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赤瀬川原平はなぜ贋札をつくったのか。危険な天才を追悼1■お金への復讐

赤瀬川原平はなぜ贋札をつくったのか。危険な天才を追悼1■お金への復讐
赤瀬川原平『ふしぎなお金』(毎日新聞社、2005年)<br />お金や財布をガンマンのベルトや武士の刀にたとえたり、血液にたとえたり、子供にもわかりやすくお金の機能について語った絵本形式の書籍。
美術家で作家の赤瀬川原平さんの姿はその生前、3度ほど目にしたことがある。ただし、いずれもトークイベントの一観客としてだが。そのうち一つは、2000年2月に、美術評論家の山下裕二氏との共著『日本美術応援団』の刊行を記念して開かれたイベントで、私はこのとき、友人とつくっていたミニコミ誌を渡そうと意気込んで出かけた。赤瀬川さんに見てほしかったのは、ミニコミの中身というよりもその表紙だった。というのも、そこには、当時発行を間近にひかえていた二千円札を、新聞に載った写真から私が模写した絵を入れていたからだ。だが、赤瀬川さんはイベントのあとにも予定が入っていたため、イベントが終わってから観客と話をすることはできませんと開演前にあらかじめアナウンスがあり、ついにミニコミを渡すことはかなわなかった。

なぜ私は紙幣の模写を赤瀬川さんに見せようと思ったのか。すでにピンときた読者もいるだろうが、もちろん、彼が紙幣に関する作品を手がけ、それによって裁判まで経験していたからである。まあ、自分の稚拙な絵を見せなくてよかったとホッとする一方で、赤瀬川さんが亡くなったいまとなっては、無理にでも渡して、一言でも言葉を交わしておけばよかったと残念な気持ちもある。

この10月26日に赤瀬川さんが亡くなってから、すでに私は2つのサイトで追悼の記事を書いてきた。だが、それでもなお語りつくせないところがある。そこでエキレビ!でも、個人的な思い入れを盛りこみつつ、3回に分けて書いてみたいと思う。第1回はずばり「お金」というテーマでその作品や活動を振り返ってみたい。なお、ここからは敬称略で進めさせていただく。

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