「食玩」、それは「食品玩具」の略で、玩具(オモチャ)がオマケとしてついてくる食品のこと。一応食品として販売されているのだが、最近ではオマケとして付いてくる玩具がメインになっているものがほとんどである。
食品という体裁を保つことで、コンビニやスーパーなど、本来玩具を取り扱っていない所へ流通させることができるからだ。

で、なかに入っている「食品」はといえば、ラムネが1個……、といった感じが多く、食品としての価値はあまり追求されていないようだ。子供からすれば「おもちゃを買ってもらったんだけど、開けたらなぜかラムネも入ってて得した!」と思うに違いない。

「これはあくまで食品です」という名目を保つためだけに同梱される食玩のお菓子。今回は、見過ごされがちなそれらの存在について改めて考察してみた。

というわけで早速、スーパーの食玩コーナーを物色。
子供向けのお菓子が売られているエリアにそれらの商品が並んでいた。さあ買いあさろう! と思うのだが、精巧なフィギュアがついてくる商品なんかは、結構値が張る……。買い物カゴに次々に食玩を放り込む私に対する、キッズたちの視線がアツかった。

帰宅するなり検証開始!
おもちゃを片っ端から開けていくのは、優越感と罪悪感がまざった気持ちになる。

タカラトミーアーツの「ポケモンポーズフィギュアXY」価格:380円(税抜) は、パッケージ前面左下にかなり小さく「ラムネ菓子」と記載されている。パッケージ背面には「名称:清涼菓子」とあり、原材料名や「内容量:1個」という文字が並ぶ。
食品なので賞味期限もある。開封してみるとずっしり重たいポケモンキャラのフィギュアとともにビニールに入ったラムネが転がり出て床に落ちた。

薄いブルーで直径1センチ、重さ2グラムのラムネが1個だ。フィギュアの重さは112グラムあった。圧倒的な差。食べてみると、うーんラムネだ! これぞラムネ。
味はおそらく「ラムネ味」だと思う。ラムネ瓶を模した青い筒に入った駄菓子屋で見かけるラムネみたいな味です。後味に爽やかな清涼感が残り、まあ美味しい。

ちなみにタカラトミーアーツのサイトで同商品を探したところ「キャンディトイ」というカテゴリーの中にあった。食玩のシャレた別名という感じだ。他メーカーでも使用されている呼び名だったので、玩具メーカーの商品分類としてはその名が認知されているのかも。


次はバンダイの「プリキュア おしごとあそび」価格:300円(税抜)。パッケージ右下に小さく「ラムネ菓子入り」と表示されている。パッケージ底面に「名称:ラムネ菓子」とある。

箱を開けるとドライヤーを模した可愛らしいおもちゃとともにラムネが1個現れた。ビニールに梱包された四つ葉のクローバー型のラムネだ。色は真っ白。
縦・横とも2センチほどの長さで、重さは3グラム。食べてみよう。これも、まあ、ラムネ味だ。さっきのタカラトミーアーツのラムネよりも柔らかい。噛んだらコロっと崩れてスーッと消えていく。最後はかすかにフルーツっぽいフレーバーが残るような気がした。


カバヤ食品の「あつめてトミカ」価格:350円(税抜)。これまでのタカラトミーアーツ、バンダイが玩具メーカーなのに対し、カバヤ食品は菓子メーカーである。菓子のうまさに意地を見せてくるのではないだろうか。パッケージ右上に小さく「チューインガム」とあり、横面には「名称:チューインガム(玩具菓子)」と表記されている。底面には「歯を大切に!緑茶ポリフェノール入り」とある。ガムの売りであるはずのこの表記がこんなに目立たない場所に追いやられてしまって。ガムよ……悔しいだろうなあ。

箱の中からは交番とミニパトカーのプラモキットとともに「Kabaya」ロゴの入った白いパッケージに包装されたガムが出てきた。3.5センチ×4センチの四角い板ガムで重さは4グラム。白色。食べてみると、なんだろうこの懐かしい味。ピーチ味のような気もするが、掴もうとすると逃げていく儚い味だ。噛み始めはかなり柔らかい歯ごたえで、数分噛んでいるといきなり味が消えて硬めの噛みごたえになる。ちなみに、カバヤのサイトではガム類の商品は紹介されていないので、「カバヤのガムがどうしても食べたい!」という人がいたら食玩を買うしかないのかもしれない。

