先日、用があってツイッターのRT数ランキングを久しぶり(たぶん数年ぶり)に見ていたら、なんだかおもしろいことに気がついた。芸能人の発言や、ちょっと面白い言い回し、画像などと並んで、Vineに関するツイートがランキングの上位に多かったのだ。


Vine(ヴァイン)とは、Twitter社が提供している最大6秒のループする動画をアップロードするソーシャルアプリのこと。2013年1月にサービスが開始され、ユーザー数は全世界で1億人、ループ数は1日に15億ループに上るという。

現在来日中のVineの幹部チームによると、日本ユーザーは過去3ヵ月で3倍に増えており、めざましい成長を遂げているとのこと。ただ、日本で急成長している要因については「はっきりした理由は分からないので、これから日本で実際に調べたい」と語ったと報道されている。

しかし、私は知っている。日本でVineを爆発的に普及させているのは高校生たちだ。
知り合いの女子高生の娘さんも日がなVineを見ているらしい。送り手も高校生なら、受け手も高校生。そして送り手のトップ集団にいるのは、ヘンな高校生たちである(褒めてます)。

その代表的な存在が現在高校3年生の「けみお」だ。もともとアイドルになりたくてYouTubeに動画をアップしたり、ツイキャスをしたりしていた彼が一気にブレイクしたきっかけがVineにアップした動画だった。2013年10月の「意味ない」というVineのRT数は実に8万回。
それ以降、けみおのVineが注目されるようになり、同じ高校生たちに大人気になった。昨年8月にはついにCDデビューまで果たしている。

今最注目のVineスター、大関れいか! そして……

もう一人のVineのスターが、現役女子高生の大関れいかである。日々、Vineで面白動画をアップし続け、すでに47万人のVineとTwitterでフォロワーを獲得。動画の総ループ数は3億を突破(ちなみにけみおは1億ループ)し、先述のVineの幹部チームも日本のVineスターとして彼女の名を挙げている。偶然だと思うが、彼らが記者会見をした同日夜に放送されたバラエティ「今夜くらべてみました」にも出演した(朝になったらフォロワー数は50万人を突破しているかもしれない)。


なにはともあれ、彼女の最近のVine動画を見てみよう。
「壁ドンした時。普通の人と私の場合#久々の朝青龍ネタ」

「ど、どうすれば止まるの!?」と思ったアナタ、落ち着いて。PCなら動画をクリックすれば止まります(止めなければ永遠にループし続ける)。なお、数日前には指原莉乃とフットボールアワーの後藤輝基と共演したVine動画もアップされている。なお、れいか自身は、すでに森永製菓のキャンペーンサイトに登場したり、今年夏に公開される映画に出演していたりと、スターへの道を歩み始めている模様だ。


そしてもう一人、注目したいVineスターがブライアンだ。Vineのプロフィールによると、アメリカ人と日本人のハーフで、年齢は不詳だが、どうやら学生らしい。フォロワー数は19万人と、れいか、けみおに次いで国内3位だが、総ループ数は3億6000万回とれいかさえ凌駕している。もちろん国内のVineユーザーの中では1位だ。得意技はラップと物真似、そしてあからさますぎる下ネタ。

こちらが最新作の1つ前のブライアンのVine動画。
1つ前にものにしたのは、最新の動画が下ネタすぎるからだ。
「ディズニーキャラクター!」

れいかとブライアンに共通しているのは、独特のハイテンションぶりだけではない。わずか6秒の中に詰め込まれた構成の妙だ。巧みなカット割り(編集機材を使っているわけではなく、指でタッチしている間に録画、離せば録画停止というVineのシンプルな仕組みを利用したもの)でテンションを使い分け、緩急を自在に操る。複数の人数を演じ分けているものも多く、ネタによっては4コママンガのように起承転結までつけられているものもある。

いわば、これは6秒のコントだ。
かつて「爆笑レッドカーペット」という1分前後のショートネタを芸人が披露する番組が人気を博していたが、今やそのスピードは1分の10分の1の6秒に進化したと考えていいだろう。なお、Vineでのコント動画は日本独自のものではなく、アメリカではティーンエイジャーが大量に作成してアップしている。

余談だが、日本のVineでよく目にするのが、お笑いコンビ8.6秒バズーカーの「ラッスンゴレライ」。いろいろな人や子どもが「ラッスンゴレライ」をやっている。最近では数日前にVineを始めたAKB48の柏木由紀が、渡辺麻友が「ラッスンゴレライ」と呟いている動画をアップしていた。間違いなく「ラッスンゴレライ」のブレイクにはVineでの人気が一役買っている。

「ラッスンゴレライ」はリズムネタとして知られているが、

「ラッスンゴレライ 説明してね」
「いや、ちょっと待ってちょっと待ってお兄さん」

と、このネタのわかりやすい部分の秒数がちょうどVineと同じ6秒。実際に数えてみたから間違いない。つまり、非常に物真似しやすい。Vineと「ラッスンゴレライ」の親和性は非常に高いのである。今後、芸人たちがリズムネタを考えるときは、6秒という長さが一つの基準になると予想する。

ともあれ、今後もピン芸人ならぬ「Vine芸人」(ヴィン芸人と発音したいところだが、あくまでヴァイン芸人)がどれだけ現れるのか? YouTuberのような一大ブームになるのかどうかが、非常に楽しみである。なお、ここまで長々としてきた話は全部高校生たちにとっては常識なんだって!
(大山くまお)