だ。自分の仕事や人生に決定的な差がつくという本の読み方。これは実に興味深い。本書が出版された経緯について、担当編集者である三笠書房の鈴木さんにお伺いした。
鈴木さん:著者の藤井孝一先生は、経営コンサルタントとして活躍されている方ですが、ビジネス界きっての読書家、特にビジネス書の愛好家として知られています。そんな藤井先生が、読書に関し、常々主張されているのが、「本は、読む(=インプット)だけではもったいない。アウトプットすることで、もっと血となり肉となる」ということ。では、アウトプットするにはどうすればいいのか。どんな方法があるのか。そのことを具体的に教えてください、と藤井先生にお願いしたのが、本書の企画の出発点です。
本書は、目次を見ているだけでも、すぐに活用できそうなポイントがたくさん並んでいることが分かる。
・「人に伝える」ことで、知識が知恵に変わる
・できる人は、例外なく「要約力」を鍛えている
・本を「斜め読み」でインプットする方法
・情報は「受け取る」ものではなく「取りに行くもの」
・「仕事と関係ない分野の本」が差を生む
・難しい本の活かし方、やさしい本の活かし方
上記は数ある目次の中の一部だが、「本を『斜め読み』でインプットする方法」では、「すべてを読まなくても、内容は十分理解できる」ということが説明されている。
私の場合、ビジネス書やコミュニケーションスキルの本など、仕事に活かせそうな本を読む機会も多いが、どうしても情報量が多く、すべてを理解し把握しようとしてしまうことで、逆に難しく感じてしまい頭に入ってこないような気がしている。そこで、冒頭で述べたように「著者と自分は違うのだ……」と自分を納得させるだけで終わってしまう。自分で言うのもなんだが、あまりいい本の読み方をしてこなかったように思う。しかし、本章では「いろいろな本から、自分に役立ちそうな項目だけを選んで読めばいい」ということを次のように教えてくれる。
「パラパラとページをめくりながら、『ここは参考になる』『これは必要ない』と取捨選択をして、必要なところだけに目を通します。この方法なら、1冊読むのにそれほどの時間はかかりません」
「この辺にこんなことが出ていそうだとか、このあたりに必要な情報がありそうだなと勘が働くようになってきます。本選びに『鼻が利く』ようになるのです」
毎月、多くの本が出版されている中で、本選びに鼻が利くようになると、そのときの自分に必要な本を選びやすくなりそうだ。私はこの章を読んで、まだ手付かずの本に対して後ろめたい気持ちを持つことなく、自分にあった本の読み方をすればよいのだと気が楽になった。なお、鈴木さんがおすすめしたい章についてもお伺いしてみた。
鈴木さん:本書にて、私がすすめる章は、第1章です。この章が、アウトプットのための本の読み方、活かし方の基本となる最も重要なポイントが書かれているからです。アウトプットの基本は、3つ。「話す」「書く」「行動する」です。その中でも、最も実践しやすいのが「話す」です。藤井先生は、本書の中で、「いかにいい本を読んでも、どんな本だったの? と人に訊かれて何も答えられなければ無意味だ」と述べています。そして、「今日の出来事を話すように『本の話』をせよ」と説きます。
なお、鈴木さんが特に本書をおすすめしたい方とは?
鈴木さん:ビジネスパーソンを中心に幅広い広い層の読者に読んでいただきたいのですが、特に、「本は好きで昔はたくさん読んだけれど、最近は読書量が減ってしまったな……」という方にはおすすめ。改めて読書の素晴らしさを再認識するきっかけとなり、また、これまでとは違う新しい本の読み方、活かし方を知るための手引きとなると思います。
今は、FacebookやTwitterなどの身近なSNSでも自分の読んだ本を紹介することができる。遊びに行ったことや、食事をしたことを報告するのと同じように、本から得た感動や学んだことを説明するのは、本書の「できる人は、例外なく「要約力」を鍛えている」にも通じるのではないかと思う。
読んだ直後に得た高揚感は、そのままにしたら一時のもので終わってしまうかもしれない。しかし、本には著者が長い時間をかけて得た専門知識がたくさん詰まっている。本を通じて行動した小さなアウトプットが、将来の自分への大きな投資に繋がることは間違いないだろう。
(平野芙美/boox)
その瞬間、「ビジネス書読んでいる自分に満足している」というだけの自分に気づいた気がして、とてもショックを受けたことを覚えている。
ビジネス書に書いてあることは、読んでいるときには「なるほど」と納得することが多いが、実際に自分の仕事にどう活かせるのかという部分が、あまり見出せていなかったように思う。毎回、この本を書いている著者と自分は違うのだ……と、自分を正当化するように納得するだけで終わってしまっていたように思う。
そして、また次から次へと新しいビジネス書に手を伸ばしてしまうのだ。
数ある多くの本から、その1冊を選んだ理由は明確なはずである。しかし、今や本棚に並んでいるだけの本たちは、このまま読み返されることもなく、また次の新しいビジネス書を隣に並べられていくのだろうか……。
