悪女たちがマシンガンのようにしゃべりたてる“心の声”は重ねるごとにトーンダウンしていったが、エピソードの急展開はいまだ健在。
【謎その1: TATSUKO YANO JAPANは結局、誰の名義になっているのか?】
間宮充(青柳翔)は多額の負債を抱え、NGSホールディングスはファスベンダー&マッカートニー・ジャパンに売却。ところが、ATSUKO YANO JAPANだけは唯一手放さなかったらしく「姫、これをお受け取りください。登記簿です。会社の証明書みたいなものです」と書類らしきものを差し出す。これは登記簿謄本だろうか。(登記簿は「登記所に保管されている公簿」で、法務局の外に持ち出すことはできない)。「僕はあなたにこれしか残してあげることができませんでした」というからにはちなみ名義になっていそうなものだが、代表取締役変更には新しく代表取締役になる人の印鑑証明が必要。あれ? 「TATSUKO YANO JAPANは誰の手にも渡してません!」と堂々と言い切ってますしね。まさかの恩着せがましいプレイなのか。
【謎その2:ロミお姉さま(ミッツ・マングローブ)を登場させた本当の理由は?】
この期に及んで登場した新メンバー、川島家の長男・ロミ男(ミッツ・マングローブ)。
ただし、第9話ではちなみと接点はなく、何のために出てきたのかは不明。表向きは「妹たちを仲直りさせるよう、お母様から言われしかたなく登場しました」ということになっているが、じつは壮大な伏線が……! なんてことも特になさそうな気もしつつ、最終回を待ちたい。
【謎その3:吉成ちなみはなぜ、高そうな服を着ているのか】
スタッフを全員引き抜かれ、オフィスも追われた吉成ちなみ。「バイトしません?」というレミ絵の甘言にのせられ、アパレルショップで一日店員体験をすることに。店内に入るなり、ショップ店員に「とりあえず着替えてください。そんな高そうな服を着てるとお客さんの反感かいますから」とイラっとした声を出されるちなみ。それもそのはず、ふわっふわのファーコートを着た姿はとても無職とは思えない。一瞬、社長になった時期もあるとはいえ、トータルで見ると安月給のターンのほうが長そうなのに、高そうな服をとっかえひっかえできるのはなぜか。
【謎その4:TATSUKO YANO ORIGINALに“干す力”はあるのか】
廣木リカ(木村佳乃)に「竜子さんのところをやめたら、もう二度とこの業界で職につけないようにさせてやるって脅されとるんです」と訴えていた、須賀さくら(倉科カナ)。TATSUKO YANO ORIGINALに引き抜かれた面々は、他のブランドの利益になるような行為をしたら即解雇されても文句は言わないといった趣旨の契約書にサインさせられていた。さらに、矢野隆太郎(淵上泰史)や瀧川蘭子(余貴美子)にせっせと脅される。この手の脅しにどの程度の実効性があるのかはなはだ疑問だが、「干されるかも」と思わせることができた時点で有効打ということか。積年のライバルに屈服した屈辱を振り払うように威張りちらす、蘭子さんが悲しい。
【謎その5:隆太郎がTATSUKO YANO ORIGINALに固執する本当の目的は?】
昼行灯のボンボンだったTATSUKO YANO時代がウソのように、TATSUKO YANO ORIGINALでは冷徹さを見せつける、隆太郎。ファスベンダー&マッカートニーの意向に従うことを母親・矢野竜子(夏木マリ)が渋ると「じゃあ、やめますか。いい年こいてみんなで無職になりますか!」と詰め寄る強さも見せる。一方で、「TATSUKO YANOはマイマミー、矢野竜子が35年間すべてを書けたブランドですよ。夫婦生活も子育てもすべて投げ出して守ったブランドなんですよ」と、ぐちぐち愛情不足アピール。「働く母親×孤独な子ども」のカードは廣木リカ親子ですでに使ってしまっているし、ぜひともさらなる二転三転に期待したい。
さて最終回では、いよいよ西原樹(中丸雄一)も帰ってくる。待ってました、王子! 隆太郎の妨害により、布地が手に入らなくなってしまい、ちなみちゃん大ピンチ。ここはやっぱり、御曹司パワー炸裂か? と思いきや、予告動画では「お金がなくても洋服を作ることはできるんじゃないかな。ちなみちゃんはいちばん大切なものを持ってるだろ?」なんてノンキなこと言ってるし……。王子、やる気あるのか! 気が気じゃないまま、今夜10時から!
(島影真奈美)