同じくカバヤ食品の「ダークメガほねほねザウルス」価格:300円(税別)も開けてみる。パッケージに「名称:チューインガム(玩具菓子)」とあるのは一緒だがポリフェノールうんぬんの記載はなし。中身のガムは見た目も形状もまったく同じで、もちろん味も一緒。商品ごとに菓子の味が違う、とかそういうことは無いのかもしれない。メインの玩具は恐竜の骨格標本みたいなプラモデル。組み上げている暇はないのでそそくさと脇に追いやる。食玩の玩具が食品より下に扱われているのは地球上で今この場だけかもしれない。

お次はフルタ製菓の「マリオカート8 ビッグホルダー&クリーナー」価格:270円(税抜)。フルタ製菓は1999年発売の「チョコエッグ」で食玩ブームを作った先駆的存在。パイオニアとしての貫禄を見せてくれるだろうか。
パッケージ横面には「名称:キャンデー」と原材料名の記載。銀色の包みを開けてみると、直径1.5センチ、重さ4グラムの緑色の飴が登場。口に放り込む。……おそらくマスカット味かな。甘いだけのシンプルな味だ。玩具はマリオカートのイラストをあしらったカードホルダーでした。

明治チューインガムの「走れエクスプレス」価格:300円(税抜)。パッケージ上面に「チューインガム入り」と書かれ、パッケージ底面に「名称:チューインガム」とある。
透明のビニールに入り、うっすらオレンジっぽい色をした球状のガムは直径1.5センチ、重さ1グラム。箱の中から、精巧な作りの電車フィギュアと一緒に申し訳なさそうにポロンと出てくる感じにキュンとした。噛んでみると、ちょっと酸っぱい。あの四角い箱に入ったマルカワのマーブルガムのみかん味、あれに近い味わい。と、他のメーカーの商品で例えるのも申し訳ないが。

バンダイ「百獣大戦グレートアニマルカイザーゴッド闘獣録3」価格:280円(税抜)を開封。パッケージ横面に「名称:チューインガム」とある。同じバンダイでも先ほどの「プリキュア おしごとあそび」はラムネ菓子だった。さあ、どんなガムを披露してくれるのか。
出てきたガムは水色で小さめ。縦1.8センチ横1.3センチで重さは1グラム未満。透明のビニールに梱包されている。噛んでみると、これはしっかり「ソーダ味」という感じがする。外側がコーティングされているので、噛み始めにパリッという食感が楽しめる。サイズも小さく、味もそんなに長持ちしないけど美味しい。ほんのりバニラの味もするような……。気のせいだろうか。

次に開封したのも同じくバンダイの「超変換!! もじバケる4」価格:100円(税抜)。こちらも「名称:チューインガム」。開けてみるとやはりさっきのガムと一緒。もしこのガムが好き過ぎてどうしても食べたい人は価格の安い「もじバケる」を買った方がお得だということになるだろう。

さらにバンダイの「ポケモンウォールバッジコレクション」価格:180円(税抜)を開封。こちらはラムネ入りだが、当然中身は「プリキュア おしごとあそび」のラムネと一緒だ。四つ葉のクローバー型の、あのラムネ味のラムネ。

最後に開封したのはバンダイ「烈車戦隊トッキュウジャー タベマ~ス!!トッキュウタブレット」価格:350円(税抜)。パッケージ横面には「ラムネ菓子」とある。この商品は「烈車戦隊トッキュウジャー」というスーパー戦隊もののフィギュアの中にラムネの粒を収納できる仕組みになっている。「面白い形をしたラムネケース」という意味合い。つまり、おもちゃの影から恥ずかしそうに出てきたお菓子が、ここでは主役級の位置に上り詰めているわけだ。

開けてみるとなるほど、カラフルなラムネが12粒。一粒の大きさは直径0.7センチほどで、重さは全部で5グラム。見た目的にはこれまでで一番お菓子っぽい印象だ。噛んでみるとさっぱりした甘みとほんのりフルーツフレーバーという感じ。シャリッとした食感が良かった。

今回、どれが一番美味しいか決めようと思ったのだが、どれもまあまあ美味しいぐらいでほとんど差がない。強いて言えばバンダイ「百獣大戦グレートアニマルカイザーゴッド闘獣録3」「超変換!! もじバケる4」のソーダ味のガムかな。どれもみなお菓子としての主張が全然ないのである。装飾を一切排したシンプル過ぎるお菓子たち。おもちゃにメインの座を奪われた悲しい存在の復権を強く望みたい!

さてと、余ったおもちゃ……どうしよう(この後、きちんと遊びました)。
(スズキナオ)