そんなとき、『読書は「アウトプット」が99%』という本に出会った。表紙にある「その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方」という言葉に魅かれ、私はこの本を手に取った。
「読み方ひとつで仕事にも人生にも“決定的な差”がつく!」
本書の「はじめに」の冒頭に書かれている言葉だ。自分の仕事や人生に決定的な差がつくという本の読み方。これは実に興味深い。本書が出版された経緯について、担当編集者である三笠書房の鈴木さんにお伺いした。
鈴木さん:著者の藤井孝一先生は、経営コンサルタントとして活躍されている方ですが、ビジネス界きっての読書家、特にビジネス書の愛好家として知られています。そんな藤井先生が、読書に関し、常々主張されているのが、「本は、読む(=インプット)だけではもったいない。アウトプットすることで、もっと血となり肉となる」ということ。では、アウトプットするにはどうすればいいのか。どんな方法があるのか。そのことを具体的に教えてください、と藤井先生にお願いしたのが、本書の企画の出発点です。
本書は、目次を見ているだけでも、すぐに活用できそうなポイントがたくさん並んでいることが分かる。
・「人に伝える」ことで、知識が知恵に変わる
・できる人は、例外なく「要約力」を鍛えている
・本を「斜め読み」でインプットする方法
・情報は「受け取る」ものではなく「取りに行くもの」
・「仕事と関係ない分野の本」が差を生む
・難しい本の活かし方、やさしい本の活かし方
上記は数ある目次の中の一部だが、「本を『斜め読み』でインプットする方法」では、「すべてを読まなくても、内容は十分理解できる」ということが説明されている。
私の場合、ビジネス書やコミュニケーションスキルの本など、仕事に活かせそうな本を読む機会も多いが、どうしても情報量が多く、すべてを理解し把握しようとしてしまうことで、逆に難しく感じてしまい頭に入ってこないような気がしている。そこで、冒頭で述べたように「著者と自分は違うのだ……」と自分を納得させるだけで終わってしまう。自分で言うのもなんだが、あまりいい本の読み方をしてこなかったように思う。しかし、本章では「いろいろな本から、自分に役立ちそうな項目だけを選んで読めばいい」ということを次のように教えてくれる。
「パラパラとページをめくりながら、『ここは参考になる』『これは必要ない』と取捨選択をして、必要なところだけに目を通します。この方法なら、1冊読むのにそれほどの時間はかかりません」
「この辺にこんなことが出ていそうだとか、このあたりに必要な情報がありそうだなと勘が働くようになってきます。本選びに『鼻が利く』ようになるのです」
毎月、多くの本が出版されている中で、本選びに鼻が利くようになると、そのときの自分に必要な本を選びやすくなりそうだ。私はこの章を読んで、まだ手付かずの本に対して後ろめたい気持ちを持つことなく、自分にあった本の読み方をすればよいのだと気が楽になった。なお、鈴木さんがおすすめしたい章についてもお伺いしてみた。
鈴木さん:本書にて、私がすすめる章は、第1章です。この章が、アウトプットのための本の読み方、活かし方の基本となる最も重要なポイントが書かれているからです。アウトプットの基本は、3つ。「話す」「書く」「行動する」です。その中でも、最も実践しやすいのが「話す」です。藤井先生は、本書の中で、「いかにいい本を読んでも、どんな本だったの? と人に訊かれて何も答えられなければ無意味だ」と述べています。そして、「今日の出来事を話すように『本の話』をせよ」と説きます。
このことは、私も実践するようにしています。「こんな本を読んだ。こんな内容で、ここが面白かった。ここが役に立った」と、身近な人に話す――。たったこれだけのアウトプットでも、本から得られるリターンは、ただ読むだけの読書より何倍にも大きくなり、成長の糧になると思っています。
なお、鈴木さんが特に本書をおすすめしたい方とは?
鈴木さん:ビジネスパーソンを中心に幅広い広い層の読者に読んでいただきたいのですが、特に、「本は好きで昔はたくさん読んだけれど、最近は読書量が減ってしまったな……」という方にはおすすめ。改めて読書の素晴らしさを再認識するきっかけとなり、また、これまでとは違う新しい本の読み方、活かし方を知るための手引きとなると思います。
今は、FacebookやTwitterなどの身近なSNSでも自分の読んだ本を紹介することができる。遊びに行ったことや、食事をしたことを報告するのと同じように、本から得た感動や学んだことを説明するのは、本書の「できる人は、例外なく「要約力」を鍛えている」にも通じるのではないかと思う。
読んだ直後に得た高揚感は、そのままにしたら一時のもので終わってしまうかもしれない。しかし、本には著者が長い時間をかけて得た専門知識がたくさん詰まっている。本を通じて行動した小さなアウトプットが、将来の自分への大きな投資に繋がることは間違いないだろう。
(平野芙美/boox)
編集部おすすめ