現在、ロッテでは「ガム彼!」というプロジェクトが進行しています。
5種類のガムを男性イケメンキャラに擬人化。

Twitter投票で誰を一番にするか?というのが第一弾プロジェクト。
まさにお口の恋人ロッテ。

●「ガム彼!」擬人化の特異性
第一弾でトップに輝いたのは、弟系の柔華ふいつです。
ヒロインは歯。新時代の乙女ゲーになるか「ガム彼!」と擬人化ブームを考える
Fit'sを擬人化した、ふいつくん。

コメントも届いております。
「みんな〜〜!ぼくのこと、たっくさ(略)噛んでくれない君には…イタズラしちゃうぞ!」
名前の通りふにゃふにゃなコメントです。
 
この擬人化企画最大の特徴は、ヒロインが歯だというところです。

ヒロインは歯。新時代の乙女ゲーになるか「ガム彼!」と擬人化ブームを考える
真ん中にいるのがヒロインの「歯」です。

公式からストーリーを抜粋してみます。
ある朝目が覚めると、歯になっていた。
学園に向かうと、5人のイケメンが立っていた。
「君…実に噛まれたい素敵な歯だ。僕の事を噛んでくれ!」
歯になった「あなた」は、5人の中から一人選んで噛むことで、元に戻れます。

近年は二次創作・ゲーム以外の、公式擬人化が増えつつあります。

雪印コーヒー
オレンジーナ
ダイハツCOPEN XPLAY

●乙女ゲーをかなり研究している「ガム彼!」
「ガム彼!」はいわゆる「乙女ゲー(主人公が女の子で、男の子が好きになってくれるゲーム)」スタイル。
かなり研究して作られています。

まずキャラクターの配置。
黒・不器用で辛口な男性。白・女性に優しく紳士的。青・清涼感あふれる爽やか系。
緑・生真面目で文句いメガネ、赤紫・天真爛漫で踊るのが大好きな少年。

キャラのバランスが非常によい。求められる性格にほぼ過不足がない。
ガムの色味と性格があっているのは、商品ラインナップが揃っていてこそですね。
あとは黄色かオレンジで体育会系がいれば……。
さらにここに、新キャラ息吹くうる(クールミント)が登場。

ヒロインは歯。新時代の乙女ゲーになるか「ガム彼!」と擬人化ブームを考える
息吹くうる。やっぱペンギンですね。

彼はぶっちゃけていえば中二病キャラ。
揃ってきました。
 
公式のストーリー第一章が「夢小説」なのも、よくわかっている。
「夢小説」とは、主人公の名前を自由に変えて読むことのできる小説です。主役に人格がありません。
「ドリーム小説」「ドリー夢」などとも呼ばれます。


ここに主人公が「歯」という設定が、ぴたりとはまる。
「夢小説」の場合は絵がありません。なのでどうとでもイメージできます。。
しかしムービーやゲーム形式になると、ヒロインの絵が入ってしまう。
自己投影できるかどうかのハードルが跳ね上がりまいます。
「この子嫌い!」となりかねない。

これは男性向けギャルゲーも同じです。
出てくる女の子が「好き」と言ってくれても、感情移入できていなかったら「こんなのオレじゃねーし」となる。
そのため、やっぱりフラットな性格で目が前髪で隠れているようなキャラや、ネタにして笑えるくらいかっとんだキャラが用いられることが多いです。
 
もう一つの方法が「絵として存在しない」という方法。
わかりやすいのは「艦これ」や「アイマス」。「提督」「プロデューサー」。姿形がないので、どんな人間かわからない。男か女かすらも不明。遊びやすい。
 
ぼくは男性です。でも「ガム彼!」すげー面白い。「歯」ならぼくでもなれるし。
「オレを噛んでくれ!」とか言われてみたいよ。
どうしても腐男子脳なので「これは、あくお攻めのぶらっく受けだな」とか考えますが、置いておきましょう。
一つだけわがままを言えば、ぶらっくの「満足できねぇ女だからな」の「女」は、「ヤツ」にしてほしかったなー!

「その後のお”歯”なし」(この名前のセンスはどうかと思う)がアフターストーリーとして公開されます。
意外な展開でした。まあ、見てみてください。
 
「ガム彼!」は、乙女ゲー文化を分析した上で、ネタにしているメタ感があります。
ハトの乙女ゲー「はーとふる彼氏」なんかもそうですね。
第二弾プロジェクトも進行中。ワンステップ上の乙女ゲーの時代がくるのかな、なんて思っていたらこんな意見を見つけました。
「擬人化しなくていい! ガムのまま喋ればいいのに!」
奥が深い。
(たまごまご)