『アメトーーク』~「島耕作芸人」(12月15日放送)で話題となった“男の憧れ”島耕作。

モテモテで仕事ができて、どんどん出世していく様は羨ましいやら、妬ましいやらで、過去にコネタ記事でも「モテモテ人生」について調査したことがあった。


ところで、そんなダンディでモテモテイメージの島耕作だが、実は時代とともに、けっこうキャラクターが変わってきていることをご存知だろうか。
たとえば、シリーズ原点となる『課長 島耕作』1巻を読み返してみよう。

倉庫にて、女子社員に自分のYシャツのカラーに口紅をつけられたときの心情が、コレだ。
「あわわ なんてことしやがる! どうしてくれるんだ こんなに口紅つけやがって!」
さらに、浮気相手に呼び出されたときには、怯えてこんな訴えもしている。
「たのむ! このとおりだ!! 俺には愛する妻と娘が1人いてローン付きのマイホームに住んで結構『それなりの幸せ』を享受していて……俺自身 凡夫のあさましさをさらけだしたペイペイのサラリーマンだ」

「~やがる」などという粗野で乱暴な口調も、「ペイペイのサラリーマン」の冴えない感じも、保身ばかり考えて言い訳ばかりする小心さも、イメージしてた島耕作像とは大違い。男性にとってはなんだか親近感がわきませんか。
しかも、島耕作といえば、女をたらしこむことばかりで出世していそうなイメージもあるが、お得意の情事においても、浮気相手に「不器用な抱き方とても好きよ!」などと言われてしまっている。案外フレッシュお粗末ではないか。

作者の弘兼憲史さんの、あるインタビューによると、島耕作誕生のきっかけは、「何か読み切りを」と編集者に言われたことだそう。SFホラーを書こうとしたものの、うまくいかず、作者自身もサラリーマン経験があるため、オフィスラブを書こうとして『カラーに口紅』という読み切りを書いたのが、印刷されたら『係長 島耕作』というタイトルになっていたと語られていたことがある。
スタート時は読み切りだったことから考えると、「どこにでもいる小心者の係長」が好評でシリーズ化→課長→どんどん出世するにつれ、洗練され、品位を身に着けていったというのも、不思議ではないのかも。

ちなみに、『イブニング』で連載された『ヤング島耕作』、さらに連載中の読み切り時と同名漫画『係長 島耕作』は、シリーズ1巻とは全くの別人のよう。


優等生的な島耕作と、セコくて下衆で生身感あふれる島耕作と、あなたはどちらが好きですか。
(田幸和歌子)
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