井上「みなさんこんにちは! イスカンダルの女王……(会場内に起こる忍び笑い)……あっ、この笑いっていうのは、アレを求めてますかね? 今日はやめておこうかと思ってたんだけどじゃあやらせてもらっちゃおうかなっ。(拍手)スターシャをやらせていただきました、井上喜久子17歳です♪」
観客「「「おいおいっ!」」」
井上「はい、はい♪ 今日は最後までよろしくおねがいしまーす!」

「宇宙戦艦ヤマト」をリメイクした2013年のアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」
完全新作の劇場版「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」の公開を前に、全26話のテレビシリーズを振り返った総集編映画「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」が上映されている。
公開から1週間の10月18日。丸の内ピカデリーで行われた大ヒット御礼舞台挨拶は、いきなりの17歳教からはじまった(初めて生で聞けて嬉しい!)。
登壇者は菅生隆之(沖田十三艦長役)、井上喜久子(スターシャ・イスカンダル役)、水樹奈々(エンディング主題歌「BLUE」を担当)。司会進行はライターの小林治。

水樹「お話がきたときは震えました。でもみなさんの素晴らしい演技とシナリオに導かれるようにして言葉が出てきて、私なりのストレートな愛が書けたんじゃないかなと思っています」
水樹が登壇していることもあり、歌に関する話題が中心になった。水樹は第七章(23話〜26話)の先行上映版エンディングテーマ「愛の星」も担当している。作詞も水樹によるものだ。作詞に際して、水樹は「2199」の脚本と映像をすべて見たのだとか。
水樹「テーマは『愛』。身近な人を大事にすることがつながっていって、大きな力になって、地球を守るという大きな目標に近づいていく。
ストレートでなるべく飾らない言葉を綴っていければいいなという思いで作りました」
そして、今回の「追憶の航海」で、水樹はふたたびエンディングテーマ「BLUE」を担当する。
水樹「緊張しました! ストーリーのベースは同じ、ラストにかかるというシチュエーションも同じ。ガラリと変えるわけにもいかず、意志は継ぎつつ、でも同じになりすぎず……というバランスがすごく難しくて。より人肌を感じられる距離感、近くにいる人に語り掛けるように歌える曲にしたいなと思って作りました。『愛の星』の妹分みたいな」

「BLUE」で描かれている愛は、どのようなものなのだろう。
水樹「古代進と森雪の2人の愛と、スターシャと古代守の愛も……あと、デスラーもあるのかな」
井上「デスラーも入れてくれた! 優しい」
水樹「ちょっと曲がった方に行ってしまったんですけど、元をたどれば純粋な思いがそうさせてしまった。いろんな愛の形があるなと思いながら書きました」
井上「私としてはファーストネームの『アベルト』と呼びたいですね。確かにデスラーも、いけない道に進んでしまったけれど、純粋な愛があって。『スターシャ、君のためにやっているんだ』というシーンを見るたびに、愛は人を救うこともあれば、人をこんなにも苦しめることもあるんだな、深い部分が描かれているな……と思います」
ちなみに、本編では色恋的な要素がない沖田艦長は……
菅生「愛の塊のような男です。本来ならば私は艦長ですから、館内に『社内恋愛禁止』って書くところですが(笑)心が大きい男ですから、恋愛OK。結婚までしたやついるからね。しょーがないですよね、これはね」
もちろん「愛」は男女間のものだけに限らない。
友情や家族愛、部下への思いやり、信頼も「愛」だ。

水樹は、井上を「お姉ちゃん」と呼んで慕っている。印象に残ったシーンやキャラクターを聞かれて、「魅力的なキャラばかりなので……」と迷いつつも、
水樹「でも私は、スターシャが好きです!」
井上「あーっ、あーっ、うれしい……!(ハッと菅生を見て)艦長、すみません!」
菅生「私は……全然、あの……ちょっと悔しいな……」
さらに詳しくスターシャの魅力を聞かれる水樹。
水樹「スターシャが出てくるだけで、靄がかかったみたいになる。素敵…この世のものとは思えない美しさ! 女神さまのような……」
井上「いや〜、すみません〜(嬉しそう)」
自分への褒め言葉のようにニコニコする井上に、小林が「井上さん、スターシャへの褒め言葉ですからね!」とツッコむ。水樹がすかさず付け加えた。
水樹「お姉ちゃんも素敵です! あこがれの人です!」
井上「ありがとうございます。……そしてね、素晴らしい艦長のもとでね……(ヨイショ)」
菅生「そんな、いいから……」
ちょっと照れていた。

水樹「スタンバイしているときにみなさんの拍手が聞こえてきて、すごく嬉しかったです。愛が集結した作品なので、みなさんぜひこれからも末永く愛してください!」
井上「テレビシリーズの26本を2時間11分にまとめるのは、想像するだけでおそろしいくらい大変な作業だったと思う。今回新たな映画として見ていただくことができたので、今まで見たことのない人にも伝えていただいて、これからも宇宙戦艦ヤマトの世界を愛し続けてくれると嬉しいです」
菅生「『戦うヤマト』の中で印象に残っているのは、ドメル(声優は大塚明夫)とのシーン。あの日はたまたま収録のタイミングが合って、『じゃあ2人でやるか』。
私が所属している文学座という劇団に、彼も研究生として所属していたことがあった。当時は一緒に芝居をすることはなかったんですけど、『ヤマト』で彼も私もガチンコでやれたような気がします」

〆の言葉は、井上が好きだという沖田のこの台詞。
菅生「艦長の沖田だ。ありがとう。以上!」

(青柳美帆子)
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