
プレイヤーは「ステーションマスター」となり、実際に駅まで移動してゲームを行う。駅に着いたら、でんこを1体選び「チェックイン」。でんこが駅にアクセスし、その駅はプレイヤーのものになる。
駅が既に他プレイヤーのものならば、相手のでんことバトル開始。勝てば相手から駅を奪える。駅を巡りながらチェックインを繰り返し、多くの駅を集めるのがこのゲームの目的だ。
同じ位置ゲーとして人気が高いIngressで例えるなら、駅の想い出=XM、駅=ポータル、チェックイン=ハック、バトル=レゾとバースター、となる。

「駅メモ!」の要となるのは、個性的な「でんこ」達。正式名称を「独立思考型駅情報収集ヒューマノイドDENCO(H)」という。
遠い未来では、移動手段の個人化により駅や鉄道は消滅の危機にあるらしい。
でんこは全26種類。アイドル、熱血漢、おバカ、関西弁などキャラは様々。でんこをタップすると「バッティングセンターって超おもしろいな〜今度マスターもいこうぜ!」など駅と関係無いことまでしゃべってくる(未来って駅は無くなるのにバッティングセンターは残るのね)
チェックインやバトルで経験値を溜め、でんこを育成するのもステーションマスターの役目。ダメージを受けてHPがゼロになったでんこは「再起動」し、これまでゲットした駅を全て失ってしまう。駅収集のためには強くなる必要があるのだ。強化によって攻撃や防御のスキルを覚えれば、より戦いが有利になる。
また、でんこには「車両編成」があり、一度に連れていける数が決まっている。あの娘とこの娘を先に鍛えて……などと戦略を練るのも楽しい。
ニヤニヤできる特典もある。ショートストーリー「でんこな日常」では、でんこ達のユルい会話が楽しめる。謎の新アイテムを怪しがって、頭の弱いでんこでワイワイ試したりしている。

でんこ達のユルさと対照的なのが、ガチな乗り鉄要素だ。
「駅メモ!」が対象とする駅の数は9000駅以上。日本全国の駅総数はJR・私鉄・第3セクターなど全て合わせて9245駅(H26年10月現在)。ほぼ全域をカバーしている。
駅を集めると「称号」がもらえる。アクセスした駅が20駅になれば「ひよっこマスター」だ。他にも移動距離や路線数に応じた称号や、路線内の駅を全て取る「路線コンプ」、都道府県内の全ての駅を取る「都道府県コンプ」まで用意されている。
路線コンプは始発から終点まで各駅停車に乗り、停車のたびにチェックインすればいい。しかし、距離が長い東海道線などは時間も手間もかかってしまう。まして都道府県コンプともなれば、必要な交通費も半端ではない。
称号のほかにも、駅を長時間保持するほど経験値が溜まる仕組みがある。利用者が多い駅だと半日も持たない。
でんこ可愛さで始めると駅を巡る羽目になるし、鉄道が好きで始めるとでんこにニヤニヤしてしまう。萌えと鉄分にガッチリ囲い込まれてしまう。
帰省、旅行、年越しライブ、初売り、初詣、年始参り。
移動が多い年末年始は、でんこを連れて駅を巡るチャンスだ。
そうそう、9000駅の中にはJR岩泉線や十和田観光電鉄線など、廃線になった駅も一部含まれている。全国コンプリートしようと思ったら、でんこを連れて廃線跡を歩かねばならない。現代でも既に消滅している駅があるのだ。
(井上マサキ)