マンガ・アニメ・ラノベを彩るタイトル文字“ロゴタイプ”を研究した『ろごたいぷっ! マンガ・アニメ・ラノベのロゴを徹底研究する本』(山王丸榊 著・リットーミュージック刊)が発売された。人気作品の中から86タイトルの作品のタイトルロゴを分析しており、フォント好きにもたまらない1冊だ。
――フォントにハマったきっかけは?
「アニメやラノべが好きで、いろいろなタイトルのロゴを見ていくうちに市販のフォントが使われていることが多いことに気づいたんです。それで、タイトルに使われているロゴを調べるようになって、その奥深さにハマっていったんです」
山王丸さんは「自分がこんなに面白いと思うんだから、他の人もきっと面白いと思うに違いない」と思い、フォント読本『書体の研究』を作ることにした。第1号は2008年8月に発行。その後、2013年まで年に1~3冊のペースで発行し、コミケで頒布していた。なんとオールカラーで700円。(全13号で発行終了)
――ものすごくしっかり作ってありますね!
「内容が地味なので、せめてカラー版にしないと売れないんじゃないかと思ったんです(笑)」
謙遜していた山王丸さんだったが、いつしか口コミなどで広まり、フォントのお仕事に携わっている人も買いに来るようになった。
「ちょうど、新しいフォントが次々と誕生した頃でもあり、『フォント見本帳』などを参考にしながら分析していきました」
では早速、山王丸さんおすすめの中から3種類を紹介。
●山王丸さんおすすめ1
『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』(MF文庫 鈴木大輔/メディアファクトリー)
「仮名は『はせトッポR』『はせトッポM』、漢字は『タカハンドH』(全てモリサワ)です。仮名と漢字を混植して用いています。見た目の雰囲気が違うのに、デザインとしてよくできています。今時のライトノベルにピッタリという印象もあります」
●山王丸さんおすすめ2
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編 始まりの物語』パンフレット
「大人気の『筑紫オールド明朝』(フォントワークス)が使われています。
ちなみに、「まどか」(欣喜堂)というフォントもある。
「『まどか☆マギカ』とは全く関係ありません(笑)。欣喜堂は、現存する木版本や活字本の文字をデジタルフォントとて復刻しています。元は古いデザインの文字でも、今使うと逆に新鮮なものがあります」
●山王丸さんおすすめ3
『つぐもも』(浜田よしかつ アクションコミックス 双葉社)
「きざはし(欣喜堂)という仮名書体が使われています。作品の目次や各話のタイトルなどには、きざはしに金陵という漢字書体を組み合わせた、きざはし金陵(欣喜堂)が使われています。古風ですが、非常に良い雰囲気のフォントです」
●「フォント買い」
漫画、アニメの作品あればタイトルあり。山王丸さんは見たことがない作品を見つける度にタイトルのロゴが気になってしまう。
「本屋さんに行くと、面白いフォントを使っている本がないか気になりますね。作品の内容に関して詳しくなくても、使われているフォントが面白いと買うことがあります。いわば『フォント買い』ですね」
そこまでフォントが好きだったら、フォントを作ったり、フォントにまつわる仕事に携わりたいと思ったことがあるのでは?
「いや、フォントを作るのは大変ですし、眺めてる方が楽しくて良いです(笑)」
私もフォントが好きなので、山王丸さんの気持ちは痛いほど分かる。
「漫画やラノベのタイトルのフォントがきっかけで、文芸書や雑誌など、さまざまなジャンルの本、さらには、本以外の分野、化粧品や高級な和菓子、洋菓子のパッケージなどにも興味を持っていただければと思います。デザインに力が入っているものが多いので勉強になりますよ」
山王丸さんは、本の文章を書くのが楽しくて仕方がなかったという。「フォントは無数にあるので、ネタには困りませんでした(笑)」(山王丸さん)。フォントについて語る山王丸さんの表情は、『よつばと!』で使われているフォント(オリジナルフォント)の如く、明るく楽しそうであった。
(取材・文/やきそばかおる)
●『ろごたいぷっ! マンガ・アニメ・ラノベのロゴを徹底研究する本』(山王丸榊 著・リットーミュージック刊)2015年1月23日発売。
人気作品の中から86タイトルを取り上げ、ロゴを解析して実際にフォントで再現。類型フォントやウエイトによる比較なども解説。フォントやデザインの世界をより深く知ることができます。雑学本としても楽しめますし、同人系クリエイターの参考書としてもぜひ。
●山王丸さんのサイト『ゆず屋』
早速、著者の山王丸榊さん(ゆず屋)にお話を伺った。
――フォントにハマったきっかけは?
