最近トクホこと、特定保健用食品でさまざまなものが販売されています。脂肪の吸収を抑える「黒烏龍茶」、体脂肪を減らす「特茶」、体脂肪の燃焼を助ける「ヘルシア緑茶」などなど……つい最近も、脂肪と糖分の吸収を抑える「からだすこやか茶.W」が発売されました。


醤油にもトクホのものがあるのをご存じでしょうか? 効能は「血圧を下げる」です。醤油の塩分で血圧が上がりそうなのに、逆に下がるというのは不思議な気がしますよね。そのトクホ醤油とは、キッコーマンが2013年9月末に通販限定で発売を開始した「まめちから 大豆ペプチドしょうゆ」です。

ポイントは「大豆ペプチド」。ペプチドとはたんぱく質が酵素で分解されてアミノ酸になる、その中間のような状態にです。つながったまま吸収されるため、1つ1つアミノ酸を吸収するよりも効率がいいという特徴があります。


大豆ペプチドには、ダイエットに有効なエネルギーの代謝促や脂肪燃焼促進、筋肉疲労の予防や筋肉の増強、そして血管収縮にかかわる酵素に働きかける効果があります。まめちからは、とくに血圧を下げる効果に注目した醤油です。

でも、塩分が高かったら意味が無いのでは?
まめちからは、普通の濃口醤油に比べると塩分を50%カットしています。そして、昆布ダシで旨味を補っているので、塩分の少なさはあまり感じません。

本当に効果があるのかどうか。
血圧高めの132人で12週間の臨床実験を行ったデータがあります。
通常の減塩醤油を使っている人達の血圧は現状維持(最高血圧140前後)だったのに対し、まめちからを使った人達は最高血圧が135以下になったという結果が出ています。そもそもこういう効果がでなければ特定保健用食品の認可が下りません。

「まめちから 大豆ペプチドしょうゆ」は開発に5年、認可が下りるまで5年の、あしかけ10年をかけて造られた醤油。

ここでトクホについてざっと説明しましょう。特定保健用食品とは、健康の維持増進に役立つ特定の効能がある食品と認められたもの。「お腹の調子を整える」とか「血圧を下げる」とか「脂肪の吸収を抑える」などが該当します。
具体的に「何に効くのか」が明確であり、科学的な試験と実証によって効果が認められない限り認可は下りません。

似たようなカテゴリに「栄養機能食品」があります。こちらは、不足しがちな栄養成分を補うことができる食品のことです。特定の効能があるわけではなく、その栄養分を含んでいれば、名乗ることができます。どちらも「保健機能食品」ですが、性質が違うので注意しましょう。ちなみにヒガシマルの「おいしく鉄分がとれるしょうゆ」などは、栄養機能食品としての醤油です。


トクホは薬ではありません。大量に食べたら効果があるわけではない。醤油は醤油、摂りすぎてはいけません。
「まめちから」がありがたいのは、4mlずつの小袋に分けられていること。1回の食事に1袋。昼と夜とで2袋分の合計8mlが1日あたりの摂取量が適量、わかりやすくていいですね。
外食用として持ち歩きやすいのもいい。

唯一の欠点は、お値段でしょうか。4mlが60袋、約30日分で3780円。健康には変えられないとはいえ、1日あたり126円というのはちょっと高い気がします。もうちょっと研究が重ねられ、コストが下がって、手軽に手に入るようになるとありがたいですね。
(杉村啓)