PCにとって熱は大敵。これからの季節、エアコンの効いていない部屋で長時間作業すると、PCからうなり声のような音が聞こえてくることがある。
それは、一生懸命ファンで内部を冷やしている証なのだ。
ところで、PCだけでなく液晶モニターはどうだろう。これもかなり内部が熱くなっていそうであり、もしかしてPC同様にオーバーヒートの恐れがあるのでは。そこで、液晶モニターのメーカーであるEIZOに、実際のところを聞いてみた。

まず、モニター内のどこからおもに熱が発生するのか。
「電源ユニットとバックライトから熱が発生します。
当社のモニターなど、多くのモデルでは機構や配線がシンプルになるように、ACアダプタの機能をモニター本体に組み込んでいるため、この点でも熱を帯びやすくなるのです」
もちろん、熱の対流を考慮した機構設計になっているので、基本的に心配はないそうだ。

他方、モニター筐体内部に設置されているバックライトは、モニターの消費電力の大半を占める物。
「高輝度表示なモニターや画面が大きなモニターなど、スペック上の消費電力量が大きいほど、それに比例して熱が発生しやすくなります」
なるほど~、より性能が高く、大画面であるほど熱問題が大きいわけですね。

では、どうやってそれらを冷却しているのか。実は、PCと同様に内部に組み込まれている冷却ファンやヒートシンクを使用している。ただし、ファンを搭載しているのは一部の機種のみ。
PCほど大量の熱が発生しないからだろう。

とはいえ、楽観は禁物。やはり、オーバーヒートする現象は起こり得るのでは。
「通気口がふさがっていると、モニターの保証できる温度環境を逸脱する可能性があります。このような場合にオーバーヒートは起こりえます」
通気口というのは、モニターの上部や側面などにある溝のようなもののことである。

ただ、通常の使用では通気口をふさぐようなことはほとんどないように思われるが……。

「モニターのスタンド部とモニター部を外して使うとき(フリーマウント使用)、取り外したモニター部を床に寝かせたり、壁面際で用いることで、モニター内部の空気の対流がなくなり、モニターの保証できる温度環境を逸脱する可能性があります」
熱対策の点で、タブレットや壁掛けテレビのようにモニターを使うのはかなり注意が必要なわけ。特殊な設置をする場合は、「取扱説明書などに記載のある設置条件を確認」とのこと。これは重要な指摘、ありがとうございます。

結論として、保証温度環境下※で壊れたケースはないので、
「保証温度環境内で使用できるように、モニターの周りをふさがない、西日の当たる環境に設置しないことなどに気をつけてください」
ということだ。

バソコンとともに、温度が上がりそうなところでの使用はなるべく避けよう。
(羽石竜示)

※保証温度環境
保証書などに記された製品を使用する環境の温度条件。
この範囲を逸脱して使用すると、製品の故障や不具合が発生してもメーカー保証を受けられない場合がある。