本を持たずに、同人誌即売会に出よう!

電子書籍といえば、Kindleやkoboなどオンライン購入が主流です。
あえて、即売会で手渡しで、電子書籍を販売する。
これが対面電子書籍。

11月9日に、札幌で北海道コミティアが開催されました。
オリジナル同人誌の即売会です。

そこで頒布していたサークル「まるちぷるCAFE」さん。
机に置かれていたのは、新刊と、あとは見本誌のみ。対面電子書籍の販売でした。
まるかふぇ電書

どのように買うのか手順を書いていきます。
1・チケットを買う
まずイベントで、電子書籍のチケットを購入します。
チケットにはタイトル・QRコード・URL・ファイルサイズが書かれています。

2・ダウンロードする
QRコードまたはURLにアクセスして、ファイルをダウンロード。
サイズは10メガから50メガくらいです。

3・開いてみる
PDFファイルなので、たいていのPCで簡単に見られます。

スマートフォン、タブレットなどでも開けます。
iPhoneの場合は、ダウンロードアプリをインストール→買った本をダウンロード→iBooksなどで開く。

パスワードはありません。
ダウンロードするアドレス自体がシリアルナンバーになっています。接続すれば、オンラインストレージサービスに飛んで、ダウンロードできる。
有効期限が決まっており、落とせる回数は5回。
無限にみんながダウンロードする、ということはありません。

最大のメリットは、売る側も買う側も荷物が増えないということ。
売る側なら、印刷して搬入、ダンボール何箱、売れ残ったので宅配搬出……この手間がいらない。
買う側は、チケットだけ持って帰ればOK。なんなら会場でダウンロードしてしまえばいい。

その他、売る側買う側の、メリット・デメリットを書いてみます。


売る側のメリット
1・過去の頒布物を簡単に持ち運べる。
同人誌は在庫を持って歩くのが何より大変。特に続き物を書いている場合、過去作品がないと、新刊はなかなか売れない。
最新刊は印刷して、以前の巻は電子書籍で……と使い分けが出来ます。
サンプルだけ用意すればOK。

2・印刷費がかからない
同人誌最大の壁、印刷費。
これが限りなく0円に近くなります。高いカラー同人誌も手軽に作れます。
ただしサイズは100メガ以内がベター。

3・新刊もギリギリまで描ける。
同人誌印刷の場合、イベントより早めに入稿しなければいけません。
データなので、最悪でも前日に完成すればOK。

普段ギリギリまでコピー誌を作っている人にはもってこいです。

4・データそのままのきれいな状態で手渡せる。
PDFファイルの場合、作ったファイルそのままのクオリティで渡すことが出来ます。
むしろ絵や文字を拡大して見ることもできます。
ただしダウンロード形式の場合、落とせなかった(しそこねた)場合の救済措置として連絡先の明記は必須です。

売る側のデメリット
1・ネット中にPDFファイルが出まわってしまう可能性がある。
誰かがそのPDFファイルを、だれでも見られるところにおいてしまうと、ダウンロードし放題になってしまう。
ここはモラルの問題になってきます。
もっともPDFファイル形式の販売は、メロンブックスやDLsite.comなどですでに行われています。そこまで神経質にならなくても大丈夫でしょう。
古本屋に出回ることがない分、メリットになります。

2・二次創作、成人向けの扱い。

ガイドラインがはっきりしていない場合、二次創作や成人向けをどう扱うか非常に難しくなります。
まるかふぇ電書はオリジナル創作のみのようです。
対面電書では成人向け・二次創作もちょっとだけありますね。
これらのサービスを使って登録する場合は、規約を遵守しましょう。
自分でシステムを作る場合、特に成人向けは要注意。電子書籍でも、イベントのルールに従うのが原則。

買う側のメリット
1・安い。
たいていの電子書籍化された本は、印刷物よりも安いことが多いです。
(作っている側の印刷費用がかからないため)

2・本文を見てから買える。
ネットの電子書籍のデメリットの一つが、中身が見られないこと。
しかし対面電子書籍の場合、サンプルをちゃんと置いている場合が多いです。
ひと通り読むことができ、手渡しで交流できるのは、即売会の楽しみです。


買う側のデメリット
ほとんどないんじゃないかな?

2010年前後から、電子書籍の対面販売は行われていました。
文学フリマでは米光一成が大々的に行っています。
米光一成×小沢高広 電子書籍宣言 マガジン航
電書部の真実:電子書籍をフリマで対面販売する「電書部」が目指すものとは(前編) - 誠 Biz.ID
電子書籍なのに対面販売!? 「電書フリマZ」に有名作家も続々参加 - エキレビ!
メールアドレスを伝えると、電書が送られてくる、というお手軽安心システム。

オンラインで電子書籍を販売する場合、宣伝が非常に難しいです。
ネット上には山ほど電子書籍があり、置いておくだけではまず見てもらえない。
イベントに来る人は、基本「買うため」に来ています。
直に読者に触れてもらうことは、最大の宣伝になります。

紙には紙の魅力がある。
おそらく、電子書籍のみの同人誌即売会の時代は来ない。
紙の同人誌の中に電子書籍が混じる、というのが理想的。
旧作品を出したいくてDVDに焼こうか考えている人。印刷間に合わないけど追加で一冊出したい人。
面白いことやってみたい人。是非チャレンジしてみて!
可能性は広がっているよ。
(たまごまご)
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