何気ないものが顔に見えたことはないだろうか。そんな“顔に見える写真”(撮影 渡辺修二)に飯尾和樹(ずん)が一言を添えた写真集『顔道(かおどう) 身のまわりにある、かお・かお・かお』(リットーミュージック刊)が発売された。
早速、平日の昼間から飯尾さんを訪ねた。
ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言

――いきなりですがこの写真は……
ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言

「ウド(ウド鈴木)です。一度ウドに見えちゃうと、ウドにしか見えません。“髪”の部分がそっくりだし、これはもう『ポケットビスケッツ』で活動していた時のウドですよ。そういえば『あ~まのく~~ん!』と言っているようにも見えます。ちょっと右を向いてるし、隣にいる天野くんを見つめている感じだし(笑)」

かなりの数の写真にコメントをつけないといけないこともあり、正月休み中も考えていたという。


「正月はカミさんとバリ島に滞在していて、僕が写真を見ていたら飲食店の店員さんに『それは何?』と話しかけられたので、写真を見せながら片言の英語で『ウッディー・フェイス』って言ったら『OH!!』って感心されました(笑)」  
ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言
▲「ウッディー・フェイス」の例 (ピーターバラカン風)

飯尾さんが添える一言は、いわば「写真で一言」のような思考で考えないといけないから大変だ。
ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言

ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言
(写真はクラゲ)

ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言
(写真はココヤシの実)

――回答に詰まることはありませんでしたか?
「出てくる時はたくさん出てくるんですが、写真によっては詰まりましたね。表情があるものよりも、無表情の方が広げやすかったです。アイデアに詰まった時は、答えやすい写真を先に考えてから、詰まった写真に戻るようにしました。いわば『バッティングセンターに行って、打ちやすい球を打ってから、豪速球にチャレンジするといった感じですね。それよりも“顔に見える写真”を撮り続けている渡辺さんが大変そう……」

●果たして、顔に見える写真を撮り続けている渡辺修二さんはどんな人?
ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言
(写真はモノレールのシート)

渡辺さんは武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。
8年前から顔に見えるものを撮り始め、その数は1200点を超える(2015年2月現在)。

幼い頃、家の近所で日向ぼっこをしていると、渡辺さんのお母さんが「目の前にある石垣のひとつひとつが顔に見える」と言ったのを機に、渡辺さんもいろいろなものが顔に見えるようになったという。
「そこに顔がある事を知っているのが自分だけだとしたら、それを誰かに知らせたい。その顔を記録できるのは自分しかいない」との思いがこみ上げ、ライフワークになったそうだ。渡辺さんによると“初心者”はまわりの電気製品や小物などの道具から見つけていくと良いとのこと。人間も動物も左右対称だからだ。


最後に、再び飯尾さんから皆さんへ一言。「渡辺さんの写真も素晴らしいし、大喜利の練習としても使えます。僕が写真につけた一言も『宇宙』と同じく正解がないので、皆さんも良い一言を思いついたら余白に書いていってください。やっぱり10代~20代の方が考えると“若い文化”が入って来たりするし、40代半ばの芸人の感性とは違いますから。各世代ならではのフレーズがあると思います。本の大きさもバッグに入れてもかさばらないお手頃サイズで、おすすめです!」
(取材・文/やきそばかおる  飯尾さん撮影/今井健太)

『顔道(かおどう) 身のまわりにある、かお・かお・かお』(写真/渡辺修二 文/飯尾和樹《ずん》 リットーミュージック刊)発売中
ずんの飯尾さん登場!! 街で撮った“顔に見える写真”で一言

写真を眺めれば、ちょっと笑えて、ちょっとほっこりした気持ちになる……そんなほんわかした写真集です。