「アニメやラノべが好きで、いろいろなタイトルのロゴを見ていくうちに市販のフォントが使われていることが多いことに気づいたんです。それで、タイトルに使われているロゴを調べるようになって、その奥深さにハマっていったんです」
山王丸さんは「自分がこんなに面白いと思うんだから、他の人もきっと面白いと思うに違いない」と思い、フォント読本『書体の研究』を作ることにした。第1号は2008年8月に発行。その後、2013年まで年に1~3冊のペースで発行し、コミケで頒布していた。なんとオールカラーで700円。(全13号で発行終了)
――ものすごくしっかり作ってありますね!
「内容が地味なので、せめてカラー版にしないと売れないんじゃないかと思ったんです(笑)」
謙遜していた山王丸さんだったが、いつしか口コミなどで広まり、フォントのお仕事に携わっている人も買いに来るようになった。
「ちょうど、新しいフォントが次々と誕生した頃でもあり、『フォント見本帳』などを参考にしながら分析していきました」
では早速、山王丸さんおすすめの中から3種類を紹介。
●山王丸さんおすすめ1
『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』(MF文庫 鈴木大輔/メディアファクトリー)
「仮名は『はせトッポR』『はせトッポM』、漢字は『タカハンドH』(全てモリサワ)です。仮名と漢字を混植して用いています。見た目の雰囲気が違うのに、デザインとしてよくできています。今時のライトノベルにピッタリという印象もあります」
●山王丸さんおすすめ2
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編 始まりの物語』パンフレット
「大人気の『筑紫オールド明朝』(フォントワークス)が使われています。
もともと使われていた『筑紫明朝』(フォントワークス)を、少しクラシックにデザインしたものです。Macには『ヒラギノ明朝』(大日本スクリーン製造)が入っていまして、一見似てはいるものの、比べると違いが分かります。例えば、文字の幅のことを『ふところ』といいますが、『筑紫オールド明朝』の方が『ヒラギノ明朝』よりも狭いです」
ちなみに、「まどか」(欣喜堂)というフォントもある。
「『まどか☆マギカ』とは全く関係ありません(笑)。欣喜堂は、現存する木版本や活字本の文字をデジタルフォントとて復刻しています。元は古いデザインの文字でも、今使うと逆に新鮮なものがあります」
●山王丸さんおすすめ3
『つぐもも』(浜田よしかつ アクションコミックス 双葉社)
「きざはし(欣喜堂)という仮名書体が使われています。作品の目次や各話のタイトルなどには、きざはしに金陵という漢字書体を組み合わせた、きざはし金陵(欣喜堂)が使われています。古風ですが、非常に良い雰囲気のフォントです」
●「フォント買い」
漫画、アニメの作品あればタイトルあり。山王丸さんは見たことがない作品を見つける度にタイトルのロゴが気になってしまう。
「本屋さんに行くと、面白いフォントを使っている本がないか気になりますね。作品の内容に関して詳しくなくても、使われているフォントが面白いと買うことがあります。いわば『フォント買い』ですね」
そこまでフォントが好きだったら、フォントを作ったり、フォントにまつわる仕事に携わりたいと思ったことがあるのでは?
「いや、フォントを作るのは大変ですし、眺めてる方が楽しくて良いです(笑)」
私もフォントが好きなので、山王丸さんの気持ちは痛いほど分かる。
明朝体だけでもたくさんの種類があり、一見すると区別がつかないものも多い。フォントを開発するとなると、膨大な手間と時間がかかるから、仕事となると大変だ。実は、山王丸さんは、ある思いを込めてこの本を作った。
「漫画やラノベのタイトルのフォントがきっかけで、文芸書や雑誌など、さまざまなジャンルの本、さらには、本以外の分野、化粧品や高級な和菓子、洋菓子のパッケージなどにも興味を持っていただければと思います。デザインに力が入っているものが多いので勉強になりますよ」
山王丸さんは、本の文章を書くのが楽しくて仕方がなかったという。「フォントは無数にあるので、ネタには困りませんでした(笑)」(山王丸さん)。フォントについて語る山王丸さんの表情は、『よつばと!』で使われているフォント(オリジナルフォント)の如く、明るく楽しそうであった。
(取材・文/やきそばかおる)
●『ろごたいぷっ! マンガ・アニメ・ラノベのロゴを徹底研究する本』(山王丸榊 著・リットーミュージック刊)2015年1月23日発売。
人気作品の中から86タイトルを取り上げ、ロゴを解析して実際にフォントで再現。類型フォントやウエイトによる比較なども解説。フォントやデザインの世界をより深く知ることができます。雑学本としても楽しめますし、同人系クリエイターの参考書としてもぜひ。
●山王丸さんのサイト『ゆず屋』
編集部おすすめ